
2010年1月13日 11:03
挑戦者として
早慶戦が終わると、次はいよいよ対抗戦ラストマッチ「早明戦」である。それまで、対抗戦無敗を通してきたワセダと、3勝3敗で5位の明治。戦前の評価は「ワセダ有利」の声が圧倒的だった。それでも、ワセダには昨季の苦い経験がある。「(明治は不調だが)昨年のように気持ちを切り替えてくはず」(HO有田隆平、3年)と、驕りを持つことはない。むしろ、「ワセダが相手になると全く別のチームになる」(中竹竜二監督)と警戒心を強め、またようやく巡ってきたリベンジの機会を心待ちにしている風もあった。
試合日までのワセダの課題は、ブレイクダウンとチームコンセンサス。慶應戦における意思統一と状況判断に反省を抱えており、特に後者を意識して試合までの日々を過ごしていたようだ。この時期から練習でのコミュニケーション量が一気に増えた印象である。3年生以下の選手であっても、気になることがあれば練習を中断させ、短いミーティングを行う光景も見られた。その際、中竹監督はじめ指導陣は、円の外から選手達の話に耳を傾け、必要があれば補足するというスタンス。アドバイスに耳を傾ける選手達の表情は真剣そのものだ。慶應戦を乗り越え、「選手主導」のチーム作りが、徐々に良い方向へ舵を切り出した時期といえるかもしれない。こうした傾向は、昨年同様に苦戦した早明戦で、大きな成果へ結実していく。
明治対策へ、気を引き締める有田
早明戦、リベンジ
12月6日、東京・国立競技場―。空には突き抜けるような青空が広がっていたが、試合内容は「嵐」そのものだった。前半、ワセダは明治の圧力に苦しむ。6分、ワセダは明治・重戦車の覚醒を告げるようなドライビングモールに圧され、先制を許す。直後、LO中田英里(3年)が負傷(交代は後半9分)、さらには23分にHO有田が負傷退場。BKの要であるFB田邊秀樹副将を欠いた状態でスターとしたこの試合、FWの要をも早々に失うまさかの事態に、国立のワセダ応援席は重苦しい空気に包まれていく。そして28分、またしても明治。今度は一瞬の隙を突かれ、大外展開からのトライ。ワセダは終了間際にPGを返したが、スコアは3-14。昨年の悪夢を思い出させるには十分すぎる内容だった。
ところが、早田組はここから違った。「前半から苦しい展開。ハーフタイムではやるべきことを決めて、落ち着いて試合に臨もうと」(WTB早田健二主将)。迎えた後半、早々にPGで3点を返す。19分にはWTB中濱寛造(3年)が大外にトライを決め、11-14とその差を3点に縮める。
「狙うべきところはショットを選択する。今日はしっかりと意志統一、判断を共有できたと思う」(早田)
すると30分、怪我の中田に代わり出場していたLO星野泰佑(4年)が、積年の思いをぶつけるかのような突進で明治DFを切り裂き、トライチャンスを生み出す。このチャンスをPR瀧澤直(4年)と、中濱のトライもアシストしていた初先発CTB内山竜輔(3年)が生かし、最後はSH櫻井朋広(4年)がインゴール右中間へダイブ。とうとう逆転に成功する。ワセダは最後までこのリードを守りきり、昨年のリベンジを達成、また2季ぶりの対抗戦優勝も達成した(前日に慶應が帝京に敗れていた)。「今日は一点差でもいいと言って送り出した」(中竹監督)指揮官の期待に、見事応えて見せた。
相次ぐ怪我人、メンバーが目まぐるしく変わる中で、しっかりとチームコンセンサスを取るのは簡単なことではない。しかし、完全ではないまでも、ワセダはそれをやってのけた。相手がどうのこうのは関係なく、早明戦での勝利はいつの時代も格別で、またチームを大きくレベルアップしてくれる。早慶戦での課題もしっかりとクリアし、いよいよ大学選手権を迎えることとなった。
トライを決める櫻井、大学選手権からはレギュラーポジションを奪取した
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