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早大教員の授業における Good Practice &Tips 集

2018年3月15日 17:25

顔と名前を覚え、多面的なアプローチで積極性を促す

ohtaki01.jpg★早稲田大学ティーチングアワード総長賞

科目名:Management of People and Organizations
教員名:大滝令嗣 経営管理研究科教授

 大学院経営管理研究科(Waseda Business School)は、理論と実践の融合により、高い専門的能力を活用し、国際社会に貢献できるビジネスリーダーの育成を使命としている。コンサルティング会社のエグゼクティブを歴任した大滝教授は、ビジネスの現場での豊富な経験を活かし、実践力をつけるためのインタラクティブな授業で高評価を獲得した。

90分間聞いているだけの授業は、ありえない
 今回受賞の対象となった「Management of People and Organizations」は、組織と人材のマネージメントについての基本的フレームワークを学び、ビジネスの現場で質の高い意思決定ができるようになることを目指している。9月入学の留学生を対象にしたコア科目で、すべて英語で行われている。「人と組織のマネージメントといっても、全日制の学生は働いた経験があまり長くないので、ピンと来ないことも多いものです。なんとか頭の中で具体的にイメージできるよう、いくつかのケースを用意しています」。  <ケース>すなわち、実在の企業での事例を題材に、自分が経営者ならどうするか?とういう視点で学ぶ手法は、ビジネススクールにおいて広く用いられている。そのケースの作成においては、大滝教授自身がコンサル業務に携わる過程で間近に見聞きした内容を盛り込んでいる。
 授業のスタイルは双方向型、参加型を意識しており、「90分間ずっと聞いているだけというのは、ありえない」という。学生たちにも頻繁に発言を促すほか、ディスカッションやディベート、グループワークやゲストスピーカーの招聘なども行い、現実に即応した学習方法を積極的に取り入れている。

顔写真入り名簿で、顔と名前を完全に覚える
 ユニークな例として、パワーポイントを使わないプレゼンテーションがある。「学生たちが6人ずつぐらいのチームを作り、資料は一切使わないというルールでやってもらいます。たとえば、あるセオリーの説明を10分間の寸劇で発表するなどです。おっかなびっくり始めてみたのですが、実際にやらせてみると、衣装まで用意するなどの凝りようで、大変盛り上がりました」。
 活気ある授業を可能にしている背景には、「全員の顔と名前は絶対に覚える」という大滝教授の姿勢もありそうだ。初回の授業でTAに学生ひとり一人の顔写真を撮ってもらい、写真入りの名簿を作成。2回目以後の授業では常にそれを手元に置いて、顔と名前を一致させるように努めている。授業開始前に準備が足りないと感じるときも、直前の10分間でスライドの手直しをするよりは、その分の時間は名前を覚えることに当てるというほど、名前を覚えることを重視している。
 「経験から言って、特にファーストネーム覚えて呼びかけると効果があるように思います。中国人の場合は名前が読みにくいことも多いので、ニックネームで呼ぶこともありますね」。こうした努力の結果、15回のうち中盤ぐらいまでには全員の顔と名前を覚える。「学生たちには、最後まで名前を覚えてもらえないようでは相当やばいぞと話しています。そういう学生には、もっとアピールするよう励ますだけでなく、『今日はこれまで発言しなかった人の時間』と言って、指名することもあります」。
 そもそも、授業に積極的でない学生がいると「気になる方」だという。「目が輝いてないなど、授業に入り込んでいないのは分かりますから、気がつくとどんどん当てて発言を促すようにしています」。

キャリアのゴールとして「人を育てたい」
 自らのビジネスでの体験から、現場のマネージメントで苦労をするのは組織や人なのだと実感している大滝教授。「管理職が直面して頭が痛いのは、お金のことより組織のマネージメントです。それは単純なかけ算や割り算で答えが出るものではなく、いわば指数関数や対数を必要とされる複雑なものです。そこで正しい状況判断ができるよう、この授業で学んだことを活かしてほしいと願っています」。
 長年ビジネスの世界に生きてきた大滝教授が、教育の現場に身を投じたのは「自分のキャリアにとって、一番いい設計だと思ったから」と振り返る。「年収は激減した」と笑いながらも、現職のオファーを受けた時点で企業の会長職を辞任してまでそれを引き受けたのは、「最終的には人を残すというのが一番」という思いからだ。
 その熱意は学生たちにも伝わり、この授業で高い評価を受けただけでなく、担当するゼミも外国人留学生から人気を集めているようだ。「サブゼミの学生たちも、とても積極的にコミットしてやってくれています。留学生たちとは毎年富士登山にも行きます。エンジョイしてやっている方だと思いますよ」と頬を緩める。
 楽しい授業ができているとは感じる一方で、「もう少し学びの要素も深めていきたい」という思いもある。「一通り分かったというだけでなく、もう少し深いところもカバーしてあげなければと感じています。2018年度はサバティカル休暇でシンガポールのNTU(南洋理工大学. Nanyang Technological University)に行く予定なので、現地でいろいろな授業をのぞきながら、勉強してきたいと思っています」。


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