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早稲田のゼミをのぞいてみよう ~早稲田大学ゼミ紹介~

2014年9月12日 11:00

製品ライフサイクルの設計と管理を通じた環境負荷低減手法を提案する髙田研究室

研究室DATA
髙田 祥三 教授(創造理工学研究科 経営デザイン専攻)
所在地:西早稲田キャンパス51号館
どんな研究室?
 製品が製造されてから、流通、使用、リユース・リサイクル、そして廃察されるまでの一連の過程(ライフサイクル)のなかで、環境に与える負荷と資源消費量を最小限に抑えるための「環境調和型生産システム」の構築および評価に関する研究を行っています。「ただ生産して終わり」であったこれまでの生産システムに対して、モノを最大限有効に利用するためのメンテナンスやリユース・リサイクル技術に焦点を当て、持続可能な社会への貢献を目指した研究をします。
製品ライフサイクルを考えることで、環境にやさしいモノづくりを実現する
 創造理工学研究科経営デザイン専攻は、「モノづくり」技術に立脚した事業創造や事業オペレーション改革のためのマネジメント技術を学ぶところ。企業のトップマネジメントによる授業もあり、産業界と積極的に連携しています。その経営デザイン専攻のなかでも髙田研究室は、一度作られた製品や部品が持つ機能をできるだけ長く活用するための研究を行っています。ただ製品を新しく作り出すだけという従来の方法では、資源の枯渇や環境破壊といった問題を生む可能性があります。これらの問題を解決する方法のひとつとして、髙田先生が取り組んでいるテーマが「環境調和型生産システム」です。

 環境調和型生産システムとは、一度作った製品をなるべく循環させて使い続ける仕組みのことで「循環型生産システム」とも呼ばれています。製品の循環と言うと、リユースやリサイクルという言葉が思い浮かびますが、髙田研ではさらに、製品や設備を長く使うために適切にメンテナンスを実施するという視点からも研究を行っています。

 もともと髙田先生は、生産システムのメンテナンスを研究していました。そして、およそ20年前に参加した国際学会で発表された製品ライフサイクルの概念が転機になったと言います。製品の、原材料からの製造、流通、運用・メンテナンス、リユース・リサイクル、廃棄など、製品が作られてから捨てられるまでのすべての過程(ライフサイクル)において発生する、資源・エネルギの消費や有害物質の排出といった、環境への負荷を考える必要があるというものでした。髙田先生の研究テーマであったメンテナンスも、製品・設備を効率よく使い、資源を大事にするという観点では、ライフサイクルに関する議論と共通するものだったと、髙田先生は述べます。

 その後髙田先生は、 メンテナンスとライフサイクルの概念を組み合わせた 「ライフサイクルメンテナンス」を研究テーマのひとつとして掲げるようになりました。これは、生産の結局の目的は、ユーザにモノを提供することではなく、機能を提供することであるという考えに基づいた研究です。具体的には、ビルで使われているエスカレーターや空調設備などの最適なメンテナンス方式や更新を計画・評価する技術やそのためのデータ活用法などに関する研究に取り組んでいます。また、効率的なリユースを実現するための技術や、そのような仕組みを効果的にビジネスに組み込むために、リース型やレンタル型といった製品提供形態を適切に選択するための技術などを含む「ライフサイクルデザイン」と呼ばれる分野も研究の柱の一つとなっています。さらに、これらの研究で必要とされるリスク評価技術を応用して、生産・物流でのリスクを評価して災害時の障害発生に備えるための「サプライチェーンリスクマネジメント」も対象分野としています。
修士課程の学生は、2週間に1回、研究の進捗状況を全員に報告します。この日は、サプライチェーンや工場の被災による生産停止時の影響評価手法、ビルの空調設備の稼働データの分析方法などについての発表がありました。
取材したのは7月下句で、夏休み前の最後の発表。1人あたり30分の発表(質疑応答含む)が、朝から夕方まで続きます。
社会人学生との共同作業、海外学会での発表などを通じて成長できる
 髙田研では、大学院生は2週間に1回、研究の進捗を研究室の全メンバーに向けて発表します。また、研究や発表に加えて、授業もあります。経営デザイン専攻は、社会人学生も受け入れているため、授業は社会人も参加しやすい平日の夜(18時15分から21時25分)や土曜日に行われているので、平日の日中は研究活動や授業で出された課題に取り組むとのこと。ハードなスケジュールですが、ほかの研究室の学生や社会人と合同で行うゼミやグループワークは、大きな刺激となります。自分たちとは異なる研究手法を得意とする学生との交流により、新しい見方を研究室に持ち帰ることができる、また社会人は学生や大学教員にはない感覚を持っているため、新鮮なアドバイスをもらえるメリットもあるとのこと。修士1年の飯島さんは「社会人は、自分が考えているよりも広い範囲でものごとを見ていると実感しています」と話し、授業を貴重な機会と捉えています。授業の中には、産業界で発生する具体的な課題に取り組む実践的な演習もあり、「半年かけて調査やディスカッションをしながら課題に取り組むという授業スタイルは学部で経験してこなかったので、充実した時間となっています」と、修士1年の大六野さんは実感しているそうです。

 また髙田研では、修士課程2年間の間に最低でも1回は学会で発表するように指導しています。発表内容もさることながら発表資料の作成といった準備段階の取り組みも大切で、「発表までのプロセスをうまく乗り越えた学生は、ワンステップレベルアップしたように見えます」(髙田先生)。研究が進めば、海外で開かれる国際会議でも発表できるとのこと。特に国際会議で発表すると、学生の意識も変わると髙田先生は言います。

 このような研究活動や授業を通じながら、持続可能な社会を実現するための環境調和型生産システムの構築を目指した活動を、髙田研では行っています。研究や授業を通じて、社会の問題を解決するための実践的なテーマに取り組むことができるといえます。環境問題にモノづくりという観点から取り組んでみたいという人は、まずは見学してみてはいかがでしょうか。
発表後の質疑応答では学生からも質問が相次ぎ、活発な議論が行われます。
ほかの学生にも意見を求める髙田先生。研究や議論を通じて、産業界でリーダーとして活躍できる人材を養成したいという思いを持っているとのことです。
先生からのメッセージ
 経営デザイン専攻では、現実に発生している、あるいは将来発生するであろう問題解決のための技術開発を目指しており、「価値を創る」という、広い意味でのモノづくり技術を勉強できる場所です。そのなかでも、私たちは環境に配慮したモノづくりについて研究しています。資源・環境問題について、一面的に問題をとらえるのではなく、私たちの社会活動、特に生産・消費活動全体のなかで、いかに解決していくか。それを考えていきたい人には、ぜひ当研究室に来ていただきたいです。
先輩からのメッセージ
 ひとつの課題について重点的に考えることも大事ですが、全体を見て管理・改善することに興味があったので、経営デザイン専攻を選びました。この研究室では、環境調和を考慮したビジネスについて研究していますが、ものごとの考え方などの基本的なことについても、広い視野から学ぶことができます。将来的には工場の工程管理など、日本の高品質なモノづくりに携わるところで仕事をしていきたいです。

修士1年・大六野 優さん
先輩からのメッセージ
 モノづくりに関して、マネジメント技術の面から体系的に学ぶことのできる学科・専攻は、ここ以外ではあまりないと思います。髙田研では、製品のライフサイクルを通した視点や、環境問題にアプローチする力を身につけることができる場所です。将来は、ここで得た知識や思考方法をコンサルタント業で活用したいと考えています。

修士1年・飯島 大貴さん
このゼミを目指すキミに先生おすすめの本
ライフサイクル・メンテナンス LCCを最適化する論理的・合理的設備管理』髙田 祥三・著(JIPMソリューション)

インバース・マニュファクチャリングハンドブック ポストリサイクルの循環型ものづくり』インバース・マニュファクチャリング フォーラム・監修(丸善)

 前者はライフサイクルメンテナンスの基本が、後者は環境調和型生産システムについて網羅的に書かれた本です。2冊とも、研究室では必読書としています。
(取材・文/島田 祥輔 撮影/早稲田大学体験webサイト)※2014年度取材

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