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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

スポーツと社会

2017年8月10日 00:00

広島マジック点灯: 強すぎるのでパリーグに行って下さい

2017年8月8日、プロ野球の広島・カープにセントラル・リーグ優勝までのマジックナンバー33が点灯しました。

広島は102試合を消化して63勝35敗4分で、勝率は642。2位阪神は98試合消化して53勝44敗1分であり、広島とのゲーム差は9.5。広島は、セリーグでは圧倒的な強さを示しています。

パシフィック・リーグを見ると、8日の段階の1位は楽天・ゴールデンイーグルスです。92試合消化しており、59勝32敗1分で、勝率648となっています。2位はソフトバンク・ホークスで、101試合消化しており65勝36敗、勝率は644となっています。

パリーグでは、7月13日から8月4日まで13連勝した西武ライオンズも、57勝39敗2分で勝率は6割近くになっており、この3強が鎬を削っている状態です。

広島は、セリーグでは「敵無し」のような状況ですが、パリーグに行けば4強状態で面白くなっているのではないでしょうか。

そう、正直、広島の強さは、パリーグに移って欲しいと思うほどです。

そう考えた時、2004年のプロ野球再編問題(1リーグ騒動)を思い出しました。

近鉄とオリックスの合併を端に発した再編問題は、その後、経営難に陥っているパリーグ各球団が人気のあるセリーグ球団からの救済を求めたことが明るみに出て、一部の球団主導で8~10球団の1リーグ制への移行が模索されました。

その際、2004年7月23日に巨人の渡邉恒雄オーナーが「仮にパリーグが4チームになった場合は(巨人は)パリーグへの移籍も視野に入れる」と発言されたと報じられていました(産経ニュース、2016年3月12日)。

今年、パリーグよりも「弱い」セリーグでも負け越している巨人が、パリーグに移籍したり、1リーグ制になってしまったら、優勝の可能性は暫くは見えてこないのではないでしょうか(パリーグを制覇するのは非常に困難になっており、昨年、優勝した日本ハムが今年最下位争いをしているように、競争は猛烈に激しいです)。

もちろん、それは2005年以来、セリーグで優勝していない阪神も同様であり、交流戦でパリーグのチームの強さを見せつけられると、同じリーグではなくてよかったと安心したりするものです。

はっきり申し上げて、パリーグの野球の方が魅せる野球で、ダイナミックで面白く、そして、広島だけがセリーグで「一人パリーグ」をしているような感があります。

このような状況では、巨人も阪神も、現在は、1リーグ制は大反対なのではないでしょうか。交流戦で勉強させて頂く程度が一番です。

いずれにせよ、セリーグ各球団は、8月上旬に広島にマジックが点灯してしまった結果を猛省し、チーム作りをして欲しいものです。

2017年7月19日 23:22

「他人の人生に自分を乗っける」スポーツ観戦は、時に勝敗を越えて教えてくれることもある

まず、確認したいことは、上西小百合衆議院議員が言葉でどんなに酷いことを主張したとしても、民主主義の社会は上西さんの命を絶対に守らなくてはいけないということです(議員には、17日に「殺害予告」が届いています)。

その上で、私は上西議員が、埼玉スタジアムで行われたサッカー国際親善試合でドルトムントに逆転負けした浦和レッズに対して、ツイッターで「サッカーの応援しているだけのくせに、なんかやった気になってるのムカつく。他人に自分の人生乗っけてんじゃねえよ」(2017年7月16日20:02)と書いたことを批判したいのです。

私は浦和レッズファンではないのですが、阪神タイガースを熱烈に応援しています。

「他人に自分の人生を乗っけてる」と言われればその通りです。日本全国から選ばれた(阪神の)プロ野球選手たちが、私ができないスーパープレーで人生の不満を(時々)解消してくれることもあるのは事実です。

しかし、わが阪神タイガースは、いつも不満を解消してくれるわけではないのです。シーズン別で勝敗を見ますと以下の通りです。

2016年 64勝76敗 3分(4位)
2015年 70勝71敗 2分(3位)
2014年 75勝68敗 1分(2位)
2013年 73勝67敗 4分(2位)
2012年 55勝75敗14分(5位)
2011年 68勝70敗 6分(4位)
2010年 78勝63敗 3分(2位)
2009年 67勝73敗 4分(4位)
2008年 82勝59敗 3分(2位)
2007年 74勝66敗 4分(3位)

この10年では、706勝688敗44分けですから、球場もしくはテレビ(サンテレビ)やネットで阪神の試合を観戦して、勝つ確率は50パーセント以下なのです。

「人生を乗っける」には率が悪過ぎます。

阪神が勝った時は、それだけで単純に喜び、負けた時(特にエラー絡み)は、私の場合は、自分はせめてダメ虎のように凡エラーをせずに頑張ろうと反面教師にすることにしています。

それから、スポーツ観戦は、勝ち負けを越えて感動することもあります。

例えば、7月18日(火)阪神甲子園球場で行われた阪神―広島の9回表、3-9で阪神が大量リードを許している展開で、かつての日本を代表するクローザーであった藤川球児投手が登板します。

まずは、広島の新井選手を高めのストレートで、サードゴロ 1アウト、安部選手をセカンドゴロ 2アウト、石原選手をライトフライ 3アウトチェンジと3者凡退に仕留めます。

「火の玉ストレート」を持って、クローザーとして何度も何度も9回に登板し阪神を勝利に導いた藤川投手が、敗戦処理とも言える6点差の状況で、(かつてのように三者三振とはいかないけれど)一球一球、一生懸命投げている姿は、勝ち負けを度外視してプロとは何かを教えてくれています。人生はいつも華やかな舞台だけではないのです。

もう一度繰り返せば、「他人に自分の人生を乗っけてる」と言われれば、その通りですが、勝ち負けではない時もあるのです。

上西議員が、お分かり頂けないとすれば残念です。

2017年6月 2日 02:14

無理にどこかの国に結び付ける必要はないのでは?

関脇・高安関の大関昇進が5月31日に正式に決まりました。今場所、高安関は11勝4敗で終え、大関昇進直近3場所の成績が目安となる33勝を超え、34勝となり大関昇進を決定付けました。

夏場所自体は、横綱・白鵬関が38度目の優勝を成し遂げました。

横綱は、優勝インタヴューで、10日目に寄り倒しで倒した高安関との取り組みを尋ねられ、「大きな壁があることこそ、素晴らしく強い力士が誕生しますし、彼のお母さんがフィリピン人でフィリピンの国民のみなさんにおめでとうと言ってあげたい」と答えています(日刊スポーツ、2017年5月28日)。

高安関は茨城県土浦市出身、お父様は日本、お母様はフィリピン出身の方です。ですから、もちろん、フィリピンに関係のある方です。

しかしながら、横綱が「フィリピンの国民のみなさんにおめでとう」と言われるのはどうなのでしょうか。

高安関は、茨城県土浦市育ちで日本国籍者です。外国籍で外国育ちの方とは異なるように思えます。

私は、高安関がフィリピン育ちはないことを指摘して、日本国籍者であることを強調するつもりはありません。

仮にフィリピン出身の力士が、大関、横綱になられるとすれば、大相撲の更なる多様化、国際化の観点からも喜ばしいことです。そして、フィリピンでも相撲人気が広がれば最高です。

しかしながら、茨城県出身の高安関の「コミュニティ」は、(日本というか)茨城にあるように思えるのです。

高安関の大関出身決定に際して、地元の土浦市役所では「祝 新大関昇進 高安関」と書かれた高さ10メートルの垂れ幕がつり下げられたそうです(毎日新聞、2017年6月1日)。JR常磐線土浦駅周辺では2カ所に横断幕が飾られ(同上)、高安関の母校・市立土浦第一中学校も祝賀ムード一色であったようです(朝日新聞、2017年6月1日)。

事実上の「国技」とされる大相撲は、何かと「国」が意識されます。それが日本的であれば、ある程、外国人力士も母国を意識せざるを得ないのでしょう。38回の優勝を誇る大横綱の白鵬関さえ同様かもしれません。

それはそれで仕方ないことですが。無理にどこかの国に結び付ける必要はないように感じます。

もちろん、高安関の活躍によって茨城とフィリピンが結びつくことになれば、それは素晴らしいことですが。

2017年4月15日 23:55

浅田真央選手の引退にただ思う

周知の通り、2017年4月10日、浅田真央選手(以下、敬称略して真央ちゃん)がご自身のブログで引退を発表しました。僅か数日前のニュースにもかかわらず、あっという間に国民に共有されたからか、随分前の出来事のようにも感じられます。

当ブログにおいて私は、何度か真央ちゃんに言及しています。
浅田真央選手に託したもの」(2014年2月22日)

そして、今回の真央ちゃんの引退をどのように文字化すれば良いのか、と悩む日々でした。時代が生んだ○○として浅田真央論を展開するのも陳腐なように思え...。

真央ちゃんの引退については、なぜ今なのか、もっと早く引退できなかったのか、が問われています。

なぜ今かを考えれば、直接的には2016年全日本選手権においてSP8位、フリーも振るわずトータル12位だったことが大きいと、ご本人も述べられています(産経ニュース、2017年4月12日)。

しかしながら、復帰後、成績が伸びなくてもなかなか引退できなかった理由は、浅田選手が引退したら大手広告代理店がフィギュアスケート界から手を引く可能性があったから(Business Journal, 2017年4月13日)、浅田選手の獲得するお金(試合の賞金、アイスショーの報酬、広告出演料、日本スケート連盟の補助金やスポンサーの賞金)の95%を日本スケート連盟やマネジメント事務所等が引き抜いており、彼らが浅田選手を辞めさせなかったという「大人の事情」があったと囁かれています(FOCUS-ASIA.COM, 2014年4月11日)。

いずれにしましても、ソチ五輪終了後、復帰は「ハーフハーフ」という言葉を残して休養していた真央ちゃんは、2015年10月に復帰したのです。

「大人の事情」は好意的に言い換えれば、多くの国民が復帰を求めたということでもあり、真央ちゃんはそれに答えようと本気で復帰を図ったのでしょう。それがお金のためではなかったからこそ、今回の引退が感動を呼ぶのではないでしょうか。

そして、真央ちゃんは引退しました。

元フィギュアスケート日本代表の渡部絵美氏は、「何よりも「浅田真央」というイメージが一度も狂うことなく、長い選手生活を終えたのも本当に素晴らしい」と言い、「普通の女の子なら、高校生や大学生になったら遊びたいとか冒険してみたいという気持ちが出てくるころです」と真央ちゃんが、真央ちゃんを演じきったことを賞賛しています(dot, 2017年4月11日)。

真央ちゃんは、今月12日の引退会見において結婚の予定について聞かれ「結婚のご予定は、ないです。お相手がいれば、その方と一緒に帰られたんですけど」と答えました(日刊スポーツ、4月12日)。

これからも、真央ちゃんの一挙一動が注目され続けてしまうことでしょう。しかし、私たちは、(寂しいけど)真央ちゃんの人生を真央ちゃんに返してあげるべきなのかもしれません。

2017年4月 2日 01:56

モンゴルに帰って貰っては、困ります。

大相撲春場所で新横綱・稀勢の里と優勝を争った大関・照ノ富士に対する場内のブーイングがヘイトスピーチに当たるのではないかと批判されています(The Huffington Post, 3月27日)。

当ブログ(3月26付)でも紹介しましたが、14日目、照ノ富士は関脇に陥落した元大関の琴奨菊と対戦し、立ち合いに大きく変化し、はたき込んで勝利しました。6敗目を喫した琴奨菊は、この敗北によって大関復帰を阻まれました。

場内は、重要な一番に変化をした照ノ富士へのブーイングに荒れ、次の取組ために横綱・日馬富士が土俵に上がってからも続き、日馬富士は「相撲を取るどころじゃなかった。集中してるけど耳に入ってしまう。次の一番に集中してる人のことも考えてほしい。大けがにもつながるから」と苦言を呈している程です(日刊スポーツ、3月25日)。

そのブーイングの一つがモンゴル出身の照ノ富士への「モンゴルへ帰れ!」という言葉であったとされています(スポーツ報知、3月26日;サンスポ、3月31日)。

まず、このような心無い言葉は、公の場で許されるべきでありません。

もっとも、NHKで解説していた北の富士勝昭さんが「(ブーイングは)当然、飛ぶでしょうね」と語っているように、身内の関係者には当然と受け止められたのかもしれません。

そもそも、稽古中など部屋ではよく投げつけられる言葉なのかもしれません。そこに「愛」があるかどうかということも重要で、師匠や同門の親方が照ノ富士に言った場合は、「真っ向勝負で頑張れ」という意味が含まれていることでしょう。

いうまでもなく、若貴ブームの後、大相撲を支えたのは外国人力士であり、特に朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜などの横綱を輩出したモンゴル勢なのです。そして、稀勢の里が横綱になり、また現在、起こっている大相撲ブームも、「敵役」としてのモンゴルの強豪が存在するから成立しているのではないでしょうか(もちろん、モンゴル勢を応援している日本人も沢山いますし、外国人の稀勢の里ファンも少なくないのでしょうが)。

モンゴル、ハワイ、ブルガリアとは文化が異なりますので、日本で何年も修行しても究極なところで勝負に関する価値観は異なるかもしれません。それでも、大相撲は、彼ら外国人力士に支えられてきたのです。

唯一の日本人横綱・稀勢の里には、どうしてもナショナリズムが結びつきます。逆説的ですが、それは、大相撲の国際化を意味しており、悪いことではないのです(横綱・輪島は石川県、横綱・北の湖は北海道のシンボルでしたが、両者の対戦においてどちらかが日本を代表することはありませんでした)。

しかしながら、「愛」のない「母国へ帰れ」はいけないのです。照ノ富士に帰って貰っては困るのです。モンゴル勢がいなくなれば国際性がなくなってしまいます(小錦さんが現役の頃、場所で土俵に上がると「ハワイ・オアフ島出身高砂部屋」というアナウンスが流れ、それだけで「遠くから来たんだなぁ」、「凄いな」と思ったことを記憶しています)。

照ノ富士関には、日本に留まって真っ向勝負で頑張って頂きましょう。

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プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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