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大西良雄ニュースの背後を読む

2012年3月

2012年3月30日 10:53

なぜわが日本の総理は韓国大統領の後塵を拝すのか

(2012年3月30日筆)

 韓国・ソウルで開かれた第2回目の核安全保障サミットでは、野田佳彦総理は、オバマ大統領など12カ国の首脳と5分以内の「立ち話」の懇談になんとかこぎつけたと「朝日新聞」(3月28日朝刊)は報じました。

 ただ、各国首脳に名前も顔も十分には覚えられていない野田総理です。「立ち話」程度では懇談相手の首脳が聞く耳を持つはずがありません。一方、ホスト国の韓国・李明博大統領は、米国・オバマ米大統領、ロシア・メドベージェフ大統領、中国・胡錦濤国家主席と相次いで2カ国会談を重ねました。十分時間を取っての熟議だったようです。


野田総理は「国会審議に毎日呼ばれて磨耗する」
その結果、各国首脳と5分間の「立ち話」


 思い出すのは、2年前、ワシントンで開かれ初回の核安保サミットでの屈辱です。このサミットでは、米軍普天間基地の移転問題で迷走を重ねた鳩山由紀夫総理(当時)がオバマ大統領に首脳会談を断られ、夕食会の席上での10分間の「臨席懇談」でお茶を濁されてしまいました。米国のジャーナリズムからは「日本が参加国最大のルーザー(敗者)」と評される始末でした。

 野田総理の場合、鳩山元総理ほどの失策はなく愚かでもありません、時間さえあればオバマ大統領とも会談できたはずです。しかし、ご本人が言うように「日本のリーダーは国会審議に毎日呼ばれて磨耗する」仕組みになっており、首脳会談に時間を割くことができないのも事実でしょう。

 李大統領が精力的に首脳会談をこなしている最中、野田総理は参議院予算委員会で北朝鮮のミサイル発射問題に関して自民党など野党の追及を受けていました。なんだか本末転倒、核安保サミットで国内より先に北朝鮮のミサイル発射問題を国際間で話し合い、それを持ち帰って国会で論議すべきです。

 しかも野田総理を足止めまでした参議院での議論は聞くに堪えない内容でした。北朝鮮ミサイルの迎撃体制をめぐる田中直紀防衛大臣の答弁をいつものようにあげつらい政争の具に供する始末でした。能力が疑われる田中防衛大臣を登用したのは野田総理ですが、田中氏は小沢グループから送り込まれた人材です。本人は意識していないでしょうが、田中直紀氏は不勉強をさらすことで結果として野田総理を追い詰める役割を小沢グループから与えられていることになります。


田中防衛相を筆頭に不勉強な小沢グループ
果てしない党内抗争が外交の足を引っ張る


 そういえば、すでに解任された「(防衛問題には)素人ですから」発言の一川保夫前防衛相も「マルチ商法疑惑」の山岡賢次消費者担当相も小沢グループでした。小沢グループには閣僚にふさわしい人材など1人もいないのですね。小沢一郎氏には田中氏、一川氏、山岡氏のような不勉強な議員でも「数は力なり」なのでしょうね。

 ベテラン議員の一川氏らですらそうなのですから一年生議員の小沢ガールズに政策など分かるはずがありません。ですから彼らは、御大の小沢氏が「財源はいくらでもある」(増え続ける社会保障支出をまかなう恒常的な財源がどこにあるのか、彼は一切明らかにしていません)といえばごもっとも、「消費増税はマニフェスト違反」といえばおっしゃるとおりと鸚鵡返しの返事しかできないのでしょう。小沢氏肝いりの「09年マニフェスト」の主要政策が財源、政策効果の両面からすでに破綻していることすら彼らには理解できないようです。

 そんな不勉強な小沢グループが、10%への消費税増税を訴え代表選挙で勝った野田総理が政治生命を掛けて取り組んでいる「社会保障と税の一体改革」を潰そうとしているのです。代表選の勝者が唱える「一体改革」に反対なら小沢グループは離党すべきでしょう。しかし彼らは離党せず果てしない党内抗争を仕掛けているのです。その狙いは、小沢氏による党内権力の奪取、政党交付金の独り占めによる勢力維持にしかないといってよいでしょう。

 この国際感覚なき果てしない党内抗争もまた、野田総理に5分間の「立ち話」外交を余儀なくさせる大きな原因になっているのです。


李大統領に与えられた「熟議の時間」
なぜ日韓首脳の扱いにこれほど差がついたのか


 国内の政争に手足を縛られ野田総理が「立ち話」外交に終始したことは国益を損ずる事態です。これに対し韓国の李大統領には各国首脳から「熟議の時間」が与えられました。いまや李大統領とオバマ大統領との関係は、中曽根・レーガン、小泉・ブッシュの関係にも劣らない親密さだそうです。李大統領は、ロシアのメドベージェフ大統領とも懇意の間柄だというではありませんか。李大統領は核安保サミットで国益をさらに高めることができたに違いありません。

 韓国の人口は約4900万人、日本の3分の1以下です。成長著しいとはいえ韓国の名目GDP(国内総生産)は約1兆ドルでまだ日本の5分の1以下にとどまります。しかし、韓国の大統領・李明博氏への国際社会の扱いは、野田総理、ひいては日本の総理の扱いの5分の1ではなく5倍にもなるように思えます。なぜ日韓トップの扱いにこのような差が付いてしまったのでしょうか。

 自民党単独政権が崩壊した細川政権以降、自公連立で安定政権を築いた小泉内閣を除き、歴代の総理は短命に終わりました。連立内、党内の政争が繰り返され次から次へ総理が取り替えられたのです。与党、野党を問わず政治家の多くは、小異にこだわるあまり国民のために大同に付くという作法を身に着けることを怠ってきた結果ですが、そのトガが国際交渉の場に出たというべきでしょう。毎年変わる日本の総理などとは不安で付き合っていられませんから。

 一方、韓国は大統領制で李大統領は4年の在任が保証され、他国の首脳も安心して相談を持ちかけられます。これが積もり積もって日韓トップの扱いの差になったというのが定説です。


韓国は開かれた貿易立国の道を選んだ
その結果、国連事務総長も次期世銀総裁も韓国系


 しかし、それだけではないと思います。韓国が1987年のアジア金融危機以来、国際的に開かれた貿易立国の道を選んだという政治の決断が大きいのではないでしょうか。「日本は内需が豊かだが、内需に期待できない韓国は外需、つまり輸出で生きていくほかない」とアジア金融危機以降の歴代大統領は決断したのです。韓国はグローバルな自由経済の中に生きる道を選択したのです。

 ですから韓国は昨年7月に対EUでもFTAを発効させました。李大統領は過去の歴代大統領の考えを受け継ぎ国内農業者の反対を押し切って米韓FTA(自由貿易協定)を締結、今年3月、実施にこぎつけました(日本は米、EUとのFTAは未締結です)。次は日中韓FTA交渉ですが、国内政争に足を引っ張られて決断できない日本を外して「中韓FTA」の締結が先行する可能性すらあります。そうなると日本は世界の3大輸出先である中国、米国、EUで韓国の後塵を拝することになります。

 米韓FTAは米韓双方に輸出拡大をもたらすものですが、とくに輸出倍増を国民に約束したオバマ大統領は李大統領に米韓FTAで借りを作ったようなものです。

 そのお返しなのでしょうか、オバマ大統領は次の世銀総裁として米ダートマス大学学長のジム・ヨン・キム氏を推薦しました。キム氏は3歳で米国へ移住した韓国系の米国人ですが、韓国系を世銀総裁に推薦することで李大統領に敬意を表したに違いありません。国際機関の韓国人では国連事務総長になった元韓国外交通商部長官(外務大臣)の潘基文(バン・ギムン)氏をすぐ思い浮かべます。

 もし世銀総裁にキム氏が就任すれば、韓国は国連事務総長、世銀総裁という国際社会の中核機関のポストを獲得することになります。日本人ではかつて緒方貞子氏が国連難民高等弁務官、松浦晃一郎氏がユネスコ事務局長に登用されました。現在は天野之弥氏が国際原子力機関(IAEA)事務局長として活躍しておられますが、日本人の登用は国連の中核ではない周辺機関に止まります。

 韓国系人材が世界経済、外交の中枢にのぼることには同じアジア人として敬意を表します。その一方で小生は、内政一辺倒で反グローバル、国際標準から程遠い政治家たちによって日本の外交、経済上の国益がどんどん失われていくことを憂慮します。

2012年3月23日 09:55

キャッシュ残高8兆円のアップルに何を学ぶ

(2012年3月23日筆)

 経済誌編集長だった頃の経験から言えば、失敗した会社の特集など売れたためしがありませんでした。成功した会社の特集のほうが確実に売れます。読者が知りたいのは成功した会社の経営ノウハウだからです。

 古くはソニー、ホンダ、松下電器(現パナソニック)、イトーヨーカ堂、近くはトヨタ、任天堂、ソフトバンク、直近ではファーストリテイリング(ユニクロ)、ファナックなどが売れ筋の会社特集ということになります。しかし、いま全盛のユニクロもファナックも四半期(3ヶ月間)ごとにおよそ1兆円ものキャッシュ(手許現金)を積み上げるアメリカのアップルには遠く及びません。

 キャッシュ残高は主として毎期の営業成績(純利益)や効率の良い設備投資が原因で積み上がります。アップル社では高機能携帯電話端末「アイフォン」、タブレット型高機能情報端末「アイパッド」の2本柱が稼ぎに稼いでいます。にもかかわらず亡くなった創業者スティーブ・ジョブズ氏は17年間も配当を実施せず、昨年12月末までに976億ドル(約8.1兆円)ものキャッシュ残高を積み上げたようです。

 このまま行くとどこまで積み上がるか分かりません。ジョブズ氏のあとを継いだティム・クック最高責任者(CEO)はこのうち450億ドル(約3.75兆円)を今後3年間で配当と自社株買いによって株主に還元すると表明しました。アップルの株価は2010年2月に200ドルを突破、直近の2012年3月19日には605ドルに上昇しました。2年と1ヶ月で株価は3倍、しかも多額の株主還元が得られるのですからアップルの株主は幸せですね。

アップルのキャッシュ残高はトヨタの4倍、ソニーの8倍
hyo.PNG それはさておき、かつて経済誌の売れ筋企画によく選ばれた日本の製造業の人気企業のキャッシュ残高(現金及び現金同等物、昨年12月末)と時価総額(3月21日現在)、従業員数(アップルは昨年9月末、他は12月末)をアップル社のそれと比べてみましょう(上表)。


アップルの時価総額はトヨタの4倍、ソニーの27倍
アップルに純利益率は28%、ソニーは最高益でも4%


 トヨタのキャッシュ残高はアップルの4分の1、パナソニックは8分の1しかありません。かつてトヨタ、パナソニックには「トヨタ銀行」、「松下銀行」といわれたキャッシュリッチ企業の面影はありません。

 時価総額は会社の市場価値を表しますが、アップルの時価総額は日本最大であるトヨタ自動車の約4倍です。しかもアップルはトヨタの約5分の1の従業員数(連結ベース)でトヨタの4倍の市場価値を生み出しているのです。同じエレクトロニクス企業であるソニーと比べると、アップルの時価総額はソニーの27倍にのぼりますが従業員数はソニーの約3分の1にすぎません。

 この彼我の差には驚きを禁じえませんが、彼我の差についてもうひとつの数字を挙げてみます。それは売上高純利益率です。アップルの2011年10~12月期の売上高純利益率は約28%でした。このアップルの売上高純利益率を日本企業が過去最高の純利益を計上した時点と比べてみます。

 トヨタとソニーが最高純利益を計上したのはリーマンショック前の2008年3月期です。その決算期のトヨタの売上高純利益率は約9%、ソニーのそれは約4%に止まります。2009年3月期に最高純利益をはじき出した任天堂の、当時の純利益率は約15%でした。今2012年3月期に最高純利益が予想されるファナックの純利益率は28%です。

 アップルの純利益率に肩を並べると評価できるのは09年3月期の任天堂、今期のファナックだけでしょう。トヨタ、ソニーは最高純利益を計上した決算期でもアップルの足元に遠く及びません。日本を代表するビッグビジネスの利益率の低さにはいまさらながら驚かされます。

 アップルと日本のトップ製造業の間にあるこの収益力の差、ひいては市場価値(時価総額)の差はどこから生じているのでしょうか。


「少品種大量生産」方式でスケールメリットを満喫
ファブレス(自社工場も持たない)方式にも利点


 アップルが「アイフォン」や「アイパッド」などユーザーに熱狂的に受け入れられる革新的な製品を生み出したのに対して、ソニーを筆頭に日本のエレクトロニクス企業からは革新的商品が生み出されていないという点が第一でしょう。革新的商品は創業者であるスティーブ・ジョブズ氏の独創性の賜物だというのが定説です。ただ、アップルには製造から販売に至るまで、高い利益率をはじき出すことができるビジネスモデルが存在するという点も見逃せません。

 「週刊東洋経済」(2012年3月24日号)の第2特集「アップルの"賞味期限"」では「アップル躍進の構造は極めてシンプルだ」と書いています。そのアップルのシンプルな経営方式を小生なりの解釈でかいつまんで紹介します。

 まず、少品種大量生産という方式です。アップルでは全売上高の7割を「アイフォン」と「アイパッド」という2つの製品が占めます。さらにこの2製品に使われる主要部品は、基本ソフト(OS)が「iOS」、中核の半導体が「A5」シリーズ(製造はサムスン電子)という具合に全く同じものです。主要部品に同じものを使って少品種の製品を大量生産するのですから、スケールメリット(規模の利益)が生まれて当然です。

 第2は、ファブレス(自社工場を持たない)生産の方式です。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の中国工場がアップル製品を一手に受託生産していることはよく知られています。中国の受託生産工場で使用される電子部品のほとんどは、韓国のサムスン電子、LG電子グループ、日本の東芝、村田製作所、ソニー、TDKなどから調達されています。アップルはこれらを含め世界153社(1月13日に初公表)から部品を調達して受託生産に回すことになります。このサプライチェーン(部品供給網)の管理を担当してきたのがティム・クック新CEOでした。

 クック氏が築いたサプライチェーンの管理・運営方式の詳細は分かりませんが、かつてのトヨタ生産方式に匹敵する極めて厳密なものだといわれています。管理・運営がうまければファブレス方式から多くのメリットを得られます。アップルは、工場建設に掛かる設備費用、工場運営に関わる人件費など固定化する危険がある費用を省くことができますし、膨大な資金負担も発生しません。一方、自らは新製品・新サービスの開発と販売に人的パワーを集中できます。

 たぶん少品種多量とファブレスという2つのアップル方式が「純利益率28%」という製造業に例を見ない高い利益率をもたらしているのでしょう。


日本勢は多品種ワンセットの一貫生産方式に拘泥
少品種で自社一貫生産のファナックに学びたいが......


 それに引き換え日本勢は、系列、関連会社を含め素材、部品、製品、販売、サービスすべてを手掛ける「一貫生産方式」からいまだ脱却できない状態になります。手掛ける製品も数え切れません。電機・電子製品であれば電子レンジ、洗濯機、冷蔵庫から薄型テレビ、太陽電池パネルまで多種多様です。車であれば軽自動車、トラックから乗用車、スポーツカー、ハイブリッド車までグループですべて揃うワンセット方式を続けています。

 アップルには「アイフォン」「アイパッド」が売れなくなって利益が急減するというリスクはつきまといます。生産の外部委託や部品の外部調達にもリスクはあります。任天堂は少品種多量生産、ファブレスで先駆しましたが、稼ぎの元だった携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」と据置型ゲーム機「Wii」の伸びが鈍ると一気に赤字に転落しました。

 だからといってリスクが分散される多品種ワンセットの一貫生産がいいということにはなりません。多品種ワンセットでは人手と経費ばかりが嵩み利益率は低い状態をつづけざるを得ません。アップルは究極の成功例ですが、日本勢もようやく広げ過ぎ伸び切った戦線を縮小し始めましたがまだ足りません。選択と集中をもっともっと強め、体中に付いたぜい肉を落とすべきでしょう。

 最後に、日本の製造業ではファナックに学ぶべきかも知れません。ファナックの製品は工作機械に据え付けるNC(数値制御)と自動車の生産や電子部品の加工に用いられる産業用ロボットが主力です。製品数が少ないのはアップルに似ていますが、開発からは生産まで一貫して日本国内で行っている点ではアップルとはまったく異なります。

 日本勢もファナックにもっと学ぶべきですが、ファナックは秘密主義、ディスクローズ(情報開示)が悪く、ジャーナリズム泣かせの会社として知られています。ファナックがケーススタディーのむずかしい企業であることは、日本の製造業にとって誠に残念なことだというほかありません。

2012年3月16日 11:33

「埼玉県南部」を震源とする地震で目が覚めました

(2012年3月16日筆)

 今朝(3月16日)、確か4時20分頃だと思いますが、がたがた音を立てて数秒間の立て揺れが続きました。小生、昨年3月11日、2時46分、JR常磐線日立駅のホームで激しい揺れに遭遇、立っていられずホームの屋根を支える鉄骨に蝉のようにしがみ付いた経験しました。その後、多少の揺れには驚かなくなっていましたが、さすがに今朝の揺れには目が覚めてしまいました。

 家内も図太い性格で多少の揺れには動じませんが、今朝はすぐ目を覚まし寝室に置いてあるテレビにスイッチを入れたようです。画面には地震を知らせるテロップが流れ、小生が住む所沢市も属する「埼玉県南部」(実は南部がどの地域を指すかよく分かりません。所沢市は埼玉県西部といわれる場合もあります)は震度3と表示されました。

 震度3程度であれば、我が家に被害はないでしょう。小宅は数年前、外壁を御影石のタイルで覆い耐震補強(工事業者がそういいました)を済ませており、昨年の大地震でも書棚も食器棚も大丈夫でしたから。


記憶がない「埼玉県南部」が震源地の地震
正確な震源地はさいたま市の北、春日部市あたり


 そう思って安心していたら、次に流れたテロップにはギクリとさせられました。テロップは「震源地は埼玉県南部、震源の深さは100km」と表示していたのです。なんと震源地はわが所沢市も含まれる「埼玉県南部」というではありませんか。

 最近頻発している地震ですが、震源地は茨城県沖とか千葉県東方沖とか昨年の大地震の余震域がほとんどです。東日本の内陸部でも震源地は長野や山梨、新潟に限定されていました。小生、所沢に住んで40年、「埼玉県南部」を震源地とする地震など記憶にありません。

 「震源地は埼玉県南部」と聞いてすぐ思い浮かべたのは立川断層のことでした。立川断層は国が地震発生確率の高い7つの要警戒断層のひとつに挙げられています、ここが動けばマグニチュード7.4程度、震度6以上の地震が発生するとされています。

 立川断層は、北は入間郡名栗村から青梅市、立川市を経由して南は府中市に至る33キロの断層だそうです。所沢市は断層上にはありませんが断層に近接しています。小宅はサツマイモぐらいしか取れない台地の旧畑地に立っていますから液状化の心配はありませんが、立川断層地震が起きれば震度5強は覚悟しなければなりません。せっかくの御影石のタイルが剥がれ落ちるかも知れませんね。その程度の被害想定では甘いといわれそうですが...。

 今朝の地震は立川断層が活動し始める予兆か、そう考えると震源は「埼玉県南部」のどの地点か、詳細が知りたくなりました。パソコンで検索しましたら、震源地は「北緯35度9分、東経139度5分」となっていました。所沢市は北緯35度4分、東経138度3分」ですから微妙にずれています。

 では震源地はどこなのか、北緯35度9分、東経139度5分を手掛かりに地図で確認すると、県庁所在地さいたま市の北に位置する埼玉県春日部市あたりです。そこが正確な震源地ということでした。震源地が「埼玉県南部」でも千葉県に近い春日部市(春日部は埼玉県東部と表示される場合もあります)あたりであれば、素人判断ですが、立川断層との関連より東日本大地震の余震域で発生した3月15日の千葉県東方沖地震とのつながりが深いように思えます。


気候温暖、温泉つきの「終の棲家」探し
だが日本列島どこに移住しても地震が襲う


 正確な震源地を知り、春日部にお住まいの人には申し訳ありませんが、小生、ほっとしました、しかしよく考えると日本列島どこに住もうと地震から免れることはできません。

 地震学者の受け売りですが、日本列島の東方では太平洋プレートが北米プレートに潜り込み、西方ではユーラシアプレートにフィリッピン海プレートが潜り込んでいます。その境界域ではプレート間で溜まったひずみを解消する地震が多発することになりますから、日本列島の東方、西方いずれに住んでも地震は避けられません。

 小生、「終の棲家(すみか)」を求めるような年齢に差し掛かっています。小生にとっての理想の「終の棲家」は、気ぜわしくなく気候温暖、温泉があって海釣りができ、近くに空港があって医療施設も充実しているような土地です。この条件を満たす土地で思い浮かぶのは、小生が育った大分県の別府温泉です。

 しかし別府は、近くは四国の佐田岬半島から別府湾、阿蘇、八代へ至る日本最大の断層帯の中央構造線の上にあります。だから温泉がこんこんと湧いているのですが、1596年にはこの断層帯上でマグニチュード7.0以上と推定される慶長伊予地震、慶長豊後地震が連続して発生しています。小生理想の「終の棲家」の別府も地震とは無縁ではありません。それどころか、慶長豊後地震から416年経過しており断層帯がいつ動いても不思議ではないのです。

 ということで小生の別府を念頭に置いた「終の棲家」探しは頓挫しました。日本列島どこへ移住しても地震の恐れがあるのなら、狭いながらも植木いじりや家庭菜園の楽しめる40年も住み慣れた所沢を「終の棲家」、つまり人生を終える場所にするほかないと考えているところです。

 もし温泉つき、海釣りつきで暮らしたいのなら期間限定、2ヶ月ぐらいのロングステイ、ニュージーランドあたりで住むのはいかがでしょうというのが、所沢育ちの家内の提案でした。この家内の提案にもはっと目が覚まされました。

2012年3月 9日 12:42

「絆」など嘘っぱち?立ち往生する「瓦礫の広域処理」

(2012年3月9日筆)

 東日本大震災から1年がたちました。テレビも新聞も連日、震災を振り返る特番を続けています。それらを見るにつけ、この大震災が地震と津波、そして原発事故という人類がかつて経験したことのない巨大な複合災害であったことを思い知らされます。ここからの復旧・復興は容易ではないとも思いました。

 しかし、この巨大な複合災害に直面した直後の日本人は素晴らしかったと思います。国民は史上最大の義援金を被災地に送りました。数多くのボランティアが被災地に入り被災者サポートに尽くしました。自衛隊員も消防署員も自らの危険を顧みず献身的に働きました。被災地外の自治体職員は今でも被災地自治体の業務を支えています。日本中を駆けめぐった「絆(きずな)」という言葉が日本人にみごとにフィットした時期でした。


「絆」などどこ吹く風、「利己」に絡めとられた
数百人の政治家とほんの少数の日本国民たち


 「絆」とは「利他(利を他にも及ぼす)」の行為を伴う人々の心の有り様を言うと理解しています。世界の人々はそんな優しい心の有り様を見せてくれた多くの日本人に対して称賛を惜しみませんでした。しかし、震災後1年経過して、そんな優しい心の有様とは無縁の、「利己(利はおのれにのみ属する)」に絡めとられ引くことのない日本国民がほんの少数ですが存在することを思い知らされました。非常に残念です。

 「利己」に絡めとられ引くことがなかった国民の最たるものは、この国の数百人の国会議員です。この数百人の議員たちには、国民にとって有益かどうかという「利他」の判断より、自らの選挙に有利か、不利か、という「利己」の判断しかないようです。

 谷垣自民党は不人気な内閣のもとで解散すれば選挙に勝てるという「利己」の判断から、今年も予算執行に不可欠な赤字国債発行法案(特例公債法案)を人質に解散を迫る構えです。与党民主党の小沢・鳩山グループは、いま解散すると家の子郎党が議席を失うといって身内の内閣を攻め立て国民のための法案の成立を妨げてきました。

 公明党などの少数政党も議員定数の削減が自らの議員数減少に直結するのではないか、そればかりを恐れ政権に楯突いているように思えます。政治の執行を担う官僚たちも国民の批判に耳を貸さず、行政改革に抵抗し続けています。もううんざり、ですね。


「大文字」焼きで拒絶された陸前高田の護摩木
これに通底する震災瓦礫の「広域処理」反対運動


 こんな政治家にならって「絆」などどこ吹く風、「利己」に走って恥じない国民が出てきました。その代表が「放射能拡散が怖い」といって被災地に積み上がった震災瓦礫の処理受入れを声高に拒んでいる一部の地域住民です。

 その前兆は、震災後半年経った頃、昨年8月に起きた京都の「5山の送り火」のひとつ「大文字」の護摩木問題でした。津波に襲われ倒れた陸前高田の松原の松の木を護摩木にして「大文字」焼きで供養するという美談が、一転して「放射能拡散」を恐れる一部の京都市民の強硬な反対で潰れてしまった事件です。護摩木には拡散を心配するような放射能汚染はなかったにもかかわらず、京都の一部市民は反対し続けたのです。

 この事件を聞いて、小生、厭な予感がしたのですが、予感は的中しました。陸前高田の護摩木搬入を拒んだ京都市民に触発され、放射能拡散を過度に恐れる国民が連鎖的に生まれたのです。その究極の形が、震災瓦礫の広域処理を拒む一部の地域住民の反対運動でした。

 東北を襲った大津波は、岩手県で県内の年間処理量の11年分、宮城県で19年分もの膨大な震災瓦礫をもたらしました。この両県合わせて約2000万トンのがれきのうち約20%に当たる395万トンを他府県で処理して欲しいというのが「瓦礫の広域処理」の問題でした。

 広域処理には次の点が考慮されていることに注意が必要です。第1に、放射能汚染の度合いが大きいと思われる福島県の瓦礫は全量県内で処理される予定で、広域処理には回りません。第2に、他府県に処理を求めている395万トンについては放射能検査を繰り返し行い、放射能が一定基準以下でなければ処理に回さないことになっています。当然のことですが「放射能の拡散」など起こりようもない仕組みになっています。

 この仕組みに従って青森県や山形県、茨城県などの隣接県は岩手、宮城県の瓦礫の処理をすでに始めています。東京都も石原都知事が焼却炉や焼却灰の埋め立て地周辺の住民反対運動を押さえ込み、岩手県宮古市や女川町の瓦礫処理をスタートさせました。他にも秋田県、埼玉県、神奈川県、静岡県、大阪府などが震災瓦礫の広域処理を検討しています。


放射能拡散の恐れがないのに瓦礫受け入れに反対
この利己的勢力に抗した桜井・島田市長を見習うべし


 しかし神奈川県では、瓦礫処理を引き受ける予定の横須賀市、静岡県では島田市で処理地周辺の住民の反対運動が激化し、瓦礫搬入が行き詰まっています。こうした反対を恐れてか、日本の半分に当たる26道府県が瓦礫の広域処理に消極的だといいます。

 率先して「瓦礫処理の受け入れ」を表明した静岡県島田市の桜井勝郎市長は、焼却炉と焼却灰の最終処分場がある地域の反対住民と市外からきたと思われる活動家に取り囲まれ袋叩きにあったといいます。引き受ける予定の岩手県山田町や大槌町の瓦礫の放射線量は島田市で発生したゴミの放射線量と変わりません。そう桜井市長が反対グループに説明しても「たとえ1ベクレルの放射性物質でも受け入れられない」と彼らは主張しているといいます(「週刊新潮」12年3月15日号)。

 桜井市長は同じ「週刊新潮」誌上で「同じ日本で暮らす人たちが困っているのに手を拱いているわけにはいかない。普段"絆"などときれいごとを口にしながら、利己的に瓦礫受け入れに反対するのは"偽善"ではないでしょうか」といい、「どんな反対があっても、絶対に瓦礫は受け入れます。東北を助けるために少数意見なんて聞いていられない」と言い切っています。

 桜井さん頑張れ、です。同じような反対を横須賀市の住民から受けている黒岩祐治神奈川県知事と横須賀市長も。少数意見に負けず、瓦礫受け入れを断行してください。横須賀選出の小泉進次郎議員も受け入れの説得に当たって欲しいものです。大阪府では松井府知事と橋下徹市長の大阪市だけが受け入れに賛成しているようですが、まだ瓦礫処理受け入れが具体化していません。橋下氏にはここでこそ石原東京都知事並みのリーダーシップを発揮すべきでしょう。


理不尽で利己的な「少数意見」が跋扈
恐怖心をあおる一部の識者、ジャーナリズムにも責任


 多数決で決めるとはいえ「少数意見も無視しない」というのが民主主義の鉄則です。しかし「少数意見」を尊重するあまり何も決められない政治に堕している最近の日本の風潮はどこか間違っている気がしてなりません。

 一桁の支持率しかない少数政党(や党内野党)が声高に時代遅れの主張を展開しこれに多数派が惑わされ何も決まらない。少数の無年金者や保険料未納者を救済するために保険料を忘れず支払っている大多数の健全な中間層の利益が侵される。そのうえ、放射能拡散の恐れが全くないといっていいのに、瓦礫を受け入れないという極めて利己的な「少数意見」が跋扈しているのが日本の現状です。

 瓦礫の広域処理をめぐる意思決定の迷走は、大局を観ずして瑣末に絡めとられ、そして何も決められない日本政治の縮図に思えてなりません。そして行過ぎた放射能被害想定をばら撒き、一部の国民に異常ともいえる放射能恐怖心理を植え付けた一部の識者、ジャーナリズムにも大きな責任があります。放射線医療の専門家でもない彼らこそ利己的な「少数意見」を培養した犯人ではないでしょうか。

2012年3月 2日 11:11

与野党議員は「妥協の作法」を身に付けよ

(2012年3月2日筆)

 与野党の議席が逆転している参議院で賛成224票、反対11票という圧倒的多数で国家公務員給与削減法案が成立しました。

 最大野党の自民党で反対票を投じたのは京都府選出の西田昌司議員ひとりだけでした。西田議員は、答弁者に全く無礼な、ウイットもセンスもない野次を飛ばし続けているあの議員です。「良識の府」参議院の恥ともいうべき議員ですが、彼が何を考えて反対票を投じたのか小生のような凡人によく分かりません。


国民待望の公務員給与削減法案が成立!
「衆参ねじれ」でも、やればできるではないか


 それはさておき、公務員給与削減法案が圧倒的多数で採択されたことは大変結構なことです。公務員を除くすべての国民が求めていた法律をやっと仕上げることができました。「衆参ねじれ国会」でも、やればできるじゃないですか。

 1998年の金融国会で小渕恵三内閣は、金融再生関連法案を野党の民主党案を丸飲みして成立させました。当時も与党は参議院で少数派でした。小渕内閣は未曾有の金融危機から脱するという大義のために野党案を丸呑みしたのです。当時の最大野党、民主党の菅直人代表は「野党案を飲むなら政府の責任は問わない、政局にも絡めない」と言ったといいますから、野党もまた立派だったといえます。

 日本はいま、市場の反乱によっていつ日本国債が売り浴びられてもおかしくないというリスクを内包した、未曾有の財政危機状態にあります。野田内閣が提案している「社会保障と税の一体改革」に伴う消費増税は、財政破綻から生じる国民生活の深刻な危機を一時的にでも回避する(5%程度の引き上げでは国債残高累増は止まりませんが、5%でも時間稼ぎにはなるという意味です)ための政策です。

 今回成立した公務員給与削減法案は、議員定数、議員歳費、政党助成金の削減と並んで、消費増税を国民に受け入れていただくための大切な前提でした。その大切な前提である公務員給与削減法案を野田佳彦内閣は野党の自公案を丸飲みして成立させました。やればできるのです。金融国会と同じ「野党案丸飲み」という与野党妥協の手法がまだ生きていたといえます。


与野党妥協の最大の功労者は「橋下ブーム」
「決定できる民主主義」のための「妥協の作法」


 この与野党妥協の最大の功労者は、橋下徹大阪市長だったかもしれません。彼が率いる「大阪維新の会」は、検討中の次期衆議院の選挙公約「維新八策」の骨子冒頭に「決定でき、責任を負う民主主義」と書いています。この「民主主義」とはたぶん「議会制民主主義」、すなわち国会とそれを構成する国会議員のことを意味しているのでしょう。現状の国会と国会議員が「決定できない、責任を負わない」ことを憂えて「決定でき、責任を負う民主主義」を提案しているに違いありません。

 国民の多くは、何も決定できない国会と国会議員に苛立っていました。その苛立ちの裏返しとして「橋下ブーム」があったといってよいでしょう。この後、与野党が「議論の末に妥協点を探り法律を仕上げる」という妥協の作法を思い出し、議員歳費、政党助成金、議員定数の削減などの法律を次々成立させるようになれば、維新八策がいう「決定でき、責任を負う民主主義」は衆参ねじれ国会の下でも実現します。そうなれば「橋下ブーム」も効き目があったということになります。

 少し考えて見たいのですが、民主主義が「決定できない理由」は、「維新八策」が言うように参議院の権限が強すぎて何も決定できない衆参二院制にあるのでしょうか、あるいは総理大臣を国会議員の選挙で選ぶという議院内閣制にあるのでしょうか。それとも、「妥協の作法」をいまだ身に付けることが出来ていない日本の国会議員のせいなのか、どちらなのでしょうか。

 与野党逆転の参議院で圧倒的多数を得て公務員給与削減法案が成立したという事実を見る限り、「決定できない理由」は、「最後は国民のために妥協する」という作法を忘れてしまった与野党の国会議員にあったといえるでしょう。

 与野党逆転の議会などオバマ政権下の米国議会を筆頭に世界中にあります。「ねじれのない議会」は一党独裁の中国人民代表大会と北朝鮮の最高人民会議ぐらいのものです。大切なのは常態化する「ねじれ議会」のもとで国会議員が国民のために法律を仕上げる「妥協の作法」を見につけることだと思います。


議会制民主主義にはイライラさせられる。
だが、一党独裁よりはましだろう


 国会論戦を聞いていて思うのですが、与野党の議論が本質を外れるのは日常茶飯事です。つまらない話を何度も繰り返して罵り合っています。そのうえ、与党に属す政治家が野党張りの反対論をぶつ始末です。党内のガス抜きに議会を使うなど時間のムダです。一方、2~3%以下の支持率しかない少数政党にも質問の機会が与えられます、彼ら極少政党の政治家でも、支持率などお構いなく言いたい放題、言えるのです。それが日本の議会の現状です。

 日本の議会制民主主義は本当にダルイものですし、イライラするものだと思い知らされます。中国政府は、改革解放の後、経済政策の多くを日本の経済学者やエコノミストから学びました。日本の学者が教えた経済政策をタイミングよく果敢に実行しているのを見ていてうらやましく思います。教えた側の日本では、半可通の政治家が学者を馬鹿にしています。ですから議会ではまっとうな経済政策の議論もできず、根拠のある政策など何も決められない状態です。小生などいつも、いっそ日本も一党独裁になったらという衝動に駆られます。

 しかし、日本人の誰も中国のような一党独裁を望んでいません。日本の選挙民は、時にイライラすることはあっても、反対意見にも少数意見にも機会を与えて議会では議論を尽くして欲しいと思っているはずです。しかし、選挙民は、議会が決定するまでに時間がかかり過ぎる、決定ができず先送りされるという事態に対して明らかにうんざりしています。


総理は「小鳩亀」を切り、最低保障年金案を捨て
自公両党と「妥協」して消費増税案を成立させよ


 選挙民は、議論を尽くした後は党利党略を捨てて与野党妥協し、法案をさっさと決め、その法案を成立させて欲しいと思っているのです。

 まして深刻なイデオロギー対立が消え、政策をめぐって与野党間であまり大きな差がなくなった今日、与野党が妥協できる法案はいくらでもあると国民は思っています。その典型が、「社会保障と税の一体改革」に基づく「消費増税案」ではないでしょうか。

 野田総理は「51対49の党内世論でも頑張る」と2月29日の党首討論で言い切りました。49は消費増税に反対の小沢・鳩山グループを指すと思いますが、「小鳩切り」をしても消費増税を実現するという決意を明らかにしました。

 小生、市場に日本財政への信認を与え財政破綻を回避するために「小鳩切り」及び国民新党の「亀切り」は止むを得ないと思っています。野田総理がその覚悟を決め自公両党と組んで消費増税賛成の多数派を築くことに大賛成です。

 野田総理が自公両党と「妥協」することは獅子身中の虫である「小鳩亀」と妥協するよりずっと容易です。自民党を捨て菅内閣に飛び込んで「社会保障と税の一体改革」素案を作成した与謝野馨前経済財政担当相は、消費増税の議論に乗ってこない自民党、公明党に対して「一体改革案は両党の主張を十分取り込んでいる。協議をしようとしないのは許し難い」(朝日新聞3月1日朝刊)と述べています。

 作成者の与謝野氏が「両党の主張を十分取り込んでいる」というのですから「一体改革素案」は最初から両党主張を丸呑みしていることになります。与謝野氏は1月に閣議決定された「一体改革大綱」に含まれる7万円の最低保障年金案について「巨額の財源が掛かり中間所得層の年金受け取りも減る。撤回すべきだ」とも言っています。最低保障年金案はマニフェスト原理主義者の「小鳩」にお返ししたうえで、「一体改革大綱」からこれを除外すれば自公両党との「妥協」は十分可能です。

 今回、消費増税が潰れれば、今後10年以上、政治家は消費増税を持ち出せなくなるといいます。そんなことがあってはならないとは思います。しかしもし今後10年間、消費増税が不可能になれば、毎年40兆円以上の新規国債発行が積み上がり、国債残高は10年間で400兆円追加されます。政府の長期債務残高は1400兆円にもなります。

 「みんなの党」は、皇居や河岸・国道、米国債、国立大学への出資金など「売れもしない国家財産」を担保に日本は借金をまだ積み上げることができると言っています。しかしさすがに、長期債務が1400兆円になったら「売れない国家財産」という虚構の担保にすがることなどできるはずがありません。

 転ばぬ先の杖です。野田総理と自公両党は、近い将来の国家破綻を避けるために、消費増税案をめぐる名誉の「妥協」を急いでください。
プロフィール
ニックネームさん
大西良雄(経済ジャーナリスト)
上智大学卒業後、東洋経済新報社に入社。記者を経て「月刊金融ビジネス」、「週刊東洋経済」編集長を歴任。出版局長、営業局長の後、常務第1編集局長を最後に独立。早稲田大学オープンカレッジ講師のほか講演・執筆活動。
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