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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

日本社会

2018年4月22日 23:46

神戸はなぜ、東京でも「かっこいい」と思われるのか?

先日、神戸市の三宮の職場の近くの中華料理店に行ったところ、お店の30代ぐらいの女性スタッフと初老のお客さんが隣で話し込んでいました。

お客さんは東京に20年住んで、数年前に生まれ故郷の神戸に戻ってきたそうで、以下のように語っていました。
「あのな、東京行ったら、関西出身、言うたらあかんで」
「神戸ってはっきり言わんと、損するんや」
「東京で神戸いうたら、大概『神戸、いいですね』って言ってくるねん」

これは、このお客さんだけではなく、神戸出身で東京に長中期滞在したことがある人は、多くが経験していると思います。

私も、毎週のように神戸から上京して東京で講義をしています。ある女子大での講義で、遅刻してきた学生が「家が遠い」と言い訳したので、「私は、今日、神戸から来たんですよ」と諭したことがあります。

すると、教室から「そんな遠くから来ているのですか」という声の後に、「神戸、いいですね」、「今度、神戸行きたいです」等と続いたのです。

学生たちに聞いてみると、神戸のイメージは、「お洒落」、「かっこいい」というような感じだそうです。

私は、神戸に住んで6年目となりますが、かつては東京都民でもありました。東京に住んでいる学生たちに「いいな」と言わせる神戸とは何なのでしょうか。

神戸が東京よりも「かっこいい」街なのかは分かりません。しかし、東京都民にもそう言わせる何かが神戸にはあるようです。

港町である神戸は伝統的に外国人が多く、おそらく、世界に開かれている感覚があるのでしょう。旧神戸外国人居留地や北野異人館街の影響もあるかもしれません。

その他の神戸市の特徴を、独断と偏見で言わせて貰うと、港町で国際色豊かで自由な神戸は非常に自己認識の高い都市です。市の至るところでアルファベットのKOBEを観ることができます。市民がKOBEであることを意識していると言えるのです。

神戸市中央区の神戸港にある公園「メリケンパーク」には、神戸のキャッチフレーズの文字のモニュメント『BE KOBE』があります。

2014年11月 5日付の当ブログで言及しましたが、市内のマンフォールには「All You Need Is Kobe」とデザインされた蓋もあります。

このようなKobe意識が、そんな東京に負けない「かっこよさ」を醸し出しているのかもしれません。

日本で同じような都市を探せば、横浜と長崎でしょうか。もちろん、神戸に問題がないとは言いません。課題は山積していることでしょう。それでも、魅力的な都市であることも事実です。

2018年4月 3日 21:29

日本も大学・大学院のパートタイム化を促進すべきなのでは

先日、日本私立学校振興・共済事業団が、私立大・短大など計914校を運営する全国662法人の2017年度における経営状況を調査し、103法人(15.6%)が「経営困難な状態」であるという結論を出しました(読売Online, 3月30日)。

なぜ経営が悪化しているかといえば、その原因として定員割れが挙げられています。私学は、運営費の9割を授業料で賄っているケースが多く、入学者が定員を下回れば、簡単に赤字に陥ってしまいます。そして、近年、入学定員充足率 100%未満の大学の割合が増加しています (文部科学省『私立大学の経営状況について(概要)』2015年10月1日)。

このような状況の中で大学が生き残りを図るとすれば、少子化によって減少する【日本の】18歳人口に依存しない経営を考えなくてはいけないことになります(【日本の】と入れましたのは、世界的な海外留学のブームの中で、日本に来る留学生も増加していく傾向があるからですが、留学生論はまた別の機会に論じたいと思います)。

前回、早稲田大学エクステンションセンターの例をご紹介しましたが、日本人に限定すれば、各大学は「学び続ける」機会を提供すべきであると考えます。それは、教養を中心とする生涯教育のみならず、欧米の大学のように大学、大学院のパートタイム化を早急に整備すべきです。

例えば、2009年において米国の大学・大学院生の総数はフルタイムが12,723,000人なのですが、パートタイムを含むと20,428,000人に膨れ上がります。英国は2009年において、フルタイムの大学・大学院生数は1,739,000人に対し、パートタイムを含めると2,659,300人となります(文部科学省『教育指標の国際比較』平成25年版、20-21頁)。

ロシアでも学部・大学院のパートタイム化が進んでいます。2010年においてフルタイムの学部生数は3,074,000人に対して、パートタイムの学生も合わると7,207,000人にも至ります(同上、23頁)。

当ブログでは、何回か言及してきましたが、日本も、就職か進学かではなく、早く、他の先進国並みに、就職しても、退職しても、大学で学び続けることができる体制を整えないといけないと痛感します。

それは、少子化問題に直面している日本の経営上の一つの「答え」にもなるでしょうし、日本全体の教育力のアップにもなると考えます。また、何よりも学び続ける、知り続けることは何らかの「幸せ」に通じる道であるのではないでしょうか。

おそらくそのためには、文科省と大学と(パートタイム学生を認める)企業を主体とした受け入れ側の意識改革と、パートタイムで学ぼうとする学生/社会人側の意欲が、同等に必要であると思われます。

2018年4月 2日 22:47

早稲田大学オープンカレッジを修了されたSさんへ

先日、10年ほど前に早稲田大学エクステンションセンター八丁堀校で教えた受講生(男性)のSさんから、この春、「早稲田大学オープンカレッジ」の修了生となったという嬉しい報告が届きました。

私は2005年から現在まで、この早稲田大学エクステンションセンターの講師を続けています。

早稲田大学はエクステンションセンターの3つのキャンパス(早稲田校、八丁堀校、早稲田校)において、「オープンカレッジ」を運営しており、教養・ビジネス・語学・スポーツ等、昼夜合わせて、年間約1800講座を提供しています(早稲田大学エクステンションセンターHPから)。

受講者は様々です。40代、50代、60代の主婦の方、会社をリタイヤされた方、サラリーマン(土曜や平日の遅くの時間は受講可能です)、学生、文字通り、老若男女なのです。

2012年2月18日付の当ブログでも言及致しましたが、「オープンカレッジ」にはフルタイムの学生は殆どいません。主婦をしながら、仕事をしながら、定年後セミリタイヤしながら学び続けているのです。

同オープンカレッジは単位制を採用しており、90分授業×5回(7.5時間)で1単位であり、76単位以上取得した段階で「修了生」となります。単位を得ることを目標としている人も少なくありません。

受講生は、大変真面目で欠席する人は殆どいません。休む時に電話をされて、メッセージを講師に残される人さえいます。本当に学びたいという意思がひしひしと伝わってきます。必然的に、こちらも講義の準備に十分に時間を割くようになっていきます。

冒頭の30代のSさんもその一人でした。彼は自主映画を製作しながら福祉関係の仕事をされ、「オープンカレッジ」に参加してきました。

その時の私はヨーロッパ論を担当しておりましたが、受講生は、本当に勉強熱心で講義の後、勉強会をしようということになりました。Sさんも当然加わり、毎週、講義後に空いている教室をお借りして、1時間程のゼミ式でヨーロッパに関連することを1人が発表し、皆でその内容に討論するような形にしました。

その後は、食事や飲みに行くのですが、今度は私よりも年配の方々が「先生」となり、私に人生訓を語ってくれました。今振り返りますと、自分の両親よりも年上の方々と喧々諤々と議論できたことは、かけがえのない体験であったと思います。

Sさんは私より年下でしたが、数回、映画論を絡めて発表してくれました。副業の仕事も大変だったようで、飲み会では。何度か相談に乗ったり、逆に私が相談したりするようなこともありました。年代的には私に近く、友達感覚もあったかもしれません。

私が、神戸にある大学に専任教員として着任してからは勉強会もできなくなり、Sさんとお会いする機会も減りました。私が、日々の生活に追われ、余裕がなくなっていたのも確かです。

今回、そのようなSさんから「オープンカレッジ」を修了することを知らされて、自分の大学教員としての原点を思い出したような感覚です。

Sさん、大変だったと思います。本当におめでとう。そして、有難う。

2018年3月25日 17:26

「合格」することより、「継続」することのほうが重要なのでは?

3月も中旬を過ぎ、大学の入試シーズンも終焉を迎えつつあります。今年の大学入試では、芸能人の番組企画での大学チャレンジが話題になりました。

オードリーの春日俊彰さんは日本テレビ系のバラエティー番組『得する人損する人』の企画で東京大学を目指して受験勉強をされ、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんがインターネットテレビAbemaTVの番組『偏差値32の田村淳が100日で青学一直線~学歴リベンジ~』で青山学院大学を受験しました。

結果はお二方とも不合格でしたが、大学全入時代に受験(勉強)が久しぶりにクローズアップされた感があります。

まず、私は、芸能人の方々が大学受験をされるのは大賛成です。

高度情報化社会の到来が叫ばれて久しく、今日、どのような職業であっても(タレントなら尚更)情報収集力と分析力、考察力が多かれ少なかれ必要でしょう。そして、言うまでもなく、大学とは、「考える力」を養う場です。

特定の大学に学びたいという希望も、何の問題もありません。あの大学で(あの学問を)学びたいという「拘り」も素晴らしいとも言えます。

しかしながら、今回のお二方は企画が終わり、とりあえず受験勉強を続ける予定はないようです。

番組内で不合格が判明した春日さんは、「来年また受ければいいじゃん」(『得する人損する人』2月8日放送)と同番組のレギュラーパネラーである坂上忍さんから言われると「またやるんですか...?」と消極的でした(同上)。

田村さんは「オレは法学学びたいって気持ちにウソはないから」と明言されており、悩んでいるようです。「また来年受けて法学部に入るって道もあるし」と再受験の可能性も述べられていますが、「違う形で法学の資料を自分で見て学ぶってこともできるし」と自分で勉強する可能性もあるようです(「【#19】今夜が本当のラストチャンス...青学入試"最終合格発表"!」『偏差値32の田村淳が100日で青学一直線~学歴リベンジ~』)。

ただ、番組企画に批判も寄せられています。

田村さんは「不合格で何も失わないヤツに言われたくない」と批判され、田村さんが「今年落ちただけでしょ」と語ったことに対しは、受験に対して真剣さが足りないと指摘されています(Asagei Plus, 3月7日)

芸能活動をしながらの番組企画としての挑戦でしたので、どれくらい真剣だったのかは分かりませんが、この企画が企画として終わってしまうのは非常に残念です。

大学全入時代だからということで申し上げるのではないのですが、今の時代は大学の入学試験の意義は薄れ、「合格」は大学を選ばなければ難しくありません。たとえ、難関大学に入学しても、入学しただけでは、かつてのような「人生の成功」を意味しないのです。

社会が激動する今日、4年間、いかに大学で学び、そして、大学を卒業した後も、社会の変化に対応するべく学び続けられるのかという「学業の継続性」が何よりも重要となってきます。

どちらかといえば、合格した後の2人がいかに学問に出会い、どのように勉強を続けるかを数年単位で見たいと思いました。それじゃ、TV番組にならないかもしれませんが、だとすれば、TVが時代の変化に合っていないということになりますね。

2018年3月13日 14:09

なぜ『コロコロコミック』は、不適切表現をチェックできなかったのだろうか?

年明けに「ダウンタウン」の浜田雅功氏が、大晦日に放送されたTV番組『絶対に笑ってはいけない』にて、米俳優エディー・マーフィーに扮して、肌を黒くメイクしたことが「人種差別」であると国内外から批判されました。

今度は、モンゴル問題が発生しています。

小学館の『月刊コロコロコミック』(2018年3月号)に掲載されています漫画「やりすぎ!!!イタズラくん」(吉野あすみ作)において、漫画のキャラクターが、モンゴルの英雄チンギス・ハーンの肖像に男性器の落書きをする場面が描かれました。

同誌が2月15日に発売されると瞬く間にネットで拡散し、モンゴル出身の元横綱の朝青龍氏が22日に自身のツイッターで抗議し、駐日モンゴル大使館も23日に抗議文を発表します。

発売元の小学館と原作者の吉野あすみ氏は、2月23日に同誌の公式サイトで「コロコロコミック3月号掲載『やりすぎ!!!イタズラくん』の一部表現に関するお詫び」と題しまして、以下のように謝罪しています。

2月15日に発売致しました弊社月刊誌「コロコロコミック」3月号掲載の漫画『やりすぎ!!! イタズラくん』において、モンゴルの英雄であるチンギス・ハーンに関する不適切な表現があったことにより、モンゴル国国民の皆様をはじめチンギス・ハーンを敬愛する全ての方々にご不快の念を抱かせましたことを、深くお詫び申しあげます。
今後はかかる事態を起こさないよう、モンゴルの歴史・文化に関する知見を深め、一層の配慮をして参る所存です。

上記の公式謝罪にもかかわらず、国内外からの批判の声は収まらず、小学館は3月6日、月刊誌「コロコロコミック」3月号の販売を中止し、書店から同誌の返品を募り、返品を希望する読者に対しては返金も行うことを決定します(ITmedia ビジネスオンライン, 3月6日)。

文字通り、「国際問題」に発展してしまっているのですが、モンゴルは非常に親日的な国であり、国民の間でも大相撲などを通じて日本と日本人は好意的に受け止められていたのです。もちろん、この一件で両国の関係にひびが入るとは考えられませんが、漫画の一コマが「国際問題」に発展するネット時代であることを痛感します。

「ダウンタウン」の浜ちゃんの米俳優エディー・マーフィー事件もそうなのですけれど、今回も含めて、コメディアンと漫画作家が表現する内容が、日本テレビと小学館という日本を代表するメディアにおいてチェックされなかったということがより深刻であるように思えます(小学館は「こうした事態を引き起こした原因は、当社の知見不足やチェック体制の不備だ」とし、責任を認め謝罪しています)。

大きく捉えれば、視聴者であり、読者としてメディアを支える私たちのセンスも問われているのかもしれません。

【もちろん、このような事件は日本だけではありません。3年前の2015年1月、フランスのパリにある風刺新聞社「シャルリー・エブド」が、イスラム教の預言者ムハンマドを侮辱した風刺画を掲載し、それに対してイスラム急進派のテロリストが同社を襲撃し12人を殺害した事件がありました。ただ、同紙はある程度、批判が来ることを予期していたように感じます。もちろん、想定外のリアクションであったことは確かであり、それに対し、テロを容認することは許されることではありません。】


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プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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