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大西良雄ニュースの背後を読む

2006年6月

2006年6月29日 14:20

総裁の資産と「庶民感情」

日銀総裁のこういう資産公開に接すると私などは、思わず笑ってしまいます。
まず、金融資産の70%近くが普通預金と国債というリスクのない安全資産だったことです。総裁が持っておられる投資信託も、リスクの大きい株式信託ではなく、安全資産その3分の2は公社債投信でした。総裁もリスクに臆病な典型的な「日本庶民」といえます。ついでに言いますが、これらの金融資産は自らがつづけたゼロ金利政策で金利収入が実質ゼロ、総裁自身もゼロ金利政策の被害者だったということです。
それにペイオフの対象外である普通預金に多くを預けているのは、金融庁と並ぶ銀行経営の監督者である日銀総裁から見て、「銀行経営はまだ安心できない」と思っているのでしょうか。そうではなく、福井総裁は一般の日本人以上に慎重な性格の持ち主だったからでしょう。
その証拠は、リスク資産の持ち方にあります。多少山っ気のある人物であれば、もっと値動きの良い株式を持っていいはずです。持っているのは役員や顧問として関与する際に会社から買わされた(?)株式だけです。商船三井、新日鉄、三井不動産、キッコーマン、富士通いずれも株価妙味のほとんどない銘柄でした。当時はデフレ下で、つぶれることがないだけが取り柄のエスタブリッシュされた会社ばかりです。
その後値上がりして総裁は儲けているじゃないか、といわれますが、福井日銀のゼロ金利政策、量的緩和政策も効いて景気が回復軌道に乗り、ほとんどすべての株式が値上がりしているのです。福井さんが「世界一の中央銀行総裁」と国際的にたたえられた(このことを日本人が知らないのは、スキャンダルだけが大事なニュースと思い込んで、国際的な賞賛を大きく報じないマスコミの責任です)のは、こうした金融政策が高く評価されたからです。
奥さんの持株は、阪神電鉄と高島屋です。阪神電鉄株を村上ファンドが買い占めて値上がりする直前に買っておられれば問題になりますが、2000年に取得されていますから関係ありません。総裁は大阪出身です。その親しみから関西出身の高島屋と阪神電鉄を買われたのか、あるいは奥さんが高島屋と阪神百貨店の株主優待買い物券がほしかったのか、いずれにしても投資家としてはほほえましい素人です。奥さんは、総裁と一緒に村上世彰容疑者のタイガーズ上場提案を苦々しく思っていたかもしれません。
リスクが最も大きい金融資産は、村上ファンドへの出資金1000万円(現在価値2231万円)です。しかし、出資してから5年間、ほとんど運用成果はなく、わずかですが元本割れすら発生しています。福井総裁が「村上氏の志を激励するための出資でした」と弁明しているのもあながち嘘とはいえない運用成果です。福井さんは出資を捨て金と思っていたのではないでしょうか。
株式運用は、「コーポレートガバナンスに変革を迫る」という「志」だけで儲かるような軟なものではありません。よほどの運用の天才を除いて、短期間で大きく儲けるには、インサイダーやグリーンメール(買い占めた株の強要売り付け)、あるいは株価操縦など違法な手段をとるほかないのです。村上容疑者は、違法な手段の誘惑に負け、その「志」を運用成果を上げるための道具に使ってしまったといえます。
かすがえすも残念なのは、金融資産の持ち方からしてこれほど臆病で慎重な福井さんが、村上容疑者の「変質」を見抜けなかったことです。総裁就任時にファンド出資金を清算しなかったことです。

慎むべきは嫉妬とねたみ
今回の福井総裁の村上ファンドへの出資問題とはまったく別次元の問題ですが、最後に触れておきたいのは、2億9100万円という金融資産残高の大きさです。一般の日本人の感覚からいえば、「ずいぶん持っているものだ」と嫉妬に刈られる残高です。
しかし、今回、アメリカの財務長官に就任するゴールドマンサックス会長ヘンリー・ポールソン氏は、就任に当たって同社の持株300万株、邦貨にして550億円を売却したと発表しています。私などは、550億円と聞いて、福井総裁の金融資産は、アメリカの新任の財務長官などとは比べることのできない「世界一の中央銀行総裁」と賞せられる人物の資産残高としては本当にささやかなものだと思います。
日本では、一般サラリーマン・庶民から経済社会の有能なリーダーまで平等な資産保有でなければ許されないのでしょうか。日本は、世界で唯一成功した「社会主義国家」(その実は利権民主主義国家)だ、といわれていますから、自分の懐勘定といつも比較して、あいつは持ちすぎだ、あいつはもらいすぎだと考えるのでしょう。しかし、彼我を比較すれば、才能があり努力して総裁の地位に着いた人物が、この程度の報われ方であることを、日本人として恥ずかしく思います。私を含め才能も努力も足りなかった人間として、嫉妬やねたみは現に慎まなければなりません。嫉妬心で判断を狂わせてはならないと思います。

2006年6月22日 04:33

福井総裁は辞めるべきか

村上ファンドへの出資をめぐって、福井氏は日銀総裁を辞するべきだという議論も出ています。前回のこのコラムでは、福井氏のとった行動は、日銀総裁に対する市場の信認を揺るがすものであり、その罪は大きいと書きました。しかし、「福井総裁は辞めるべきだ」とは書いていません。判断を留保したのは、それなりの理由があったからです。

「2人の大きな存在」がふらつく時
福井日銀総裁はアメリカのバーナンキFRB議長と並んで、世界の金融市場、ひいては世界経済に大きな影響を与える「2人の大きな存在」のひとりだからです。世界の市場関係者は、現在、この「2人」が金利政策をどのように変更するか、固唾を飲んで見守っているところです。  
ご存知のよう福井日銀総裁は、3月に量的金融緩和の解除宣言を行い、この6月、7月にもゼロ金利政策を解除する、つまり金利を復活させると予想されていました。一方、バーナンキ議長は就任してまもなくFFレートの再引き上げに踏み切ったあと、5%の金利水準でFFレートの引き上げを打ち止めにするのかどうか、を市場に問われる立場にありました。この2人の差し迫った決断は、世界のインフレ懸念を静め、景気を過熱から巡航速度に戻すかどうかを左右するものだったのです。
こうしたきわめて神経質な決断にあたって、福井日銀総裁に対する市場の信認はこれまできわめて厚かったといえます。過去、福井日銀がデフレからの脱却のためにとった、果敢な量的金融緩和政策とゼロ金利政策に対する世界の市場関係者の評価には高いものがありました。量的緩和解除後の金利復活への日銀シナリオにも高得点が与えられていたからです。
世界の市場関係者から高い信認を受けていた福井総裁に比べ、新任のバーナンキ氏に対する市場の信認はいまだ定まっていません。利上げを打ち止めにするという印象を与えたり、利上げを続けるという印象を与えたり、市場は予想を立てられない状態に陥り、株価が乱高下する不安定な状態に置かれています。前議長のグリーンスパン氏に対する市場からの信頼があまりにも高かったこともあり、バーナンキ氏には気の毒な面もありますが、氏の「決断のふらつき」は市場からの不振を増幅させ、「バーナンキ・ショック」という言葉さえ生み出しています。

まず速やかに信頼回復の手を打て
バーナンキ氏が「ふらついている」現在、市場から信認の厚い「もう一人の存在」福井氏は世界の金融市場のアンカー的な役割を果たしていたといえます。もし福井総裁が辞任すれば、そのアンカーを失い、世界の金融市場は浮遊状態になってしまう恐れがあるといえます。昨年12月インサイダー取引への関与を疑われ辞任したイタリア中央銀行のアントニオ・ファツィオ総裁の例と福井総裁を類比させて、「辞任を迫る」かの記事もあります。しかし、ファツィオ氏と福井氏とでは、その辞任の影響は福井氏のほうがはるかに大きいといえます。
そこで、迷いに迷った末の結論ですが、福井総裁は、当面は辞任せず、速やかに市場の信頼を回復させる措置、例えば日銀総裁を初めとする政策委員会審議委員の資産公開、保有株式の凍結(信託)などの措置をとるべきだと思います。そのうえで、現在進めている金利復活へのシナリオを着実に歩むことだと思います。そうして、福井総裁は自ら潔く任期を待たずに辞任することが、「日銀総裁職」の権威と市場の信認を高めることになると考えます。
なんだか、新聞の論説記事のようになりましたが、社会部記者のように「悪いことをしたのだから辞めろ」と騒ぎ立てる前に、世界の金融政策の現状から冷静に「福井辞任」問題を考える必要があると思った結果です。

2006年6月19日 11:09

福井俊彦日銀総裁の1000万円

株価が急落しています。昨日(6月13日)の日経平均株価は、614円もの大幅な値下がりでした。株価の急落は、日本だけでなく世界中で起こっており、「世界同時株安」ともいわれています。その根本原因は、日米をはじめ金融当局の引き締め政策を受けて、国際的な投機マネーが値上がりの激しかった株式や資源などのリスク資産から撤収していることにあります。
そのうえ日本では、この日、福井俊彦日銀総裁の個人資金1000万円が、インサイダー容疑で逮捕された村上世彰容疑者のファンドに投じられていたことが国会で明らかになりました。それが追い打ちをかけるかたちで株価の下げをさらに加速することになったのです。

「日銀総裁」という最高級の肩書
福井俊彦氏は、最も有力な次期総裁候補とされていましたが、多数の日銀職員が起こした不祥事の責任をとって副総裁を辞任せざるを得なくなりました。辞任後、民間の富士通総研の理事長についたのですが、その理事長当時に村上世彰のアドバイザーとなり、「日本の企業統治を変えようとする」という意味から村上ファンドにも1000万円投資したと、いっています。
小泉総理をはじめ政府首脳は、「民間人だったときのことだからまったく問題ない」と、福井氏をかばっています。たしかに、一民間人が自分のカネを投資ファンドに預けて運用してもらっても何ら問題はありません。その投資ファンドが悪いコトをしたからといって預けた投資家が責任を問われることはあり得ません。ファンドマネージャーの悪事で投資ファンドが行き詰まるようなことになれば、投資家の福井氏はむしろ被害者ということになります。
しかし、日銀総裁になってからもファンドにカネを預けたままの状態になっていることは、たとえ日銀の内規に触れなくても、許されることではありません。
それは第1に、「日銀総裁」は、日本でも最も信頼される最高級の肩書だからです。村上ファンドが新たな投資家を募る際、「日銀総裁もわがファンドで運用しているのですから」というセールストークを使っていれば、それは絶大な効果をもちます。政治家や皇族の肩書をもつ人物を「総裁」に祭り上げて、金集めをする「詐欺師」もいますが、村上ファンドが「日銀総裁」の肩書きを使えば、その「詐欺師」と同じになります。肩書を使われた「日銀総裁」は、詐欺師と同罪です。そなると福井総裁は、「脇が甘かった」程度の認識ではいられなくなるはずです。

市場に芽生えた「総裁不信」の芽
第2は、日銀総裁が特定の投資ファンドと密接に関係を持っていたこと、あるいはそう疑われたことが、「市場(マーケット)」に与えた悪影響です。これは、より深刻な問題だといえます。加えて、日銀総裁になっても村上ファンドのアドバイザーだったとしたら、最悪です。
株式や債券、為替などを取引する「市場」の参加者は、「日銀総裁」の人柄、性格、交友関係、そして「日々語る言葉」すべてをウォッチして、自らの投資や運用の方針を決定しています。日銀総裁は株価、債券価格、為替レートなどの「市場価格」に最も大きな影響を与える「市場金利」を誘導することが出来ます。その「市場金利」を誘導する日銀総裁は、市場とその参加者の死命を制する絶対的な権威者とみられています。昔は日銀総裁が「法皇」と呼ばれたことすらあります。
その権威者、法皇は市場から深い信頼を得ていなければなりません。グリーンスパン前FRB議長は、市場から深い信頼を得て「市場との対話」を成功させ、すばらしい金融政策を実施することができたといわれています。実は、福井総裁も就任以来、金融の量的緩和に踏み切り、日本経済のデフレからの脱却に大きく貢献し、「市場」の信頼を集めていたのです。冷静で果敢、しかも公正、公平、独立心という資質は日銀総裁には不可欠なものです。福井総裁はその資質を兼ね備えていると評価され、市場は彼が語る言葉をバイアスなしに読み取り自らの意思決定に生かしていたのです。
今回のことでその日銀総裁に対して市場の中に「不振の芽」が育まれたかも知れません。このことは、日銀総裁の一挙手一投足の背後に「総裁の利害関係者との間に何かの思惑が働いた結果ではないか」などと、市場の判断にバイアスが掛かることを意味します。そうなると「市場との対話」にもとづく金融政策が成立しなくなります。
実はこのことが、今回の「福井総裁の1000万円」をめぐる最も重大な問題だと私には思われます(以下次号)。

2006年6月 8日 00:00

村上ファンドの「正体見たり」

「物言う株主」が注文をつけても、経営は短期間で改善されるものではありません。経営者が、経営資源を組み換え、利益を上昇させるには時間が掛かります。株主にはそれまで待ってもらわねばなりません。短期間で株主への還元を行うには、いざという時に蓄えている留保利益を吐き出すか、含みを持っている不動産や稼いでいる子会社などの優良資産を切り売りして株主の要求に応えざるを得ません。留保の吐き出しや資産の切り売りは、長期的には企業の体力を弱め収益力を低下させ、株価を下落させることになります。その結果、株主価値は下がります。ですから、株主が経営に「物を言う」のなら、株式を短期保有ではなく、長期保有しなければならないと思うのです。

村上ファンドは、「短期保有のアクティビスト」でした。短期間に株価を引き上げ、その値上がり益を獲得するのが基本でした。早く成果を上げるには、経営に対して無理であれ難題であれ要求をぶつけざるを得ません。時には正義の御旗をふるってマスコミを煽動し、一般投資家の提灯買いを誘って株価を吊り上げねばなりません。そこで売り抜けなければ、ファンドの使命を果たすことが出来ないという矛盾をこの「物言う株主」は抱えていたのです。

 大儲けが出来た、その「胡散臭い理由」

問題は、ファンドは保有株を売り飛ばさなければ値上がり益を獲得でないということから発生します。プロの投資家でも値鞘を取るための売り時の見計らいはきわめて難しいのです。まして、大量に保有している村上ファンドのような投資家が、値を崩さずに売り抜けるのは至難の業です。市場で大量に売れば、株価は一気に下がり値上がり益を確保できないどころか、値下がり損をこうむりかねません。

   村上ファンドは、株価が値上がりした段階で売り抜ける妙案を考え出したといえます。ひとつは、大量の保有株を値上がりして値段で買い取ってくれる投資家を作り出すことです。阪神電鉄の場合はそれが阪急ホールディングのTOB(公開買付)でした。かつての胡散臭い「買占め屋」は、株価を買い占めた後、当の会社ないし株主に高い値段で買い取らせました。今回は当該会社・株主ではなく、再編吸収先の別の会社であるところに新しさはありますが、結局、高値で特定の株主に引き取らせるという意味では過去の買占め屋に何ら変わるところはありません。ファンドの先進国であるアメリカでも、こうした「買占め屋」を「グリーンメーラー」といってさげすみます。

もうひとつは、今回のインサイダー取引です。村上世彰代表は、たぶん彼のほうから、ニッポン放送株の買集めをした後、同じ六本木ヒルズの仲間であるライブドアに対してニッポン放送の乗っ取り、ひいては子会社であるフジテレビの経営支配が「おいしい話」だと、持ちかけたのでしょう。そして、ライブドアがニッポン放送株を買い占める決断を知って、さらに株を買い増し、株価が上昇したところで売り抜けたのです。

ライブドアがニッポン放送株を買い占めるという事実は、インサイダー取引規制法でいう「重要事実」にあたります。「重要事実」を知り得ない投資家と知り得た投資家の間の不公平(経済学ではこれを情報の非対称性といいます)を解消するのがインサイダー取引規制というルールです。「重要事実」が新聞などに公表されてから売り抜けるのであれば、合法です。しかし公表前に「重要事実」を知り、それをもとに株式を売り買いすれば、違法でお縄頂戴となります。村上代表は、確実に買い先があるという「重要事実」を知り、株価が値崩れせずに売り抜けることができることを確かめて、市場などで持ち株を売り抜けたのです。これは、「重要事実」を知り得ない善良な投資家を食い物にする犯罪行為です。

株式投資は、すべての投資家に対して公平で公正な情報開示が行われたうえで、その銘柄の騰落予想を競う投資ゲームです。大金を持った投資家(ファンド)が、そのゲームのルールを破れば、一方的な金儲けが出来ます。逮捕された村上世彰容疑者は「村上ファンドは大儲けしたのでみんなに嫌われた」といっています。ルールを守って200本も安打を打つイチロー選手を嫌う人とはいません。多くの人は、「何か不正なことをして大儲けしたのでは」と違和感をもってみていたから村上ファンドを嫌ったのです。

次回はホリエモンや村上逮捕によってますます旗色の悪くなった「市場原理主義」に対する曲解、誤解、無理解について触れたいと思います。

2006年6月 1日 00:00

「ファンド」に対する違和感

では、「村上ファンド」を「アクティビスト」と呼んでいいのでしょうか。図体が大きくなりすぎ、金にものをいわせるだけの現在の「村上ファンド」をそう呼ぶには、どうも違和感があります。
アメリカには「アクティビスト」とは似て非なる「グリーンメーラー」(サヤ抜き屋)と呼ばれる「ファンド」もあります。経営責任を執拗に追及したり経営陣の過半を支配すると脅したり、あらゆる手口を繰り出して情報戦を仕掛けて、結局、高値で売り抜けて「値ザヤとる」ファンドのことです。「村上ファンド」の本質は、マスコミを抱き込んで情報戦を仕掛けて「ちょうちん筋(買い本尊に便乗して値上がり益を得ようとする個人投資家)」を巻き込み、値を吊り上げて、市場で売り抜けるか、誰かに高値で買いとらせる「サヤ抜き屋」であると、みんな思っています。
アメリカではこうしたやり方を「グリーンメーラー」と呼びますが、日本の株式市場では古くからこれを仕手本尊、「買占め屋」と言い習わしてきました。村上ファンドが振りかざしている「株主としての正義の御旗」がなにやら胡散臭い金儲けの道具にすぎないと見抜かれているのです。

 

 村上ファンドにも「効用」

 そんな「村上ファンド」ですが、最初は効用もありました。太平楽を決め込み、豊かな経営資源を使い切ることをしないような経営者に緊張感をもたらしたことです。株主は棚に上げ、従業員の歓心を買うことだけで経営者としての安泰を図るという日本型経営に大きな問題提起をしたことです。

「村上ファンド」が最初に手掛けた「昭栄」という会社は、旧安田グループの資産管理会社として豊かな資産を持っていましたが、眠ったままでした。それが「村上ファンド」にTOB(株式の公開買付)を仕掛けられて目覚め、経営陣は村上氏から指摘された株主価値(株式の時価総額)を高める施策を実行することになりました。その結果、2001年度に2億9000万円にすぎなかった経常利益が、05年度には47億円まで16倍になりました。株価が上がり時価総額もこの間120億円から10倍以上の1300億円まで拡大したそうです。そう「週刊東洋経済」に書いてあります。
村上ファンドは、02年夏に昭栄株を利食ったのですが、短期の「サヤ抜き屋」であっても大きな刺激を与え、経営陣に覚醒をもたらすことができたのです。どんな優れた経営者でも短期間で株主価値を高めるようなことができるはずがありません。昭栄の経営陣は、村上ファンドには「カルパース」のように株式を長期に保有していただき、経営を叱咤激励しながら長期のリターンを得てもらいたいと思っていたかもしれません。
ファンドには、日本型経営にとって「功罪」両面があるのではないでしょうか。そのことは藤原正彦氏のベストセラー『国家の品格』でののしられている「ハゲタカ・ファンド」にもいえます。その点は次回に・・・。

プロフィール
ニックネームさん
大西良雄(経済ジャーナリスト)
上智大学卒業後、東洋経済新報社に入社。記者を経て「月刊金融ビジネス」、「週刊東洋経済」編集長を歴任。出版局長、営業局長の後、常務第1編集局長を最後に独立。早稲田大学オープンカレッジ講師のほか講演・執筆活動。
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