2015年3月31日 10:22
突然ですが、QUON-Netさまのサイト見直しに伴い、今回の記事を持ちまして、当ブログは最後となります。
このブログを最初に投稿したのは、2008年の9月でした。当時、会社を設立したばかりの私は、ずっと以前に早稲田大学のIT化をお手伝いした際の事務長をされていたT先生にお声がけをいただきました。「ブログを書いてみないか」勿論二つ返事で了解し、以来、記事数は500に上ります。いったいQUON-NETのアクセス向上にどれほど貢献できたのかはわかりませんが、これだけ長く続けさせていただけて本当に感謝しております。
最初の記事は、裁判員制度が始まって選ばれることを恐れる母のことでした
法律がウチにもやってきた。
(http://www.quon.asia/yomimono/lifestyle/law/2008/09/02/563.php)
そして、サブテーマにもなっているODRのこと。紛争解決にオンラインを活用するという日本では難しいテーマです
ところで「ODR」って、聞いた事ないけど?|"法務がHomeにやってきた"~Homu is coming Home.~|ライフスタイル|ヨミモノ|QuonNet
http://www.quon.asia/yomimono/lifestyle/law/2008/10/07/1121.php
それから、家庭から法律への入り口である選挙へのこと
棄権の功罪|"法務がHomeにやってきた"~Homu is coming Home.~|ライフスタイル|ヨミモノ|QuonNet
http://www.quon.asia/yomimono/lifestyle/law/2008/11/05/1218.php
これは、棄権の功罪として選挙の度に新たな切り口でご紹介できたと思います。
ODRの実務としては、ICA-Netという国際連携の紹介から始まり
Eコマース消費者保護の国際連携「ICA-Net」|"法務がHomeにやってきた"~Homu is coming Home.~|ライフスタイル|ヨミモノ|QuonNet
http://www.quon.asia/yomimono/lifestyle/law/2008/11/10/1228.php
これは、やがて消費者庁の越境消費者センターとして、具体化まで関わることができました。
ニセモノだ!|"法務がHomeにやってきた"~Homu is coming Home.~|ライフスタイル|ヨミモノ|QuonNet
http://www.quon.asia/yomimono/lifestyle/law/2011/10/31/2896.php
そしてODRへの関わりは、毎年開かれる国際会議としてご紹介し、
ODR Forum 2009は、イスラエル|"法務がHomeにやってきた"~Homu is coming Home.~|ライフスタイル|ヨミモノ|QuonNet
http://www.quon.asia/yomimono/lifestyle/law/2009/03/06/1525.php
2015年はニューヨークで開催されます。ここでは、分科会を担当することになっています。
ODR FORUM 2015はニューヨーク|"法務がHomeにやってきた"~Homu is coming Home.~|ライフスタイル|ヨミモノ|QuonNet
http://www.quon.asia/yomimono/lifestyle/law/2015/02/16/5444.php
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さて、法務はHOMEにやってきたのでしょうか。
残念ながら裁判員制度の裁判員には、家族からは誰もなりませんでした。母はホッとしていますが、父はやってもよかったかなと思っている可能性があります。高校生だった娘は二人とも選挙権を得て、きちんと投票に向かっています。

このブログの御陰もあって、弁護士さんへの"相談前の相談"に訪れる仕事関係者は相変わらず多いです。弁護士法違反になるのは困るので、程々にしていますが、少なくとも"法務は事務所まではやってきています"。
こうしてみると、すこ〜しはお役にたてているようにも思えなくはありません。
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なお、これまでの記事はバックナンバーとして残していただけるそうですので、これもありがたい限りです。今後は、自社のサイト
「ODR Pickups - 株式会社ODR Room Network」http://odr-room.hatenablog.com/ で、法律に関することだけでなく、IT関連や新しい世の中の動きなどを含めて継続的に発信していますので、ご興味のある方はどうぞよろしくお願いいたします。
それではまた!
株式会社ODR Room Network
代表取締役 万代 栄一郎
2015年3月27日 17:01
確定申告が終わると次は会社の決算の準備時期になります。3年前に台湾支店を作ったので日本の決算と台湾支店の連結決算を行わなければいけません。すでに4回目になるのですがなかなかスムーズにいかないのが悩みの種です。
海外支店の税金計算|"法務がHomeにやってきた"~Homu is coming Home.~|ライフスタイル|ヨミモノ|QuonNet
http://www.quon.asia/yomimono/lifestyle/law/2012/05/20/3390.php
日本と台湾には公式には国交がありません。国交がない状態(大使館がなく、条約が結ばれていない、租税条約も締結されていない)ので、二重に課税されますが、所得税のうち一定の限度で、台湾で課税された部分が控除される場合があるそうです。
(日台は、個人、民間レベル、あるいは文化交流レベルでは非常にいい関係なので、非常に違和感を感じます。複雑な背景と、微妙なバランスの上にいるのです。)
「迷惑ファクス防止法で1枚目に送信停止方法などを記すよう送信者に義務付けている。子会社はそれを知らず、記載のないファクスを送っていた。2012年、「一方的に送りつけたのは法律違反」として集団訴訟を起こされた。」
コンサルタント会社に手数料を払い、そのお金がメーカーの購買担当者に渡っていた。検察当局の調査が入り、子会社の中国人営業幹部が逮捕
の事例が紹介されています。「民間同士の贈賄行為の疑い」というのは、日本では贈賄は公務員またはみなし公務員への贈賄とされており、民間では成立しません。(キャッシュバックキャンペーンなんて、見返りで現金を渡すのですからね)
* * *
と、書いている間に台湾支店長から、
「わかりました!連絡します!」
と元気な(?)メールが返信されてきました。
うまく行く事を願いましょう!!
2015年3月20日 10:15
2011年に実証事業として開設された消費者庁越境消費者センターが、2015年より恒久機関として運営されることになりました。
消費者庁のニュースリリース
http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/150305adjustments_1.pdf
「国民生活センター越境消費者センター(CCJ)」を開設します(発表情報)_国民生活センター
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20150305_2.html
長きに渡りその時期の各所の担当者が地道に奮闘努力してきた成果です。これまで各国の提携機関から「組織の永続制」について心配されていましたが、今後は継続的に対応できることになり、より強固な連携ができることと期待されています。
ところで、同センターに持ち込まれる中で解決が難しい案件のナンバーワンが、模倣品の海外からの購入案件です。まず、基本的に偽ブランドの購入は、違法行為。買う人がいるから創る人がいる。買ってはいけません。ニセモノ業者を喜ばせるだけです。
ニセモノと知らずに購入した場合、「ニセモノだーー!!」と騒ぎになりますが、相手が悪意を持って騙そうとしている場合、連絡しても返事がないかあるいは店舗自体が消えてしまっている場合もあります。連絡がついた場合でも、それはホンモノだと言い張られたり、「返品すれば返金する」となっても、今度はニセモノを輸出することになり、これも発見されれば日本の税関で没収。首尾よく送れたとしても、返金されない場合もあり、結局泣くのは購入した自分自身です。
ニセモノ事業者を摘発してほしいという要望も当然ありますが、他国内を取り締まる権限はありませんから、こちらからできることは、水際でニセモノの輸入を食い止めること。
2014年の税関での差し止め件数は、30,000件を超えています。これは、企業からの差し止め申請を元に、製品の見分け方などの情報を企業から入手して、税関が検査し輸入をストップします。現在は申請の効力が2年ですがこれを4年にして企業側の再申請の手間をはぶき、お送り差し止め申請が行なわれるよう政令を改正します。
財務省によれば、これまでに差し止めたニセモノが正規品として流通した場合の被害額は180億円に上るとしています。
(日経新聞 朝刊 2015年3月5日 "模倣品差し止めしやすく")
しかし、越境消費者センターへの苦情は、まだまだニセモノが流入し続けていることを表しています。
差止申立制度等の概要 : 知的財産ホームページ
http://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/pages/b_001.htm
認定手続の流れ : 知的財産ホームページ
http://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/pages/c_001.htm
ニュースを見ると中国の春節に合わせて日本を訪れている中華系の人々が暴買いしているニュースで、購入理由を聞いていました。
「日本で買えばニセモノはないから」
一方日本人側では、ニセモノとわかった上で購入している人もいます。なにせショップの広告にスーパーコピー品と堂々と書いてあるのですから、買う方は気付いた上で購入している。にも関わらず、
「こんな酷いレベルのニセモノとは思わなかった」
というのですから、なんともはや。。。
2015年3月16日 15:50
持病のため、都内某所の女子医大病院に通っています。その日も3ヶ月前に予約を入れた定期診察待ちでしたが、予約時間から2時間半遅れてまだよばれていませんでした。デジタル化された順番待ちシステムの掲示板には、"90分遅れ"と表示されています。業を煮やして診療ブロックごとの受付へいくと、遅れ時間表示は90分までしか表示されないので実際は2時間遅れだとか、あとどれくらいで呼ばれるかは先生次第でわからないだとか、クレームに慣れているのか非常に能面的対応。あの"医療事故"は起きるべくしておきたのではないかと非難したくなるのをグッと堪えて待ち合い席に戻りました。先生に文句いう!と心に決めて。受付では、改善しようとか提案するムードもあるのでしょうか。もう病院変ろうと一瞬思いましたが、それでも、ここ以上の設備と医者のいる場所は思い当たらず、結局、患者は病院をかわるには労力が大変なので泣き寝入りすることになるのだと実感します。
やっと呼ばれたと思うと、記録していた測定数値の用紙を渡し、血液検査の結果で多少の指摘を受け、血圧を測定し、体重を測定し、必要な薬等を処方してもらって、次回の予約。約15分の診察は終了しました。
因に通院は片道1時間。血液検査を受ける為に10時半に到着していたのですが、病院を出たのは14時半でした。そのまま事務所に向かい、仕事を再開します。
この診療。Skypeでも出来るんじゃない?と思います。
1997年当時の厚生省は、"遠隔医療は直ちに医師法に抵触しない"と局長通知を出しています。僻地の喘息患者など7つの例示がありますが、それ以外でも届出も認可もなく実施可能です。ただ、基本は対面医療が業界のならいのようです。
病院間の遠隔医療は意外に進んでいます。レントゲンやctの画像などを送って診断してもらう病院間の画像診断は1157病院。データを送って診断してもらう病理診断は190病院。これに対して病院と患者の家をテレビ会議結んで在宅診断をする病院は、青森、山形、鳥取など地方のたったの8病院です。
(日経新聞 朝刊 2015年3月5日 「規制を崩す」より)
アメリカでは2016年に大規模な仮想病院が誕生します。
全米で初の仮想病院、ミズーリ州に誕生へ « WIRED.jp
http://bit.ly/1GpoXvE
ここでは勤務する医師やスタッフに加えて数百人遠隔医療スタッフが、在宅の患者も含めてテクノロジーを駆使して診療にあたることができます。
日本ではなぜ普及しないのか?
これは対面診察の方が医師が受け取る診療報酬が手厚いこと、遠隔医療が普及してしまうと患者が近くの医師にかからなくなってしまうという警戒感があるためと指摘されています。
* * *
「1944番の方どうぞ。」
やっと呼ばれました。文句言ってやろうと勢い込んで入りましたが、結局何もいえませんでした。
先生が美人なんです 泣
2015年3月13日 15:54
国を「領土」を示すのは国土です。これは物理的な土地ですから境界線を明確にすれば比較的明快です。中には、ベルギーとオランダのように、歴史的な領土の変遷の結果、一軒の家の中に国境がある例など(
不過視な不可思議な国境|"法務がHomeにやってきた"~Homu is coming Home.~|ライフスタイル|ヨミモノ|QuonNet
http://www.quon.asia/yomimono/lifestyle/law/2012/10/22/3654.php)もありますが。
ところがこれが国土を取り巻く海や空となると少し複雑になります。「領海」は、国際法では、海岸線から12海里と"合意"されており、相対する国からの距離12海里以内だとその中間線とされています。そして「領空」もこれと同様とされています。領海も領空も明確な線が引かれているわけではありませんので、よく聞く領海侵犯や領空侵犯は、争いの素になります。
ところで、最近はネットの世界もこの"領空侵犯"が問題になっているらい。。。?
クラウドはインターネットの環境を雲に例えて、データをどこかに決めて格納するのではなく、まるで空を漂う雲の中にあるように、しかしそれ故に、最適なコストになるということをコンセプトに考え出され普及してきました。"国境を超えて"データが置かれる事で、"最適なコスト"を実現する理想的なニュアンスもあったと思います。
しかし最近では、欧州でのプライバシーデータの管理に関する新ルールついて、特に域外への持出しに対して自主規制だけでは不十分という指摘(
http://wirelesswire.jp/Watching_World/201403131611.html)があり、クラウドだからOKではなくなりつつあります。また安全保障上の問題でインターネットへのアクセスが遮断されれば、国外へのアクセスが遮断され、域外にあるデータの保護や変更ができなくなる懸念もあり、特に、安全保障に関わる情報や企業秘密、自治体、金融機関、医療機関が扱うプライバシーデータや個人情報について、国外に置かれているというのは、禁止はされていないがリスクが高いと感じるし、"クラウド"でも"領空"内に置きたいという要望はある意味自然の流れでしょう。
NTTコミュニケーションズは、欧州域内の重要情報を扱うため 、イーシェルター(ドイツ)を買収しました。同社はオーストリア、スイスにも拠点を持ちますが、プライバシーへの扱いが厳しい欧州では、消費者や企業の情報を国外のサーバーに持つ事が問題のなる場合が多いためです。
クラウドの産まれた本場、米国のアップル社もアイルランドとデンマークにデータセンターを設けることを発表しました。これも同様の理由が背景にあります。
一方、IBMは東京とオーストラリアにもデータセンターを開設。日本マイクロソフトはオフィス365の提供を国内拠点から開始するとし、そのタイミングを同じくして、SONY生命や豊島区が導入を決定しています。
(日経新聞 2015年3月4日朝刊のコラム「ビジネスTODAY」より)
プライバシー保護への関心が高まり、データの管理されたサーバーの物理的所在を領土内に置きたいという流れは自然なことであると同時にクラウドのコストへのある種の限界点となるのかもしれません。