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早大教員の授業における Good Practice &Tips 集

2017年3月 6日 00:00

欠席した学生のフォローから、プレゼン能力の向上まで。自動収録システムの活用で、ゼミの利便性と可能性を広げる

神尾達之 教育・総合科学学術院教授kamio01.JPG

神尾達之教授と福田育弘教授が2人で指導にあたる「複合文化学演習」では、2015年度から3号館のCTLT roomで授業を行うことを選択し、同時に自動収録システムの利用を開始した。このシステムで撮影した動画をどのように活用しているのか、またどんな効果が得られているのかについて、神尾教授に話を聞いた。

【自動収録システムの活用法】 
(1)欠席した学生のフォロー
(2)プレゼンを行った本人の振り返り
(3)前年度の「ベストプレゼン」による学習

ゼミ活動の中心は、プレゼンテーションとディスカッション
 ゼミでは、自動収録システムで撮影した映像を3つの目的で利用している。詳しく聞いていく前に、まずはゼミの概要を見ておきたい。

 神尾・福田ゼミの活動の中心は、プレゼンテーションとディスカッションだ。ゼミは3年生と4年生の合同で行われ、複合文化に関わるさまざまなテーマを取り上げて、毎時間回1組の学生がプレゼンテーションを行い、その後プレゼンした内容をゼミ生全員でディスカッションする。「昨年までは、90分のうち45分程度をプレゼン、残りの時間をディスカッションに充てていました。今年度は時間配分を変更して、30分をプレゼン、60分をディスカッションとしています」。

 ただ、このゼミはプレゼンとディスカッションだけでは終わらない。「終了後には、ゼミ専用のネット掲示板にプレゼンの感想や意見などを書き込んで批評し合い、議論をさらに深めます」。掲示板への書き込みも評価の対象としているため、基本的にほとんどの学生が書き込むという。

 また、すべての発表内容はその期が終わるごとに冊子にまとめていて、翌期には「最優秀卒業論文リーダーズチョイス」としてその中から最もよいものを新3年・新4年生で選ぶという取り組みも行っている。

就活で欠席した学生も、収録した動画を見て「参加」できる
 さて、自動収録システムで撮影した映像の一つめの活用法は、「欠席した学生のフォロー」だ。前述のとおり、プレゼンを見て感想や意見を掲示板に書き込むことは評価の対象となっているが、ゼミを欠席した学生はプレゼンを見ていないため、掲示板への書き込みも当然できない。「4年生では、就職活動でゼミを休まざるを得ない学生もいることから、自動収録システムの利用を考えました」。

 収録したゼミの映像を後から見ることで、欠席した学生も掲示板に感想や意見を書き込めるようになった。「他のゼミや授業でも、このような活用法は可能だと思います。授業に参加した学生と不公平にならないように、たとえば授業に参加して書き込んだ場合が10点なら、動画だけでは半分の5点にするなど配点に差をつけてもよいでしょう」。

 活用法の2つめである「プレゼンをした本人の振り返り」とは、プレゼンをした本人が後から自分の映像を見直すことだ。映像がなければ、自分のプレゼンをプレゼンとして振り返ることは難しい。「映像があることで、自分の発言内容や発話状況、身振り手振りなどを確認して、どこが弱かったのか何を直すべきなのかなど反省できます。なお、映像を見直すかどうかについては学生の自主性に任せています」。

前年度のベストプレゼンを見て、新3・4年生で話し合う
 3つめの活用法は、今年度から新たに始める取り組みだという。「これまで、冊子にまとめた前年度の発表内容を読んで、そこからゼミ生でゼミ論のベスト1を選ぶということをやってきました。今年度からはそれに加えて、自動収録システムで撮影した前年度の映像を活用して、プレゼンのベスト1を選んでもらうことにしました」。

 と言っても、前年度の全プレゼンを動画で見るというのは時間的にかなりの負担になる。また、そもそも新4年生は、前年度に教室で実際にプレゼンを見ている。「そこで、新4年生がまだ3年生である2月時点でベストプレゼンを旧3年生と旧4年生で選んでおいて、新3年生には年度が始まってから1位になったプレゼンだけを見てもらうことにしました」。ちなみに、新4年生も自分が投票したもの以外が選ばれているケースがあるため、映像でプレゼンを再度見直しているはずとのこと。

 「ベストに選ばれたプレゼンを見てどう思ったか、改善すべき点があればそれはどこかといった、感想や意見をCourse N@viに書いてもらい、それをもとにゼミで話し合う予定です」。神尾教授は、「もちろん、最も重要なのは内容です」と強調する。「しかし、優れたプレゼンは発表者の発声もいいし、構成やパワーポイントの見せ方などにも工夫があり、さらにディスカッションの受け答えもしっかりしていて、学ぶべきことは多いと思います」。

使い方の「型」を決めておくと、スムーズに導入できる
 自動収録システムを利用して授業を録画していることは、学生たちにもよい影響を及ぼしているという。具体的には、「見られている」「撮られている」ことを意識して、よりよいプレゼンをやっていこうという姿勢が強く感じられるようになってきた。

 「授業自体のやり方は変えていませんし、繰り返しになりますが、大切なのはプレゼンよりコンテンツのほうだと学生たちには何度も言っています。ただ、コンテンツを相手に正しく伝えるためには、見せ方や伝え方も重要ということです」。その結果、パワーポイントの資料に頼り切るのでなく、自分の考えをフリーで話せる学生が如実に増えてきたという。

 「プレゼンのやり方やそれに至るまでの段取りなど、プレゼン能力を高めることは、社会に出てからも役立ちます。その意味でも、自動収録システムによってプレゼンを録画し、振り返りができるようになったことはよかったと考えています」。

 自動収録システムの活用法はいろいろ考えられるが、ある程度「こう使う」というやり方、つまり「型」を決めておいたほうがスムーズに導入できるのではないかと神尾教授。「欠席した学生に見せる、プレゼンの振り返るに使うなどと決めて、それを授業の中で繰り返すことで映像の活用が定着していくと考えます。プレゼンやディスカッションを重視するためであれば、自動収録システムを取り入れることは十分に意義があるのではないでしょうか」。

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