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地域の元気講座~NPOフュージョン研究所所長日記~

2010年1月13日 09:53

イケアが輸入する北欧文化

■北欧スタイル
 三連休の日曜日に、妻に肩を押されIKEA港北店に行ってきた。スウェーデン発祥のこの量販店。 覗いてみたいと思っていたモノの機会が無かった。
 今回の目的は自分の書棚を買い替えるため。だいたい書棚を買おうと思うと、まずは家具屋に行くのだが、デザインが悪いし、値段が高い。こちらがほしいのは「家に置く仕事用の書棚」なのに、家具屋では「リビング用家具としての書棚」しか置いていない。そのため値段が高くなる。
 かといって、通販で売っている書棚は安いのだけれど強度に不足している。デザインが良くてしっかりしていて、値段も手頃。そんな商品はないものか。と、思っていた。
 そこで、IKEAに行ってみたのだが、まずショッピングスタイルが日本とまったく違う。


20100113a.jpg

 

 エントランス脇には、商品番号・倉庫置き場所記入カード、鉛筆、貸し出し用カタログ、メジャーが置いてある。ここでカードと鉛筆をもってショールームを見て回るわけだ。気に入った商品の商品番号、倉庫置き場所をカードに記入する。買うものが決まったら、倉庫フロアに降りていく。


20100113b.jpg

 

 こんな感じで、組み立てる前の家具が置いてある。番号で指示された置き場所に行き、自分でカートに乗せ、レジにもっていく。
 デザインもなかなかよいし、人件費をかけていないから、安い。
 レストランもあり、スモークサーモンやスカンジナビアテイストの料理がバイキング形式で食べられる。


■量販店は文化装置
 かつてスーパーマーケットが輝いていた時代がある。そこに行くとアメリカ風の商品がたくさん並んでいて、アメリカンホームドラマに出てくるような生活を実感できた。今でも、紀伊国屋とかナショナルストアなどはその臭いを残している。
それに対して、中内功氏が薬屋から起こしたダイエーはまさしく「主婦の店」で、そのようなアメリカンウェイ・オブ・ライフとは縁がなかった。むしろ大量の安売り品が定価で売られていた。この大衆性が人気の源だった。ここにも高度成長から安定成長期のライフスタイルがよく表れていた。
 量販店はライフスタイルを伝えるショーケース、メディアの役割を果たしてきた。
 では、将来を体現した量販店はどこなのだろうか?


■DIYで社会を支える北欧スタイルへ
 私は、結局本棚を三つ買って帰ってきた。車で運ぶのや組み立ては自分で行った。翌日は腰痛に悩まされたが、DIYであることを考えればそれもよい。
 この店が、いま賑わいを生んでいる。
 値段は大衆向けでもデザインは北欧風。このDIYスタイルが、人気を呼んでいることは、今後の購買スタイルを暗示しているような気がしてならない。
 これまで、自分でできることを他人にしてもらって(手伝ってもらい)日本経済は膨らんできた。しかし、人口減少社会の郊外居住者はつつましく、自分でできることは自分でするというDIYの気分が強まっている。ここ数年の北欧人気の裏には、実際の消費者ライフスタイルの変化がひそんでいるのではないだろうか。
 店が客に「お客様」と尽くすのではなく、「店と客はDIYで社会を支えるパートナーだ」という気分がIKEAには感じられる。これまで北欧文化を体現した量販店なぞ無かっただけに、今後の成り行きを注視したい。

プロフィール
中庭光彦
中庭光彦 NPOフュージョン研究所所長・多摩大学総合研究所准教授
1962年生まれ。大田区居住ながら、1998年から多摩ニュータウンに通い続けている。経営の視点から、全国の地域づくりケースを収集。「コミュニティはツールだ」「水文化を知るとコミュニティがわかる」が持論。
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