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早大教員の授業における Good Practice &Tips 集

2018年10月11日 10:00

ライブ感のある授業で、学生の意欲を引き出す

【早稲田大学ティーチングアワード2017年度秋学期総長賞受賞者インタビュー】①戸村肇先生.jpg

対象科目:Introduction to Macroeconomics 01
       (講義概要動画)
受賞者:戸村 肇(政治経済学部准教授)

 政治経済学部では2010年度よりEDESSA (English-based Degree Studies September Admission Program)という英語学位プログラムを開設している。自身の留学体験から得た工夫を授業に取り入れ、海外から優秀な留学生が集まるなかで、戸村准教授の授業は分かりやすく、意欲が高まるとして高く評価された。
学生が質問しやすい雰囲気をつくる
 この授業は1年次以上を対象とした経済学の必修科目で、100名程度が履修している。入門的な科目であるため、「扱う内容自体は全世界共通のオーソドックスなものですが、その伝え方というところで、学生には評価してもらえたのかなと思います」。

 戸村准教授の理想とする授業は「学生が質問し、教員がそれに答える」スタイルだ。授業前にはあらかじめ講義ノートをCourse N@viにアップロードしておき、できればそれを読んできた上で質問をしてほしいと伝えている。授業で質問を受けるときのポイントは、決してけなさないこと。「どんなことを聞かれても必ずいいところを探して、褒めるようにしています」。

 質問への対応は重要で、端的に答えるだけでは学生のモチベーションが上がらないと感じている。「ああ、それはいいね!という感じで、リラックスさせる態度で受け入れ、ゆっくりと温泉に浸かるように教室の雰囲気を温めていく工夫をすると、活発に質問が出てくるようになります」。

 授業で扱う内容をあえて絞ることも大事だと考えている。「教えたいことはたくさんありますが、多すぎると記憶に残りません。キーとなるメッセージを決めて、そことのつながりを考慮しながら、どこを抜くか。講義ノートをつくるときは特にそこに気をつけています」。
フリーソフトで省力化し、毎回小テストを実施
 この授業では出席は取らない代わりに毎回小テストを行い、その点数を成績に反映させている。毎回満点を取ると点数の合計が52点になるが、最終成績評価で加点するのは最大25点まで。小テストを毎回行うことで点数獲得の機会を分散する工夫はする一方で、すべてを加点対象としないのは、受講者に毎回の出席を義務付けることを避けたいという考えによる。留学生が家庭の事情などで学期中に一時帰国せざるを得ないこともありうる事情を考慮することに加え、「やる気のない学生も来ると私語で授業がうるさくなる」ためだ。

 また、小テストを、試験の一環というよりも「自分の学生時代は授業に出ることがあまり好きでなかったのもありますが、せっかく来たからには、ただ話を聞くだけでなく、何かして帰ってほしい」という狙いで行っているという理由もある。

 小テストはマークシート形式を採用し、「MarkScan」という教育用フリーソフトを利用している。そのおかげで、業者に頼まなくても用紙の印刷やスキャナでの読み取りができ、コストをかけずに採点の手間を省力化している。採点結果はCourse N@viで各自点数が分かるようにしておき、次回の授業で解説を行う。学生からは点数の上乗せ効果だけでなく、「小テストのおかげで毎回少しずつ復習できてよかった」と好評だ。
YouTubeでオバマの演説を聞くとリズムが良くなる
 授業ではライブ感を重視している。同じような内容が講義ノートに書いてあっても、少し違う言葉でホワイトボードに書きながら説明する。「ジャズのセッションのようなライブ感を出したいと思っています」。図を描いて説明すると予定しているときも、どんな図を描くかは講義ノートには書かず、よほど複雑なものでない限り基本的にその場で考えて描く。

 このようなやり方は、自分自身が留学した頃の経験からきている。「英語に慣れない頃、黒板に書きながら説明してもらうと分かりやすかった記憶があります。スライドを読み上げるだけでは眠くなってしまう学生もいますし、リアルタイムに書きながら話すと少しスローダウンして、理解不足の学生にもより分かりやすく伝わるようです」。

 話し方やリズム感にも気を使っている。常に笑顔を絶やさないよう努め、日頃から食事や雑用の時間を利用して、YouTubeで英語のニュースなどを聞くようにしている。「理想はお笑い番組のように、楽しいなと感じているなかでも知的なことが伝わる授業です。アメリカのコメディアンの番組なども観ますが、冗談ばかりは言えないので、政治家のスピーチが一番ですね。特にオバマの演説はリズムが良いので、授業が始まる前に聞いてから臨むと、いい空気がつくれます」。

 また、話している途中で「これはどう思う?」と問いを投げかけて1分ぐらい考えさせる時間を設けている。「本当は学生に答えさせたいのですが、時間もないので。でも、少し間を置いて考えさせるだけでも、有意義だと感じています」。

 今回の受賞に至った要因は、「学生に複層的なアプローチを用意したこと」と自己分析している。「予習をしてきて質問する意欲のある学生はもちろん歓迎するし、そうでない学生もよく分かるように、ホワイトボードを使って授業でゆっくり説明する。授業に来なくても、講義ノートと教科書を見て理解できるならそれでもいい。このように授業に対してさまざまなアプローチで受け入れたことで、幅広い学生に満足してもらえたのかと思います」。

 「これは言っておきたい」と付け加えたのは、結果的に良い雰囲気で授業が進められた背景には、意欲のある優秀な学生が集まっていることだ。「国際競走が激しいなかで、これだけ優秀な学生を海外から集められているのは素晴らしいと思います。EDESSAというプログラムを立ち上げてここまで作り上げて来られた先生方のおかげです。そちらもぜひ評価していただきたいですね」。

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