QuonNet(クオンネット) まなぶ・つながる・はじまる・くおん




大西良雄ニュースの背後を読む

2013年4月

2013年4月22日 11:46

八雲立つ「出雲空港」で欠航の難儀に出くわしました

(2013年4月22日)

 講演などそんなに多くはないのですが、小生の場合、講演の旅先で予期せぬ出来事に見舞われる確率が高いようです。

 2年前の3月11日、茨城県日立市での講演の後、日立駅のホームで東日本大震災に遭遇しました。当日は余震で揺れる日立市のホテルに一泊、翌日の夜11時過ぎに何とか帰宅することが出来ました。その様子は当ブログにも書きました(「茨城県日立市でのささやかな震災体験」2011年4月15日筆)。


出雲縁結び空港に真っ黒い雲が低く垂れ込め
大国主命様が着陸を許さず? 欠航、足止め


 今度は地震ではありませんが、「出雲縁結び空港」で「雲害」に出くわし帰宅できず出雲市で再泊、月曜から2泊3日の旅が3泊4日になってしまいました。

 週末の土曜日には早稲田大学オープンカレッジの講義がありその資料がまだ出来ていません。山形新聞のデイリー連載も2本残っています。もう一つ、いつも飲んでいる血圧降下剤を持参するのを忘れ3日間も降下剤を飲まない状態に陥りました。小生は講義資料と記事が間に合うか気が揉めましたが、家内は血圧降下剤を飲まず脳梗塞を起こすのではないかと心配だったようです。

 先週4月15日、出雲市駅隣接のホテルに前泊、山陰本線の列車に乗ってエメラルド色の日本海を眺めながら西に移動、16日浜田市、17日益田市の2箇所で「日銀異次元緩和と日本の景気」などのお話をさせていただきました。講演は無事に終わり、益田駅から再び山陰本線に乗り出雲市駅に戻って「出雲(縁結び)空港」へ移動しました。そこまでは予定どおりでした。

 難儀が起こったのはそこからです。出雲空港の上空には真っ黒の雲が低く垂れ込めていました。出雲―羽田間のJAL機は1日5往復しています。羽田から出雲に来たJAL機が整備された後、今度は出雲から羽田に向かうことになります。ですから、羽田から来た便が出雲空港に着陸できなければ羽田行きは欠航になってしまいます。

 その羽田からの17時30分出雲空港着の便が低く垂れ込めた黒い雲に遮られ着陸できず岡山空港に向かってしまったのです。小生が乗るはずだった18時15分発羽田行きJAL1672便は岡山に飛び去り欠航となってしまいました。これが最終便でしたので万事休すです。翌日の7時35分出雲発羽田行きの第一便は満席でしたので9時40分発の第2便を予約した後、15日夜泊まった出雲市駅隣接のホテルに再予約を入れ1日延泊することにしました。

 「八雲立つ出雲の国」とはよく言ったものです。「出雲」の語源をネットで調べてみたのですが、「いずる雲が日の光を遮る根の国」という意味もあるそうです。出雲大社ではこの連休明けの5月10日、大国主命(大黒様)にお遷りいただく60年に一度の平成の大遷宮が行われます。大黒様がお遷りになる前、小生のような口先だけのジャーナリストを懲らしめるために出雲空港の上空に黒雲を遣わし、一時、日が射さない根の国にしたのかもしれません。

 それにしても雨も降らず風も弱い状態で、空港の上空に雲が垂れ込めただけで着陸できないというのも腑に落ちません。空港のアナウンスでは、雲があまりに低く垂れ込めているために着陸寸前までパイロットが滑走路を確認できず着陸できないそうです。雲が低く垂れ込めればレーダーなど近代兵器は役に立たず目視だけが頼りということなのでしょうか。


翌朝も雲が垂れ込め滑走路が確認できずまた欠航?
新幹線振り替えで東京まで約8時間、さあどうする


 翌朝の出雲市の天候も曇りでした。少し心配になりましたので早めにホテルを出て出雲空港に向かいました。空港の上空を昨日と同じような低い雲が覆っており、予約した9時40分発の羽田行きJAL機が出雲空港に着陸できるか心配です。昨日の欠航で羽田行きの予約は満席、大勢の搭乗待ち客が固唾を呑んで羽田発JAL1663便(ボーイング737機)の着陸を待っています。

 9時近く、「1663便は着陸態勢に入りました」とアナウンスがありました。小生も含め搭乗ロビーにいた予約客から安堵の声が上がりました。ところが、そのアナウンスのすぐ後、「雲のため滑走路を確認できず1663便は上空で旋回待機しています。午前11時まで着陸できない場合、伊丹空港に回る予定です」と再びアナウンスされ、搭乗ロビーには落胆のため息があふれました。

 搭乗予定の羽田行き第2便が欠航になれば、次は13時発の羽田行き第3便の予約をとらなければならないのですが予約が取れるか分かりません。飛行機を諦め新幹線で東京に戻る算段をする必要があります。講演に呼んで頂いた「山陰中央新報」の担当の方に新幹線利用の際の帰路を携帯電話で確認しました。

 最短帰路は、出雲市駅から「特急やくも」に乗って岡山駅に出て新幹線に乗り換え東京駅に至るというルートです。特急やくもで東へ松江、米子を経由して伯備線を南行、中国山脈を越えて岡山へ至るのに約3時間かかります。出雲の国から列車で瀬戸内に出る最短時間が3時間というわけですから、出雲の人たちのご苦労がしのばれます。

 その後、新幹線で岡山から東京まで3時間半、東京駅から所沢の自宅まで1時間半、出雲市駅から自宅まで合わせて最短でもおよそ8時間の長旅です。午前11時に羽田行きの欠航が決まりそれからすぐ新幹線に振り替えても帰宅は夜の21時近くになります。山形新聞のデイリー連載は新幹線で執筆し電話送稿するしかありません。20日土曜日の早稲田の講義資料は帰宅後に徹夜して仕上げるほかありませんが、4月19日は小生68歳の誕生日です。徹夜明けの誕生日になるとは、なんてこった...。

 というようのことを思い浮かべていたその時、垂れ込めた雲の隙間からボーイング737機がスーと降りてきたではありませんか。そのスリムな美しいご機体に見とれながら、小生、どっと力が抜けました。そして搭乗ロビーは拍手と歓声に包まれどの顔も笑顔でいっぱいになりました。見ず知らずの人たちでしたが、親戚同士のような妙な連帯感が生まれ嬉しくなりました。

 雲が低くても滑走路が見えれば離陸のほうは出来るのですね。11時過ぎには羽田行き1664便は2時間遅れで出雲空港を離陸しました。帰宅して早速、血圧降下剤を家内に飲まされ、その後、慌てて仕事に取り掛かり、徹夜せずに講義資料と2本の連載記事を仕上げることが出来ました。

 雲の隙間を作っていただいた大国主命(オオクニヌシノミコト)様、有難うございました。

2013年4月 8日 00:14

日銀「異次元緩和」で起きた2つの異常事態

(2013年4月8日筆)

 黒田新総裁下の日銀が「異次元緩和」に踏み切った翌日、4月5日の市場では将来を予見する2つの異常事態が発生した。

 一つは東証1部の株式売買高が64億4900万株と史上最高を更新したことだ。1980年代後半の第一次バブル期でも30億株程度が最高だったように記憶しているが、その2倍以上に膨らんだことになる。


含み資産株の三菱地所がストップ高、予想PERは87倍
黒田総裁「バブルとは思っていない」、いや「バブル歓迎」?

 この日、日本最大の三菱地所が一時ストップ高になった。異次元の金融緩和によって都心部地価が上昇し三菱地所が丸の内一体に保有する膨大な土地の含み益が拡大するという投資家の判断もあったのだろう。ストップ高の後、さすがに上げ幅を縮小したが終値は299円高(10.5%高)の3145円、予想PER(株価収益率)は87倍に達した。

 予想PER30倍以上になると株価はバブル(理屈なき上昇)入りするといわれるが、三菱地所はこの水準をはるかに超え立派なバブル株価に達した。三菱地所の予想PER87倍になったと知って思わず日経平均採用225銘柄平均のPERが89倍に達した第一次バブル期を思い出してしまった。

 黒田日銀総裁は、「異次元緩和」の記者会見で「バブルとは思っていない。ただ資産価格の上昇は十分注視したい。80年代後半に資産バブルが生じたのは紛れもない事実だ。金融政策の緩和が行き過ぎた面もあった。教訓は十分頭にいれ動向を注視したい」と述べた。

 しかし黒田総裁は「資産バブルでないとは何を持って判断しているのか」(日経新聞4月5日朝刊)という記者の質問に答えることが出来なかった。株価のバブル度は予想PERやPBR(株価純資産倍率)などの株価指標で判断できるが、その指標については応えなかった。

 応えるはずはない。黒田総裁は「異次元緩和」による株価や地価など資産価格の上昇にデフレ脱却の役割を担わせようとしているのだから、資産価格の上昇を妨げるような発言をするはずがない。財務省出身の「安倍リフレ」ブレーンの大学教授は、「バブルのどこが悪い、金融引き締めでバブルを潰した三重野(元日銀総裁)が悪い」とのたまっている。黒田総裁の本心もその辺にあるとすれば背筋が寒くなる思いだ。


国債が一時急落、東証はサーキット・ブレーカーを発動
国債売買の債券ディーラーにつきまとう狼狽売りの不安

 もう一つは、国債価格が一時、急落したことだ。これに対して東京証券取引所が2度にわたってサーキット・ブレーカー(取引の一時中断措置)を発動する事態も発生した。サーキット・ブレーカーは価格急変に狼狽する投資家に冷静さを取り戻させるために発動される。サーキット・ブレーカーが発動されたのはリーマン・ショック後の2008年10月14日以来のことだという。

 4月5日朝方、日銀の長期国債買い入れ倍増方針を受けて買いが殺到、国債価格は急騰し長期金利(10年もの国債の流通利回り)は過去最低を更新する0.315%に急低下した。しかし午後1時過ぎ、事態は急変し売りが殺到、国債価格が急落し投資家の狼狽売りを招きかねない事態に直面、東証は2度にわたってサーキット・ブレーカーを発動した。この間の国債急落によって長期金利は一時0.620%に跳ね上がった。

 「先物市場で海外勢の利益確定売りがでた」とか「メガバンクの一角が売った」とか、情報が錯綜したため市場では売りが殺到したと日経新聞4月6日朝刊は伝えている。アベノミクス以来、値上がりを見込んで日本国債の先物をたらふく買ってきた海外ヘッジファンドが「異次元緩和」発表が天井と見て国債先物の利益確定売りに転じた。日本のメガバンクも過去最高に跳ね上がった国債価格に対する高値警戒感(急落懸念)から売り急ぐ――。ありそうな話である。

 長期金利(国債流通利回り)は国債価格が上昇すれば低下し国債価格が下落すれば上昇する。従って長期金利が過去最低を記録したということは国債価格が過去最高を更新したことを意味する。過去最高へ跳ね上がった国債価格に高値警戒感を持たない債券ディーラーなどいないのではないか。

 株式ディーラーは「異次元緩和」で株高間違いなしとして黒田日銀にもろ手を挙げ賛同している。為替ディーラーも「異次元緩和」による円安継続に自信を持っている。これに対して債券ディーラーは国債上昇の持続性に確信が持てない。それどころか彼らは、何かのきっかけで「国債バブル」が崩壊し国債価格が急落するのではないかといつも脅えているように思える。だから彼らは「異次元緩和」を機に未確認情報に踊らされ狼狽売りに走ったのではないか。


新規国債をすべて日銀が実質的に買い入れる格好に
それでも「財政ファイナンス」ではないのか

 今回の「異次元緩和」には、政府の財政赤字を日銀が赤字国債を引き受けて補填するという「財政ファイナンス」の疑いが常につきまとう。赤字を垂れ流した結果、同じ政府部門である中央銀行が引き受けなければ発行できなくなった国債など売られても仕方がない。そう彼らは内心思っているかもしれない。

 政府・財務省は借換債の発行を含め2013年度170.5兆円もの国債発行を計画している。このうち金融機関などによって市中消化される長期国債発行額(満期1年以上)は126.8兆円(下表)だ。今回の「異次元緩和」によって日銀は長期国債を現在の2倍にあたる月間7兆円~7.5兆円(年間84兆円~90兆円)買い入れることになった。日銀の長期国債買入れ予定額は市中消化長期国債の実に70%に達するのだ。

2013年度―政府の国債発行計画と日銀の国債買入れ計画
hyo1.PNG

 その結果、日銀の2013年末の長期国債保有の純増額(長期国債買入れ額のうち償還された満期国債への再投資分を除く)は49兆円となる。一方、2013年度に発行される新規長期国債発行額は45.5兆円にのぼる。日銀は買入れ増額によって市中経由だが新規国債をそっくり買い上げて財政赤字を補填する格好になる。これは実質的な「財政ファイナンス」ではないのか。

 黒田総裁は「財政ファイナンスではないのか」と問われ「財政ファイナンスの意図はない」と応えた。確かに日銀は国債を市中から買い入れるから国債の直接引き受けではない。だから日銀総裁は「財政ファイナンスの意図はない」と応えたのだろうが、歯切れは良くなかった。

 日銀総裁が「意図はない」と言っても、格付機関や為替ディーラーなど市場が「実質的な財政ファイナンスだ」と判定することは大いにありうる。その判定が下されるのは今秋、消費税率引き上げの実施の可否が判断される時かもしれない。巨額の補正予算を組んで公共事業費を倍増させたにもかかわらず景気が良くならない。だからといって消費増税を先送りするようなことになれば財政再建は覚束ない。財政再建がまた遠くなると判断されるとサーキット・ブレーカーが必要となるような国債の狼狽売りが再発しかねない。

2013年4月 1日 00:27

大幅人口減少の市区町村――減築とコンパクト化が不可避

(2013年4月1日)

 国立社会保障・人口問題研究所が2010年の国勢調査に基づく「地域別将来推計人口」を発表した。これには48都道府県別、1683市区町村別にそれぞれ2040年までの人口と人口構成(年少0~14歳、生産年齢15~64歳老年65歳以上、75歳以上)の推計値が算出されている。

2040年の人口と老齢化率-群馬県南牧村と埼玉県所沢市

hyo1.PNG
 いまさらながらだがその推計値には衝撃を受ける。皆さんがお住まいの市区町村も出ているのでぜひ国立社会保障・人口問題研究所のホームページをのぞいて欲しい。上表は、全国市区町村の中で2010年~2040年までの人口減少率が最も高い群馬県甘楽郡南牧村(なんもくむら)と小生が住んでいる埼玉県所沢市の推計値である。


人口減少で市区町村の22%が「人口5000人未満」
地方の「村」「集落」、都市の「高齢化地区」は維持できるか


 南牧村は2010年の高齢化率(65歳以上の比率)がすでに57.2%に達しており、2006年以来、日本一の高齢化自治体として知られる。出生者が少なく死亡者が多い極端な少子高齢化の結果、2040年の人口は2010年に比べ71%減、総人口は702人になる予想だ。これでは行政組織としての「村」を維持することは不可能である。

 南牧村と同じような2040年の人口が1000人以下となる村は全国で56村ある。市区町村が行政組織を維持できる最低限の人口規模がどれぐらいか、専門家でないのでよく分からない。しかし仮に「人口5000人未満」だとすると2040年に5000人以下になる地区町村は370(2010年226)に増加、全体の22%(同13.4%)に達すると予想されている。北海道では半数以上の自治体が5000人未満になる。

 東京近郊のベッドタウン都市である所沢市でも2040年までに人口は11.1%減少する。衝撃的なのは老齢化率だ。2010年の65歳以上の人口比率は20.7%にとどまるが、2040年には5人に2人が65歳以上、老齢化率は39.4%に達する。所沢市は30年後でも30万人の人口規模を確保できるから何とか行政組織として「市」の機能は維持できるだろう。しかし、防衛医大は高齢受診者で満杯、広大な航空記念公園も日中から散歩に訪れる高齢者で溢れることになる。老齢化による行財政負担の重さは想像を超える。

 所沢市のような大都市圏の場合、どこでも高齢者の増加率が問題になる。65歳以上の人口増加率が全国でも高い都道府県は埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、沖縄県の5つだ。これらの都道府県では65歳以上の人口が2010年から2040年の30年間で40%以上増加する。地方圏から大都市圏へ移動した団塊の世代や団塊ジュニアが高齢人口を大きく押し上げる。

 南牧村ほどではなくとも大都市圏でもそれに準ずるような高い高齢化率に達する地区が出現する。新宿区の戸山地区や東京都下の多摩ニュータウンなど高齢化率が急速に高まり行政による住民のケアが行き届かない地区も出てきている。地方圏の過疎の限界集落でも大都市圏の高齢地区も事情は同じだ。高齢化による社会保障支出の増大、税収減少で厳しい財政状況に陥り、「村」や「集落」や「地区」という行政単位を維持できなくなることが予想される。

 人口の将来推計は最も確度が高い統計だとされている。飛躍的に出生率が高まるか、激しい天変地異に見舞われ死亡率が急激に高まるようなことがない限り、人口減少は推計値どおりに推移する。とすれば以上のような地区町村の2040年の人口数と人口構成は実現する将来として受け入れざるを得ない。


「村」「集落」「地区」を現状のまま維持できない
地域を「減築」し市街地中心部に生活・行政機能を集積


 では人口減少に見舞われ高齢化した地方の「村」や「集落」、都市の「地区」をどうすればいいのか。現状のまま財政支援を続けそれらの地域の行政機能を維持するのか、それとも地域を集約し行政機能を縮小するのか、決断の時期は迫っている(とうに決断期は過ぎていると思うが...)。

 現状のまま財政支援を続け行政機能を維持するという選択肢はあり得ないだろう。いまでも日本は1000兆円超の政府債務(借金)を抱え、その借金の元利支払いを数少ない将来世代が強制的に負担させられることになるのだ。

 ちなみに2040年の14歳未満の幼少人口比率は10.0%、65歳以上の老齢人口比率は36.1%、合わせて従属人口比率は46.1%だ。これに対し税金や社会保険料を負担する形の生産年齢人口(15歳~64歳)は53.9%にとどまる。ほぼ生産年齢者1人が従属者1人を養うことになる。そのうえ彼らの肩には膨大な借金の返済負担が乗っかるのだ。彼ら、将来の所得稼得者に「村」や「集落」、「地区」を現状のまま維持して欲しいとはとてもいえないだろう。とすれば行政機能の集約と縮小という選択肢しか残されていないことになる。

 そこで行政機能を集約し縮小する方法だが、まず公共施設の「減築」だ。人口減少は進み人がまばらにしか住んでいない地域では、今ある学校や公立病院、公民館、図書館など公共施設は明らかに過剰だ。過剰な公共施設を維持する財政的余裕は全くない。すでに学校の廃校や自治体病院の縮小は進んでいる。今後もこれら過剰施設を放棄し集約再編するための「減築」が必要になる。維持補修費が嵩む道路も橋も必要に応じて間引く必要がある。

 しかし公共施設を減築したり道路を間引いたりすれば地域に孤立して散在する高齢者たちやその家族はそこに住めなくなる。そこで解決策として構想されているのが「コンパクトシティー」だ。コンパクトシティーとは、地域・地区に散在する生活・行政機能、都市機能を市街地中心部に集約するとする構想だ。

 特に重要なのは地域に分散立地している小規模な医療施設を市街地中心部に集約し、出来れば大規模化するという点だ。医療施設の周辺に介護施設なども集めればなお良い。医療や介護が近くにあれば高齢者も高齢者を介護する家族もそこに住みやすくなる。高齢者や家族が市街地中心部に移り住むための行政支援は大いに必要になるが、それに成功すれば人口規模が大きくなり商業施設が市街中心部に戻ってくる。寂れた「シャッター街」が復活するかもしれない。

 盛り込まれる都市機能が魅力的であればあるほど「コンパクトシティー」への人口集積が高まり寂れた市街地中心部は活性化する。人口減少社会では、地域の「減築」と「コンパクト化」が不可避である。コンパクトシティーの構築のために、地方自治体は孤立し散在する地域住民が市街地中心部へ移り住みたくなるような施策、予算投入を競う合うことが必要だ。そこが地方官僚の知恵の見せどころになる。
プロフィール
ニックネームさん
大西良雄(経済ジャーナリスト)
上智大学卒業後、東洋経済新報社に入社。記者を経て「月刊金融ビジネス」、「週刊東洋経済」編集長を歴任。出版局長、営業局長の後、常務第1編集局長を最後に独立。早稲田大学オープンカレッジ講師のほか講演・執筆活動。
月別アーカイブ
2017年9月
2017年8月
2017年7月
2017年6月
2017年5月
2017年4月
2017年3月
2017年2月
2017年1月
2016年12月
2016年10月
2016年9月
2016年8月
2016年7月
2016年6月
2016年5月
2016年4月
2016年3月
2016年2月
2016年1月
2015年12月
2015年11月
2015年10月
2015年9月
2015年8月
2015年7月
2015年6月
2015年5月
2015年4月
2015年3月
2015年2月
2015年1月
2014年12月
2014年11月
2014年10月
2014年9月
2014年8月
2014年7月
2014年6月
2014年5月
2014年4月
2014年3月
2014年2月
2014年1月
2013年12月
2013年11月
2013年10月
2013年9月
2013年8月
2013年7月
2013年6月
2013年5月
2013年4月
2013年3月
2013年2月
2013年1月
2012年12月
2012年11月
2012年10月
2012年9月
2012年8月
2012年7月
2012年6月
2012年5月
2012年4月
2012年3月
2012年2月
2012年1月
2011年12月
2011年11月
2011年10月
2011年9月
2011年8月
2011年7月
2011年6月
2011年5月
2011年4月
2011年3月
2011年2月
2011年1月
2010年12月
2010年11月
2010年10月
2010年9月
2010年8月
2010年7月
2010年6月
2010年5月
2010年4月
2010年3月
2010年2月
2010年1月
2009年12月
2009年11月
2009年10月
2009年9月
2009年8月
2009年7月
2009年6月
2009年5月
2009年4月
2009年3月
2009年2月
2009年1月
2008年12月
2008年11月
2008年10月
2008年9月
2008年8月
2008年7月
2008年6月
2008年5月
2008年4月
2008年3月
2008年2月
2008年1月
2007年12月
2007年11月
2007年10月
2007年9月
2007年8月
2007年7月
2007年6月
2007年5月
2007年4月
2007年3月
2007年2月
2007年1月
2006年12月
2006年11月
2006年10月
2006年9月
2006年8月
2006年7月
2006年6月
2006年5月
2006年4月

ページトップへ

カレンダー
<< 2015年04月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
最新記事
今なぜ衆院解散、10月総選挙に大義はあるのか
北朝鮮はどのような外交的解決を求めているのか
キム(金正恩)リスクよりトランプリスクが怖い
もう誰も信じない? 安倍総理の「経済最優先」
「支持なし(無党派)層」が65%強 ――安倍一強の受け皿を築く時
最新コメント
大西先生にお願い:弱...
Posted by Anonymous
北は朝鮮半島統一を目...
Posted by kodera etuko
日本のシェクスピァ今...
Posted by Anonymous
はは、全く面白い時代...
Posted by キリ
1.安倍内閣は「何を...
Posted by Anonymous
最新トラックバック
【記事】今なぜ衆院解散、10月総選挙に大義はあるのか
from QuonNetコミュニティ
【記事】北朝鮮はどのような外交的解決を求めているのか
from QuonNetコミュニティ
【記事】もう誰も信じない? 安倍総理の「経済最優先」
from QuonNetコミュニティ
【記事】「支持なし(無党派)層」が65%強 ――安倍一強の受け皿を築く時
from QuonNetコミュニティ
【記事】安倍一強への嫌悪感が噴出――都議選で自民が歴史的惨敗
from QuonNetコミュニティ