
2009年6月24日 09:59
2009年6月17日 10:00
2009年6月17日筆
先進国の株価は足並みを揃えて3月に底入れし、上昇しました。しかしまだ、昨年9月のリーマンショック前の株価、NYダウでいえば1万1000ドル、日経平均では1万2000円には達していません。
リーマンショック前を上回っているのは、BRICSの株価です。中国の上海総合指数はこの半年で底値から70%近い上昇です。ロシアの株価は09年1月底値から100%以上、インドも3月底値から90%以上の上昇になっています。ブラジルも3月に底入れして50%以上上昇、リーマンショック前の株価水準に達しています。
BRICSのうち中国、インドは大規模な内需刺激策の効果に対する期待が株価回復を後押したようです。とくに鉄道や道路建設など中国の活発な固定資本投資(建設投資、設備投資)と消費刺激策は、石油・石炭や鉄、非鉄、穀物など資源輸入の再拡大への期待を高め、国際商品市況の上昇をもたらしました。
資源国のロシア、ブラジルはこの国際商品市況の急回復が株価を押し上げています。モルガン・スタンレーによると他の資源国も同様で、3月10日以降、5月末までの株価上昇率は、天然ガス、非鉄金属のインドネシアが65%、金、ダイヤモンドなど貴金属の南アフリカが54%、穀物、非鉄金属、原油のカナダが52%、銅のペルーが46%、鉄鉱石、石炭の豪州が43%といずれも先進国の上昇率を上回っています。
繰り返される「バブルの迎え酒」
株価の戻りは、日欧米の先進国よりBRICSや資源国のほうが大きいということになりますが、小生には、この構図の中に危険な「バブルの迎え酒」の匂いがしてなりません。
これまで、バブルの大小を問わず、株や商品、不動産などの資産バブルが崩壊すると、米FRB(連邦準備制度理事会)は必ずといっていいほど政策金利を連続的に引下げてきました。景気の悪化原因が資産バブル崩壊によるものであるか、通常の景気循環によるものか、そんな詮索はお構いなしです。現代の不況恐怖症ともいうべき民主主義国家では、不況の進化は金融緩和や財政出動によって止めなければならないのです。
その結果、政策金利は最終的には0%~1%という超低金利になり、この大幅な金融緩和が次のバブルを発生させるのです。金儲けの陶酔感(ユーフォーリア)に浸った状態をバブルといいますから、バブルの酔いから醒めて不況が訪れ風邪をひきそうになったら迎え酒をあおって経済を温める。この方法が「バブルの迎え酒」です。グリーンスパン前FRB議長は「バブルの迎え酒」によって資産デフレからアメリカをなんどか救い、名伯楽と一時賞賛されました。
次々代わるバブルの主役
前のバブルから次のバブルに移る際、バブルの対象資産が次々に代わっていきます。最近の例を挙げれば、アジア金融危機後の金融緩和で起きた2000年のIT株バブル、ITバブル崩壊後の連続的な政策金利の引下げによって発生した住宅バブルがそれです。住宅バブルには株式バブルも並行しました。住宅バブルは06年7月から崩落しはじめますが、住宅バブルの崩壊の影響が金融機関に及んでいることが明らかになったのは1年後です。07年10月には株式バブルがピークアウトし、バブルの主役は住宅、株式から原油など国際商品へ交代していきました。
この国際商品バブルでは、原油価格が1年で1バレル70ドルから147ドルへ2倍にもなりました。つれて金も、とうもろこしなどの穀物も、石炭、鉄鉱石、銅鉱石も値段がはねあがったのは記憶に新しいと思います。そのスタートは07年9月、住宅バブル崩壊から生じた金融不安を回避するためFRBが5.25%から政策金利を連続的に引下げ始めたときからです。
国際商品バブルは08年7月には崩落、住宅、株式、国際商品と連続した資産バブルはすべて崩壊しました。その結果、欧米の金融機関は膨大な不良資産を抱え込み、世界は金融恐慌に突入して信用収縮が激化、信用収縮が世界的な経済収縮(世界恐慌)をもたらす危険すらありました。その危険を取り除くために、欧米諸国の政策金利は0%~1%に引き下げられたうえ大規模な信用緩和が行われました。再びバブルのタネが撒かれたのです。
再び途上国株と国際商品に向った余剰ドル
アメリカの貿易収支赤字によって世界にこれまで散布され累積したドル資金だけでも膨大です。これに金融梗塞解消のためのドル資金、景気底割れ回避のための財政資金が市場に散布されています。この低金利のドル資金が、生産拡大や在庫積み増し、設備増強資金などの実需要に使われるのはまだ先です。それでも待ちきれず、金融不安や恐慌懸念が薄らいだことを汐に、余剰のドル資金は低い利回りの国債などの安全資産から高金利と値上がり益を求めてリスク資産に大きくシフトしたのです。
機関投資家や年金基金、投機家などが保有している余剰ドルは、金や国際商品を組み込んだ上場投信(ETF)やヘッジファンドに再び流入し、原油、非鉄金属、穀物などの価格を押し上げています。その価格上昇が高金利通貨国への余剰マネーの再流入をもたらし、BRICSや資源国の株価を急回復させているというのが、「バブルの迎え酒」の構図です。
しかし、いまの段階での原油など商品価格の上昇は景気回復の障害です。国債からの逃避によって生じる長期金利の上昇も住宅投資や設備投資底入れを妨害しかねません。バブルの傷が癒えぬのにもう「バブルの迎え酒」では節操がなさ過ぎます。急ピッチの株価回復は反省を迫られるのではないでしょうか。
2009年6月10日 10:27
2009年6月 3日 10:24