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地域の元気講座~NPOフュージョン研究所所長日記~

2009年3月27日 14:12

コンベンション都市横浜と東京の差

■人が集まればコンベンション都市?

 コンベンション都市という呼び方で、都市を印象づけることがある。この場合の意味は、都市内に大規模コンベンション施設があり、そこに多数の人が集まることで宿泊・飲食・交通費など波及効果を狙おうというのが常識的に意味する所だろう。だから、政令指定都市規模の都市はどこもコンベンション都市を謳うし、富士吉田市や別府などの観光地もそう呼んでいた。
 そんな中、2000 年頃、私は横浜市をコンベンション都市とするための調査提案事業に関わっていた。横浜市といえば340 万人も人口を擁する国のような都市。その時は、国内外からの訪問者と地域の人材が交流することで、都市の人的資本や社会関係資本が蓄積され、コンベンションが都市の成長に寄与するというモデルを提案したのだが、タイミングが合わなかったのか、あまり相手にされなかったのを覚えている。


■施設は遜色ない?横浜

 その時に、横浜市や地元の方々が口々に東京と横浜との違いを申し立てていた。確かに、コンベンション開催件数は東京都と比べ横浜は少ない。それでも5000 人収用ホールをもつパシフィコ横浜があるためにその差はだいぶ縮まってきた。ただ、横浜でコンベンションが開かれても、宿泊は東京のホテルにする方が多い。
 またたとえば有名なミュージシャンの大規模海外公演などを企画すると、プロモーターは東京、名古屋、大阪、福岡とスケジュールを組む。なぜか。天候に左右されないドーム球場があるからだ。横浜には横浜アリーナがあるが、収容人数が球場に比べれば落ちる。


■PCOはリスクを怖れる

 コンベンションの開催地を選定するのは主催者だが、主催者に影響をおよぼすのが以前にも書いたプロフェッショナル・コングレス・オーガナイザー(PCO)だ。特にアメリカなどでは、団体の年間予算を預かり、主催者の代理としてすべてを取り仕切ることも多い。
 そのPCOが気にするのは、開催地が安心できるかどうかということだ。
例えば、事務局サービスを安心して任せられる現地プロダクションがあるかどうか。あるいは質の高い通訳や速記者がいるかどうか。参加者を満足させる旅行企画ができるかどうか、等々多々ある。
東京と横浜。どちらもコンベンション施設ではひけをとらない。しかし、もし私が大事なコンベンションを任されたPCOなら、おそらく東京を選ぶ可能性が高い。東京なら、通訳者が足りなくなってもすぐに手配できるなど「質の高いサービス供給力の遊び(slack)」がある。しかし、横浜は「遊び」までいっていない。
 会場収容力という必要条件が同じなら、あとはリスクの低い方を選ぶ。


■コンベンションを開くことは都市の力をつけること

 実はコンベンション都市たりえるかどうかというのは、この「質の高いサービス供給力の遊び(slack)」にかかっている。だから、本当にその都市をコンベンション都市にするということは、都市の知的成長基盤をつくることと何ら変わりはないことになる。都市成長の手段としてのコンベンションは、高度のサービス人材を育て取引する場をつくる産業政策手段としての一面ももっている。
このことを意識しているPCOはまだまだ少ないし、そもそも日本ではPCOの存在そのものが見過ごされていると私には思える。
 いま観光庁では、国際会議誘致件数を5割増やそうとしている。2007 年、日本で開催された国際会議は1858 件。(国際会議の統計は、日本政府観光局:JNTOがとっている
http://www.jnto.go.jp/info/conventions/
 これを増やすことは、都市の力をつけることと同じだということを、多くの人に知ってもらいたい。

この記事へのコメント

1. Posted by Shin Asai 2009年6月19日 21:09

一度お目にかかってお話をお聞きしたいです。

プロフィール
中庭光彦
中庭光彦 NPOフュージョン研究所所長・多摩大学総合研究所准教授
1962年生まれ。大田区居住ながら、1998年から多摩ニュータウンに通い続けている。経営の視点から、全国の地域づくりケースを収集。「コミュニティはツールだ」「水文化を知るとコミュニティがわかる」が持論。
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