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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

留学生日記

2018年8月 7日 20:16

消えたゴミはどこに行ったのか?

8月4日(土)、第48回みなとこうべ海上花火大会(神戸花火大会)が行われました。

当ブログ2015年8月10日に紹介しましたが、私が勤務先の大学で顧問をしています(主に留学生によって構成されています)ユネスコクラブは、毎年、花火大会の翌日に清掃ボランティアをしています。

2015年は今回は、中国出身者3名、ネパール出身者1名、ベトナム出身者1名、モンゴル出身者1名の6名だったのですが、今年は、何とネパール出身者13名、ベトナム出身者12名、中国1出身者名、ミャンマー出身者1名、モンゴル出身者1名、バングラデッシュ出身者1名の計29名と大きくなりました。

当然、清掃地域も拡大し、毎年、担当していました公園のみならず、その隣の公園や公道まで割り当てて頂くことになりました。

熱中症を避けるために比較的涼しい(と言っても十分に暑いのですが)午前8時に集合して、約2時間、エリアを分けて清掃を行いました。例年通り、あまり大きなゴミはなく、留学生から「日本人は綺麗好きですね」という声が続きました。それでも、ペットボトルや缶などが散乱しており、コンビニで購入していったゴミ袋は全て使い切りました。そして、ゴミが集められている場所にゴミ袋を置き、通り過ぎるゴミ収集車を横目で見ながら解散しました。

今年も清掃ボランティアが終わったと安堵していたところ、市役所から電話がかかってきまして、「清掃されたんですか」、「後ほど、見に行ったところ、ゴミ袋はありませんでした」とご指摘頂きました。

正直、炎天下の中、ボランティアをした後にやっていないと言われると気持ちが良いものではないのですが、ゴミ袋がないというは不思議です。

「ゴミ収集車をみかけたのですが」と伺ったところ、「市のゴミ取集車はお昼過ぎに行ったはずなので、そんなことはない」と言われるのです。

後日、調査したところ、民間のゴミ収集車が集められたのではないかということでしたが、ボランティアのゴミ収集車まであるとすれば、凄いことです。

学生たちは、「市役所がご不満ならば、もう一回やってもいい」というぐらい、清掃ボランティアを楽しんでいました。

ベトナム人の男子学生は、「バイトばかりで、ボランティアの掃除は息抜きになります」と語っていました。

東京オリンピックも2年後となり、学生ボランティアが注目される今日この頃ですが、留学生のボランティア活動についても本格的に考えた方が良いのではないでしょうか。(清掃ボランティアは紆余曲折ありましたが)学生たちの興味関心の高さを鑑みると、留学生研究として、研究対象にする価値さえもあるように思えてきます。

2018年8月 3日 22:28

留学生は、なぜコンビニで働くのか?

全国のコンビニで働く外国人の数が、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの大手3社の数字だけで4万人を超えたそうです(2017年のデータ)(Newsポストセブン, 7月24日)。

今や、コンビニで働く人の20人に1人が外国人になっているそうですが、外国人は都市部に集中しており、東京、大阪、名古屋、福岡などの大都市の中心部では、外国人を雇っていないコンビニの方が珍しいのではないでしょうか。

私のゼミには、ベトナム、中国、ネパール、ミャンマー、モンゴル出身者がいるのですが、コンビニでバイトしたことがない人の方が少ないです。

なぜ、彼らはコンビニをバイト先として選ぶのでしょうか。ゼミ生に聞いてみました。

ローソンで働くベトナム人の女子留学生Aさんに聞いたところ「日本語を使うので、日本語が上手くなると思ったから」と言っていました。ネパール人の男子留学生のB君も、やはり第一の理由に日本語や日本語での接客を挙げています。その上で、「時給は安いけど、工場よりも楽だから」と語っていました。

日本語学校経由の留学生にとって、お弁当等の工場バイトも避けて通れない経験です。日本語学校入学時において、日本語力が殆どない場合、コミュニケーションを必要としない工場勤務しかできないからです。

しかし、工場は深夜勤務もあり、労働条件が厳しいのです。コンビニは工場よりも時給は安いのですが時間の調整が可能で、比較的「楽な仕事」と認識されているようです。日本語ができると工場勤務からコンビニ勤務に移ってきます。

ただ、コンビニでバイトしたことのない中国からの女子留学生Cさんは、しない理由を「時給の安さ」と言っています。彼女は日本語が上手であり、高級和食料理のお店でアルバイトしています。彼女曰く「コンビニは、日本語ができない留学生向けの仕事のような感じです」とのことでした。

「コンビニ=高度な日本語」というイメージがありますが、実際のところ、コンビニの仕事は高度にマニュアル化されており、日本語は慣れてしまえば難しくないというのです。とは言っても、来日したばかりの留学生ではできませんので、コンビニは、工場と更なる「高給」バイトの中間地点ということになるのでしょう。

いずれにしましても、4万人以上の外国人が働く「コンビニJapan」は、日本人の支え、留学生の生活も支えていることになります。おそらく、今後、コンビニは更に労働力を外国人に依存していくことになるのではないでしょうか。「留学生とコンビニ」、これからフォローしていきたいと思います。

2018年3月11日 23:40

21世紀の国際交流とは: 神戸国際交流フェアに思う

私が教員として所属する大学(キャンパス)は、兵庫県神戸市にあります。そこで、私は大学のユネスコクラブの顧問をしており、毎年、3月には学生と共に「神戸国際交流フェア」という地元の国際交流イベントに参加しています。

「神戸国際交流フェア」は、阪神・淡路大震災からの復興を願い1997年に初めて開催され、今回22回目を迎えました。

今年は、3月10日、3月11日に「神戸フェア」が開催され、私の学生も、何人かは運営委員として企画から参加しました。

毎回ですが、今年は学生と通じてより関与したこともあり、21世紀の国際交流って何なのかを考えさせられました。

例えば、出店もフィリピン、トルコ、カナダ、ミャンマー、インド等の料理が出ていました。それはそれで美味しいのですが、私たちの日常の食事も国際化しており、街で異国のエスニック料理を食べることは「普通」でもあります。

2日目の会場(ハーバーランド・スペースシアター)には舞台が設置され、そこでは民族舞踊やそれぞれの国を代表する音楽が奏でられます。もちろん、それはそれで盛り上がりますし、素晴らしいのですが、音楽のシーンもグローバル化しており、世界の若者が各国の伝統音楽から縁遠い生活をしているようにも思えます(それ故に、伝統音楽がその母国ではなく異国で保存されるという現象になるなら興味深いものがありますが)。

学生と共に「神戸フェア」の会場を走り回りながら、私なりに何が足りないかを考えたのですが、おそらく、共通性の確認なのかもしれません。

国際交流というと、異国の文化的特徴を提示して(大体その国の出身者が登場して説明し)、「〇〇国ではこうです」と、そして日本人(観客)が「日本とは違いますね」と相違を再認識するパターンが多く見られます。

ただ、実際、世界の若者の(特に都市に住む人々の)ライフスタイルは類似しており、価値観は収斂しているように思えるのです。相違点と類似点の両方があれば、グローバル化する21世紀の国際交流になるのではないでしょうか。

例えば、今年の神戸フェアは3月11日でしたので、阪神・淡路大震災から23年、東日本大震災から7年、ネパール地震から3年になります。ここにも忘れてはいけない共通性があります。

1995年に多くの犠牲を負った神戸だからこそ、しなければならない国際交流ミッションがあるように感じます。

次年度の課題にしていきたいと思います。

2018年2月 4日 23:15

なぜ、中国では医学部が人気がないのか?

社会学者は経済が発展すれば、諸社会は、それぞれ異なる文化を基としても次第に類似していく(同様になる)という収斂理論を支持する傾向があります。しかしながら、現実はそう簡単にはいかないようです。

中国では大学で医学を学ぶことは必ずしもエリート証ではないとされます( "China's doctors not part of society's elite", Financial Times, October 6, 2013)。

例えば、2016年の中国の大学入試で、各省の文系と理系それぞれ1位の人の誰もが医学部を志願しなかったとされています(如何评价人民日报发表微博《36 名高考状元竟无一人选择学医》?)。中国では医学部が滑り止めとされ、第一希望の学部に合格せず、医学部に入るというケースもあるそうです(中国網日本語版, 2013年10月8日)。

通常、先進国で医学部は大学でも最難関であり、医師はなりたい職業のトップを争うものです(それが正しいかどうかは別として、ほぼ共通現象でしょう)。

それでは、なぜ中国では医学部が人気がないのか。一つには、医師の収入が高くない、更に社会的地位が相対的に低いということがあるそうです(同上)。収入に関しては、中国において医師の初任給は、大学卒の平均初任給を下回っており、医師になるのが大変な割にはリターンが少ないのです。

更に中国では「治療が悪かった」として、患者の家族が担当医を激しく非難するケースが多く、医師に暴力を振ることさえあり、医師が過度のストレスを感じていることも挙げられています(Searchina, 2016年2月21日)。

私はこのニュースを読んで、英国に留学していた頃の医療サービスの二極化の問題を思い出しました。英国の公共の医療サービス(National Health Service=NHS)は基本無料です。しかし、私立の病院(プライベート医療サービス)もあり、そこは高額な診療費がかかります。

どちらの医者になれば儲かるのかといえば当然、「プライベート」であり、優秀な医者も「プライベート」に流れることが指摘されていました。しかしながら、NHSのお蔭で、お金がない人も、無料で医療が受けられるのも事実です。

中国の場合、この英国の「プライベート医療サービス」がないと考えると分かり易いと思います。全てがNHS型になってしまえば、医学部の人気は残念ながら落ちることでしょう。

そして、中国人富裕層の「プライベート」の役割を担っているのが日本などの外国の医療機関ということになります。実際、私が教える中国からの留学生の中には、親が病気になると日本に呼び寄せて治療を受けさせる人が結構います。

教育についても優秀な中国人留学生は海外の大学の医学部に学ぶこともあるのでしょう(卒業後、帰国する人が少ないことは想像に難くないです)。

今後、中国の医学界や医学部はどうなっていくのでしょうか。日本等の先進国に「プライベート」部門を任せ続けるのでしょうか。

私は遅かれ早かれ、中国の医療も「プライベート」化が進み、「収斂」されていくのではないかと考えます。

2018年2月 1日 23:08

いつも世界のどこかでお正月!

昨日、教壇に立つ大学の定期試験が終わりました。

最終日、ある試験において、私が試験監督をしていたところ、1年生のベトナムからの(男子)留学生が答案を提出すると同時に「これで1年生終わり、これから2年生だ!」と言い放ちました。

まだ、採点していないので、彼が無事、単位を取得して2年生になれるかどうかは未定であり、「君、まだ、分からないよ!」と突っ込もうとしたところ、「来週、ベトナム帰ります」、「先生、良いお年を!」と先に言われてしまい完全に敗北しました。

ベトナムの今年のお正月(旧正月)の元日は、2月16日であり、彼らにとっては暮れも押し迫っているのです。
 
もちろん、日本で生活していますから、彼らが日本の時間を知らないわけではないです。日本のお正月が1月1日だったことも理解しているでしょう(留学生の多くは、時給が高い年末年始はアルバイトをしますが)。でも、彼らは同時にベトナム時間でも生きているのです。

私が教える社会学では、「マージナルマン」という概念があります。このブログでも、何度も言及していますが、「マージナルマン」とは、米国の社会学者ロバート・パークが提唱した二つ(以上)の社会集団に属し、一つのアイデンティティに固定されていない人間のことを指しています。

そして、「マージナルマン」としての留学生は日本と母国の「2つの時間」に生きることになります。

グローバル化というと価値の一元化(フラット化)のように見なされることもありますが、(マスレベルの国境を越えた移動によって)多くの人々のアイデンティティが、マージナル化していくのも事実であるでしょう。

それは多元的な現象でもあります。

私は好きなイラン映画『白い風船』は、イラン暦1373年の大晦日(西暦1995年5月)のテヘランが舞台です。映画は、「現在、5時7分です。新年まで後1時間28分30秒です」というラジオ放送から始まります。

昨年、9月に私が訪れたネパールは、日本と時差が3時間15分あるのですが(日本のほうが進んでいる)、そもそも、ネパールはビクラム暦を採用しており、2018年1月1日は、ビクラム歴2074年9月17日です。そして、ネパールにおいて新年は日本の「4月」に迎えることになります。

つまり、ネパール人の留学生からは、3月に「良いお年を!」と言われることになります。

そう考えると、いつも世界のどこかでお正月なのかもしれません。

それは世界がバラバラなのではなく、グローバル化していることによって、(留)学生が世界に学び、お正月の「違い」が見えてきたのです。

毎月、お正月、悪くはないです。

皆さん、今月も良いお年をお迎えください。

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プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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