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大西良雄ニュースの背後を読む

2008年1月

2008年1月30日 11:25

円が買われ円高になる夢

(08年1月30日筆)

円安は、つまり、他国の通貨高です。豪州ドル高によってオーストラリア人が北海道のニセコスキー場に、ウォン高によって韓国人が別府温泉に、元高によって中国人が電気街のある大阪・日本橋、東京・秋葉原に押しかけ、訪日外国人が急増し、過去最高の830万人になったというではありませんか。

バブル景気の頃、日本人がぞろぞろイタリアにフランスに行列をなして訪れたことを思い出しました。円に比べリラやフランが安くなり、つまり円高が進んだことによって聖徳太子(1万円札)の欧州での購買が高まり、海外旅行が有利になったためです。同じことが、ウォンや元、豪州ドルで起こっているのです。いまは円安の効果が、観光産業に出てきたというわけです。

ただ、1ドル110円というような対ドルレートだけ見ていると、円安だとはなかなか思えないものです。確かに対ドルでは、プラザ合意当時の1ドル240円が22年後の現在は120円以下になり、円は2倍に高くなっており、円高です。しかし、日銀がはじき出している円の実質実効レートで見ると大幅な円安状態がつづいていることになります。

ちょっと分かりにくいのですが、簡単に言うと、アジアやEUの物価が上昇し日本はマイナス物価がつづいているのですから、購買力からいえば、円は対アジア通貨、対ユーロに対して高くなってもいいのにそうならず、円安になっている。しかも、円は、対ドルでは高くなっていますが、輸出比率の高まっている対アジア通貨、対ユーロでは大幅な円安になっています。実質実効レートとは、輸出比率と物価指数で調整した世界15通貨との総合為替レートのことですが、世界を相手に円の実力を見れば、円は弱い通貨ということになります。

まだ円は強いと錯覚している人が少なくありません。会社人生を終えた団塊の世代の中には、強い円を持ち込んで、物価の安いマレーシアやオーストラリアで第2の人生を送ろうと計画していた人もあるようです。しかし、現地通貨が高くなったために目算が狂い、現地では年金だけでは生活できないようになってしまったといいます。老後を迎えても団塊の世代にはツキがないですね

円安は、日本経済の地位低下にも影響しています。太田弘子・経済財政担当大臣は、通常国会での演説で「日本経済はもはや一流ではない」といって嘆いて見せました。その根拠になっている数字は、名目国内総生産(名目GDP)のドル換算値です。これを人口で割ったのが一人当たり名目GDPですが、日本は先進国クラブといわれるOECD30カ国の中で1993年には2位でしたが、どんどん順位が下がりいまや真ん中以下の18位になってしまいました。だから、「もはや経済一流ではない」と太田さんは嘆いているのです。

なぜ、18位までつるべ落としに下がったのでしょうか。ひとつはドル換算のマジックです。EU諸国のように通貨が高くなっている国の現地通貨建ての名目国内総生産をドル換算すると、ドル換算のGDPは大きくなります。日本のように通貨安の国は、その分だけドル換算の名目GDPは小さくなります。つまり、円安が日本経済の地位を下げているのです。

もうひとつは、比較の対象が「名目」のGDPであることです。名目GDPは物価が上昇した分、水増しされて大きくなります。日本のような消費者物価が持続的に低下しているデフレ国は、実質GDPは増えても名目GDPはマイナスです。したがった、日本よりインフレ率の高いEU諸国は、比較対象になる名目GDPが水増しされて、どんどん順位が上がるのです。

円安とデフレが、ドル換算された名目GDPで比較した日本の経済地位を引き下げている原因といえるのですが。もちろん、この二つの原因だけではありません。サッチャーの新自由主義改革が成功したイギリス、東西ドイツの統合成果が出始めたドイツ、単一通貨の大きな自由経済圏となりその恩恵を受けたったEU諸国、労働の流動性が高い北欧諸国、いずれも、日本がバブル崩壊後の「失われた10年」に苦しんでいる時にも、経済成長を続けています。

デフレも円安も、日本の経済成長が他国に比べきわめて低いことが原因です。経済が成長しないから需要(特に個人消費)が弱く物価が上がらずデフレがつづく、経済が成長せず、投資収益率の低い国だから世界のマネーは日本を素通りし中国へインドへと向かい、日本が売られて円安になるのです。

円安で、輸出企業は大いに潤いましたが、円安は日本経済を一流の座から引きずり落としました。本当は、日本の成長率がふたたび高まり、外国人の投資家が円を買って日本と日本人に投資しようという気になることが必要です。日本は、外国人から見ても魅力のある国、その結果、円が買われ(日本株が買われ)、円高になるような国にならなければならないのです。今のように、円高になると日本株が売られ、株価が安くなるような「変な国」であってはいけないのです。
 
 円高になれば、団塊の世代もマレーシアで年金生活が送れるのですから。

2008年1月24日 10:23

鳩山兄弟の「兄弟同時損害」

(08年1月24日筆)

法相の鳩山邦夫さんが「今度の世界同時株安で40億円も損した」といわれたそうです。ついでに「兄の由紀夫も同額の40億円損した。兄弟で80億円の損。これじゃ世界同時株安ならぬ兄弟同時損害だ」と洒落て見せたのがまずかった。兄・鳩山由紀夫さん(民主党幹事長)は、大衆の味方でリベラル(友愛)が売りの政治家です。「余計なことを言いやがって」と弟の駄洒落におかんむり、なんだそうです。

由紀夫さんも邦夫さんも、元総理の鳩山一郎のお孫さん(父君・威一郎氏は元大蔵次官)です。二人とも祖父や父親の看板を受け継いだ典型的な「おぼっちゃま政治家」です。受け継いだのは看板だけでありません。株も屋敷も受け継ぎました。祖母はブリヂストンの創業者・石橋正一郎氏(故人)の娘でしたから、孫のご兄弟は、ブリヂストン株を375万株ずつ受け継いだといいます。

こんな時、「他人の懐を勘定するのは、ちょっと気が引けますが……」なんていいながら、すぐ計算してしまうのが私の悪い癖です。ブリヂストンは、昨年10月時点の株価が2660円でしたから、375万株で99億7000万円、兄弟合わせてその倍、ざっくり200億円の時価総額でした。それからどんどん下落、この暴落で1561円(22日終値)まで値下がりしました。時価総額は117億円に目減り、差し引き83億円も含みが減ったことになります。

なけなしの退職金を元手にささやかに相場を張っている「新米・株式評論家」(小生のことです)も、自慢じゃないけど大損こいています。金額は恥ずかしくていえませんが、40%は引かされていると思います。そんな、ささやかな個人投資家に言わせれば、鳩山兄弟には、「親からただでもらった株なのだから、損したわけではあるまい。まだ資産価値は117億円もあるのに」といいたくもなります。

われわれ零細な個人投資家は、「貯蓄から投資へ」という政府の掛け声にうっかり乗って、株を買ったり投資信託を買ったり。その結果、いま18兆円を超える大きな含み損を抱えこんで身動きのできない状態にあります。そんな投資家の気持ちを逆なでする「邦夫ぼっちゃま」の無神経な駄洒落でした。小生はこれを妬んではいませんが、庶民は妬みが講じると、鳩山兄弟のような政治家は、「いかがわしい株式投資などしてはいけない」など正義面して言い張りがちです。お気をつけあそばせ。

わたしはそんな野暮なことは言いません。それより政治家諸君には、この際、全員、日本株を買ってみてください、そして暴落を経験し個人投資家のように大損をこいてみてください、といいたいのです。ただし、あくまで自分の歳費で、です。証券会社のヤミ口座で、他人の金を使ってインサイダー取引をするようなことでは、他人の痛みは分かりません。いや、それは犯罪です。

自分で買って損すれば、日本株が、業績も良く、技術力も高まっているのに、なぜ世界の株式の中で最も値下がり率が大きいのかを真剣に考えるようになるはずです。福田康夫総理、額賀財務相のように「この株の暴落はアメリカ発。サブプライムローン焦げ付きが原因で日本に問題があるわけではない。一喜一憂しない」などと他人事のように言っている暇はないはずです。まさか、「株は博打だ、株価に意味はない」とこの暴落を無視することはないでしょうね。

株価は、経済や政治の先導役、道案内人です。この投資家ボーダレスの時代、一国の株価は他国の株価との比較によって動きます。日本株の株価が上がるかどうかは、他の国々と比べて経済がどれくらいの実力、競争力を持っているのか、日本の政治家たちの程度(質)が他の国の政治家のそれとどれぐらい差があるのか、に大きく依存しています。

日本株が下降トレンドに入ったのは、昨年の参議院選挙後からです。その後、回復も弱々しく、日本株の下落率は世界一になってしまいました。世界の投資家たちは、この参議院選挙の結果、与党、野党問わず日本の政治家が、国民というより一部の選挙民、一部の利益集団のご機嫌取りをまた再開したのではないかと、疑うようになったからだと思います。

日本という国は、輸出競争力がなければ、凍死か餓死しなければいけない国です。エネルギーはもともと自給できません。食糧の自給率は下がっています。しかし、国民から高い代金を徴収して自給率を高めるより、自由な貿易が行える環境を築き、世界から食糧を仕入れるほうが得です。日本は、世界との自由でフェアな輸出入によって、活かされている国なのです。競争力を高め、労賃の安い中国などと競争に勝って稼いだ輸出で、外国から石油や小麦を輸入して生きていくしかないのです。

いまや日本に鎖国は不可能です。なのに、日本の政治家たちは、ボーダレスな競争から取り残された、ボーダレスな競争をののしる一部の選挙民、利益集団に再び依拠し、選挙に勝とうとしています。成長のための改革をサボり国際競争をサボる、そうした鎖国主義の政治家たちの台頭に、投資家たちは失望して日本株をせっせと売っているのです。

鳩山兄弟も、含み損が80億円になったのを嘆くのではなく、いまや世界企業に育った素晴らしいおじいさんの会社、ブリヂストンの株価がなぜ大きく値下がりしたのか、兄弟で一緒に考えてみたらどうでしょう。その結果、値下がりの原因が自分たちに政治家にあることに気がつくのであれば、「おぼっちゃま政治家」などとからかうことはしませんから。

2008年1月16日 15:09

クウェートへのトラウマ

(08年1月16日筆)

私にはどうも、クウェートという国が好きになれません。クウェートは、北京オリンピックの出場権を賭けたハンドボールのアジア予選で審判を買収して自分たちに有利になる笛を吹かせ、男女とも優勝し五輪出場を決めたというではありませんか。

ハンドボールは日本ではマイナーなスポーツですが、クウェートでは国家の威信(王族の威信?)がかかるメジャーなスポーツだそうです。もしクウェートが本当に強いのなら、日本は譲ってオリンピックに出なくてもいいと思いますが、審判に有利な笛を吹かせて勝ったのでは強いとはいえません。審判を抱き込んだ不正は10年ぐらい前からおこなわれ、これを「中東の笛」というそうです。

「中東の笛」に堪忍袋の緒が切れた日本と韓国が国際ハンドボール連盟に訴え出て、その結果、北京五輪アジア予選のやり直し再予選が日本で開かれることになりました。ところが、クウェートが主導権を持つアジアハンドボール連盟は、再予選を拒否、再予選が開催されたら日本を始め参加国に制裁を科す、と脅しをかける始末です。クウェートだけでなくカタール、アラブ首長国連邦の産油3カ国、それに女子の出場権を確保しているカザフスタンが再予選には参加しないことを表明しています。再予選は、訴え出た日本と韓国だけで争われるというのですから、なんとも締まらない話です。

たかがハンドボールと思うのですが、ちょっと心配なのは、クウェートの王族が日本に意地悪するかもしれないという点です。日本は、クウェート、カタール、アラブ首長国連邦から多くの原油を輸入しています。最近、彼らは、原油価格の高騰によって膨大な外貨を溜め込んでいます。それを組み込んだ産油国のソブリン・ウェルス・ファンド(政府系ファンド)は、サブプライム損失で痛んだアメリカの金融機関に出資するなど、その存在感を露にしています。彼らがハンドボール問題に逆切れして、まさか、油と金の蛇口を閉めるようなことはないでしょうね。

クウェートと言えば、思い出すのは湾岸戦争です。クウェートに侵攻したサダム・フセインのイラク軍を、アメリカを軸とする多国籍軍が打ち破り、クウェートを解放したのが1991年の湾岸戦争でした。湾岸戦争後、クウェートは参戦国に対する感謝決議を行い、それをワシントンポスト紙(だったと思うのですが)に掲載したのですが、感謝文には日本の名前はありませんでした。

この戦争にアメリカ軍は610億ドルの戦費をかけました。しかし、アメリカは兵隊こそ出しましたが戦費は70億ドルしか負担しません。日本は90億ドルの戦費をアメリカ軍に提供しました。当事者であるサウジとクウェートに次ぐ大きな戦費負担でした。このほかにも日本は資金を出していますから、クウェートの王族と国民を救うために使った「日本国民の血税」は、135億ドル(約1兆5000億円)にもなりました。

なのに、クウェートは感謝文から意図的に日本を外したのです。日本国民に対する「きわめて失礼な仕打ち」です。日本の政治家は、「日本国民の血税など感謝に値せず」と言ったに等しいクウェートに抗議もせず、クウェートの「仕打ち」に過剰反応し、感謝文に名がなかったことがトラウマにまでなりました。その後の日本は、「カネでは感謝されない」から自衛隊を海外に派遣し「汗をかく血も流す」のが国際貢献だということになり、自衛隊のPKO派遣、海上自衛隊の海上給油活動につながったのです。「汗のかき方」は他にもあります。

このクウェートの感謝文に関して、「ウィキペディア」の湾岸戦争の項目に、面白い記述がありました。クウェートは1756年以降、サバーハ家の一族独裁がつづいている国です。外務大臣も一族ですから、在任がずいぶん長くなります。日本を感謝文から外す決定を下した外務大臣は、日本の外務大臣が大平正芳(後の総理)だった頃から務めていたそうです。

その外務大臣が、ずいぶん昔に大平外務大臣から「失礼な仕打ち」を受けた意趣返しとして日本を感謝文から外したと書いてありました。その「仕打ち」は、会談中に大平が居眠りをして、自分をないがしろにしたというものです。ご存知のように大平正芳の目は、起きているのか眠っているか分からないサイのような目です。居眠りなどするはずがありません。それを誤解してクウェート外相が日本に意趣返ししたと書くなど、冗談が過ぎます。外務省のOBあたりが「ウィキペディア」に書き込んだのでしょうか。

それはさておき、「油とカネ」という生命線を握ったクウェートのような王族支配の産油国が、今後もいまの独裁政体を保っていけるのか、心配になります。実は、イスラム原理主義は、サダム・フセインのイスラム社会主義と同様、普通の人間に支持基盤を持つ勢力であり、クウェートのような王族支配の足元をゆすぶる存在です。そんな国々を相手に、日本は、国際貢献「トラウマ」に陥ったり、マイナースポーツのハンドボールで五輪出場権を争ったり、右往左往するのですから、正直言って、情けなくなってしまいます。

2008年1月 9日 15:52

日本人が好きな「日本衰亡論」 

(08年1月09日筆)
 
新年早々、トーキョーの株価が急落しました。震源地は住宅バブル崩壊に脅えるニューヨークなのに、昨年夏以降、日本株の下落幅は最も大きく、回復しても戻し幅が最も小さいという状態がつづいています。日本株がなぜ、世界中で一番弱いのか。それをめぐって、「日本衰亡論」といいますか、「日本弱国論」といいますか、気になる悲観的論調が兜町を徘徊し始めています。いずれマスコミにも伝播し、騒ぎがさらに大きくなりそうです。

これまでの日本衰亡論は、老齢化社会が急速に進み労働力人口が減少、投資の源泉になる貯蓄も減少し、日本経済は活力を失うというものです。しかし、今すぐ労働力が減少するとは思えませんし、何より雇用者の3分の1を非正規雇用者とするというような残念な日本人の使い方をしているわけですから労働力が不足しているともいえません。貯蓄率は確かに低下していますが、過去に蓄積された1500兆円もの個人金融資産があります。労働力も金融資産も有効に使うように「改革」すれば、日本はまだまだ大丈夫です。ですから、ここ10年のタームで見ると、この従来の衰亡論は間違いです。

最近にわかに浮上している「衰亡論」は、これとはタイプの違う情緒的な議論です。そのひとつが、ジャパン・ナッシング(日本無視)論です。日本人が、貧しい国として蔑んでいたお隣、中国があれよという間に成長し、ドイツを抜いて世界3位のGDP大国になろうとしています。もうすぐ日本は中国に追い抜かれて、アジア最大の経済大国の座から滑り落ちる。その結果、世界の目は、日本をパッシング(通過)して中国に注がれ、いまや日本のことなど話題にもならない、日本は世界からナッシング(ゼロ視=無視)されているという論調です。

確かに、外国人投資家の目は、トーキョーの上空を素通りして、上海へムンバイ(インド)へと注がれています。しかも、日本株に新規資金は入らず、サブプライム損失の穴埋めに売られてばかりです。キッシンジャー博士は、「アメリカは日本の唯一の友人である」といったそうです。日本の唯一の友・アメリカは、中国との関係を密接にすることにやっきになり、日本を省みなくなっているというではありませんか。確かに、不安ですね。

戦前、日本人は隣人を蔑むことで自らの存在をフレームアップしました。ところが中国が復活すれば「中国脅威」論、過去の蔑みの裏返しで、すぐさま「日本衰亡論」がでて来る始末です。日本人の不安のひとつの源泉が、この中国経済の巨大化にあるとすれば、それは大いなる錯覚です。中国が、日本を追い越すほどのGDP大国になっていること、それは大変結構なことだと思います。

考えてもみてください。遣隋使の昔から1500年以上にもなる日中の「ながーい」交流史のなかで、日本の経済力が中国を上回ったのは、日清戦争以降の、歴史のほんの一時期だけです。この時期を除けば、中国は、ずっと世界最大の経済大国だったと思います。その中国が、日本から借款、技術協力、外国資本の導入などによってようやく世界経済史に最登場したのです。

そもそも、中国の成長を支えている輸出の八割は、日本企業を筆頭にする外資系企業の製品です。外資系企業は、安くて優秀な中国人労働者を使って迂回輸出をしているのが実態です。日本の消費者も、「メイドイン・チャイナ」の安い日本ブランド製品の恩恵にあずかっているはずです。

中国経済は、これからますます日本企業を必要とします。中国には、高度成長の負の遺産が積もっています。地域間の所得格差や環境汚染、官僚腐敗や商道徳の腐敗などがそれです。これらの解決には日本と日本企業の応援が必要です。中国は、日本の製造プロセス技術、鉄道など社会インフラ技術、CO2抑制、水処理などの環境技術を借りて、負の遺産を修正していかなければなりません。復活したとはいえ、中国はまだ固有の技術を生み出していないのです。

高度成長によって中国人の所得はさらに増加します。いずれそれは低所得の中国内陸部にも波及するはずです。所得増は需要増です。中国人は13億人、一世帯4人として3億所帯、彼らが一所帯1台、日本製の薄型テレビを買うとすれば1億台の需要です。自動車も然り冷蔵庫も然り、化粧品も魔法瓶も然り、です。日本のマーケットが老齢化で縮小しても、中国のマーケットはこれから巨大になり、補って余りあることになります。

中国だけではありません。ロシア、インド、ブラジル、南アフリカ、インドネシア、ベトナム、サウジ、アブダビ、それに東欧・旧ロシア圏の諸国などこれまで成長から見放さてきた途上国・資源国が歴史的な発展を始めています。日本の若者はワーキングプワなどと嘆いている暇はありません。鎖国論につながる一国民平等主義(これについてはいずれ論じます)、偏狭なナショナリズム、島国根性を捨て、いますぐ中国語、アラビア語、ロシア語、ヒンズー語、スワヒリ語を学ぶべきです(記憶力が貧しい私にはもう無理ですが…)。

「世界でアメリカしか友人がいない」といわれるのなら、いまこそ「中国を、アメリカと並ぶ、頼れるもう一人の大切な友人」とすべきです。ロシアもベトナムも、そしてお隣の韓国も日本の友人にすべきです。そしてこの途上国・資源国経済の歴史的ダイナミズムを取り込み、日本の新たな成長を実現すべきではないでしょうか。

根拠のない情緒的な「日本衰亡論」に浸っている暇はありません。今なら、そのためのカネも労働力・人材も、そして技術力も日本には有り余るほどあります。それらが活発に動くようにするための「改革」はつづけるべきです。外国投資家は、日本のように、能力はたっぷりあるのに、「改革」を怠り成長しない国の株など買わないことを肝に銘じておくべきです。

プロフィール
ニックネームさん
大西良雄(経済ジャーナリスト)
上智大学卒業後、東洋経済新報社に入社。記者を経て「月刊金融ビジネス」、「週刊東洋経済」編集長を歴任。出版局長、営業局長の後、常務第1編集局長を最後に独立。早稲田大学オープンカレッジ講師のほか講演・執筆活動。
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