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早大教員の授業における Good Practice &Tips 集

2018年6月25日 00:00

アクティブラーニングの活用により、学生の状況を把握しつつ自律学習を促す

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朝鮮語中級 朝鮮語中上級
印省熙 文学学術院 准教授

「朝鮮語中級」「朝鮮語中上級」の授業では、わせポチやCourse N@viをこまめに活用することにより、学生が履修している朝鮮語の授業の受講数や教室での学習の状況、課題に対する希望などを把握し、相互にコミュニケーションを図っている。2017年度から本格的に活用を始めたところ、学生の自律的な学習意欲の向上につながり、課題のクリア率は80%に達し、学生からの反応も上々だという。

アクティブラーニングの可能性に開眼
 印准教授は2016年の春、FD(ファカルティ・ディベロップメント)プログラムに参加し、米国ワシントン大学で「アクティブラーニング」についての知見を深めた。「それまで、『アクティブラーニング』という発想はなかったけれども、基本にある考え方は、自分でも知らず知らずのうちに実行していたものだと思いました。私の担当している授業は語学なので、アクティブラーニングとは相性がいいんです。どういう形で学生たちに自発的に学習させるかということを工夫する時に、たくさんの新しいアイデアが得られました」。

 2016年度の授業では、FDプログラムで学んだことを取り入れてみたが、運用に不慣れな点もあり、印准教授の感触としては高い満足度は得られなかったそうだ。そこで、2017年度からは本格的に活用する体制を整えた。その結果、学生の80%が課題をクリアし、好感触を得ているという。理由としては、あらかじめシラバスに自宅学習が必要だということを明記した点と、授業内でわせポチやCourse N@viを活用し、学生たちの意識向上を促す工夫を盛り込みつつ、自宅学習をしやすくしたという2点が挙げられると、印准教授は考察している。

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   グループで対話練習    ペアで練習        ロール・プレー

わせポチとCourse N@viの活用により学生の自律的な学びを期待
 朝鮮語中級は、主に文学部・文化構想学部の二年生以上の学生が履修する定員40名の語学の講座だが、科目としての位置づけに特色がある。早稲田大学には朝鮮語を専攻する学生はいない。しかし、必修科目である第二外国語として、一年生の間に週4コマ、集中的に朝鮮語を学習した学生たちが、二年になると選択科目として授業を選んでいる。つまり、一年次に週4回も勉強し、ある程度朝鮮語に興味を持っている学生たちではあるのだが、二年になると取っている朝鮮語の授業数が学生によって週1から週3以上までと異なり、そのことが学生の学習意欲や態度に影響を与えている。

 「二年生の最初の頃は、みんな一年生のときに週4コマ朝鮮語を勉強してきている学生たちなので、それほど差はありません。でも、そのあとは、どんどん差が開いていくんです。朝鮮語の授業の数が週1の学生と週3以上の学生でまず違うし、留学を念頭に置いている学生、韓国人の友だちがいる学生といった意欲的な学生はどんどん伸びていきます」。

 そこで、印准教授は学期が始まって間もない期間に、わせポチを用いて、週何回朝鮮語の授業を取っているかという設問を含むアンケートを実施している。「週1しか取っていない学生にとっては『週2以上取っている子が多いから、家でも勉強しないとまずいぞ』というアラートになってくれるのです。教える側の意識としても、週2程度取っている子に授業のレベルを合わせていますので」。

学生たちの本音に触れやすいICTツール
 わせポチを利用したアンケートでは、ワシントン大学での研修で学んだ「ワンミニッツノート(1分間アンケート)」という技法を基本にして、学生たちにその場で選択肢を提示し、直感的に選ばせる。回答と同時にリアルタイムで変化していく円グラフを見せると、学生には大きなインパクトがあるという。

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 アンケートは学期のスタート時は、週何回、朝鮮語の授業を取っているかという項目に加え、朝鮮語学習の目的や、大学入学前の学習経験の有無などを聞き、しばらく時間が経った頃に、課題の量が多いかどうか、席替えが必要と思うかどうかを聞き、特別な課題やイベントを行ったあとにはその課題が勉強になったか、必要と思うか、なども質問する。印准教授は従来通り、紙を用いてのアンケートも行っている。興味深いことに、紙でのアンケートでは肯定的な意見が多いが、わせポチでのアンケートでは、場合によっては、否定的な意見も出てくることがあり、より「本音」を引き出しやすいのではないかという感触があるそうだ。

 席替えについては、ペアワークが多い授業であるという授業の性格上、アンケートの結果を重視してタイミングを考慮しているという。以前は印准教授の方から「席替えしましょう」という形で行っていたが、わせポチによるアンケートを導入してからは「席替えが必要と思いますか?」という質問を、クラスの状況を見ながら行うことにした。アンケート結果によっては准教授の意向とは別の結果になることもあるそうだ。

 印准教授が、席替えのタイミングも含め、細やかに学生の状況に気を配っているのには理由がある。早稲田の学生たちが非常に忙しい日々を送っているという実感があるからだ。「ワシントン大学での研修の際にも話題にのぼったのですが、両大学の学生は、生活環境も学習環境も大きく違います。早稲田の学生は、1週間に取っている講義の数も多いし、サークル活動もアルバイトもある。サークル活動を重視している学生は非常に多いですね。通学時間も早稲田の方が長いと思いますし、アメリカでよいと思った例をそのまま日本に応用することは難しいですね」。

 アクティブラーニングを取り入れるということは、学生の自律学習を促す意味で非常に有効ではあるが、講義に出席している時間以外の学生の負担が増えるという側面もあるので、今後もきめ細かく学生の様子を確認しながら進めていきたいと印准教授は話す。「朝鮮語中級・朝鮮語中上級のクラスの学生は、ほとんどが一年生のときに私が担当した学生たちですので、ある程度様子がわかっているからこそ、状況の把握が可能なのだとは思います」。  

Course N@viの「お知らせ」を活用し、案内や課題の答え合わせに利用
 印准教授は、欠席した学生や、あとで見返したい学生のために、Course N@viの「お知らせ」欄に、次回の課題の案内やイベントの案内を平均して毎回3件程度とかなりきめ細かく情報を載せている。それとともに、授業での課題を提示後、2日以内に課題の答えをCourse N@viの「お知らせ」にWordでアップロード。学生は自宅で課題を行ったあと、自ら回答の確認と間違い直しを行い、次回授業時に持参する。これによって、以前より自宅学習を行いやすくなり、授業では質問の時間が確保できるようになった。また、学生たちの「お知らせ」の閲覧は、2017年度は授業での告知が功を奏し、閲覧数が非常に増えたという。学生からの反応も上々で、Course N@viの導入は有用であったという感想が複数届いているそうだ。

 授業は文法中心に構成されているため、会話などの映像資料を載せることはしていない。また、ペーパーでの小テストも従来通り行っている。「語学において、実際に文字を書くという作業は重要だと考えているので、ペーパーでの小テスト等の形式は変えずに続けていくつもりです」。

学生たちの状況をきめ細かく把握しつつ、語学を学ぶ楽しさを伝え続けたい
 新しい試みを積極的に導入している印准教授の原動力となっているのが「語学を学ぶ楽しさを学生に伝えたい」という願い。必修科目ではなく選択科目として選んでくれている以上、言葉を操れるようになる楽しさを知って、ドラマや音楽、食べ物など、かの地の文化にもどんどん親しみ、朝鮮語を理解できるメリットを体感してほしい。しかしながら、学生たちの大変さも理解できる。

 「教える側としては、レベルを上げたいという思いと、あまり厳しくするとついてこれなくなる学生が出てしまう、というジレンマに常にさらされています。自律学習を促すことはレベルを上げるために不可欠ですし、課題の量が適当か、学生たちが満足しているか、などの状況把握のためにも、わせポチやCourse N@viは非常に有効です。今後はどの程度の間隔でアンケートを実施するかなどの検討を重ねながら使っていきたいですね。また、授業のポイントを事前に動画で配信し、予習してきてもらう反転授業の導入なども、今後は検討していきたい。私自身もツールの使い方を学び、大いに活用していきたいと思っています」。

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