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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年12月 4日 19:39

北方領土2島返還は「国のかたち」を大きく変化させるのでは?

11月14日、安倍首相がシンガポールでプーチン大統領と日露首脳会談を行い、1956年の日ソ共同宣言を基礎に北方領土の歯舞群島、色丹島の2島返還交渉に入ることが明らかになりました。

日本政府は従来、択捉島、国後島を含めた北方四島の一括返還を求めてきましたが、歯舞群島、色丹島の2島返還を優先するとなりますと大きな方針転換となります。

翌日、プーチン大統領は、翌日「2島を引き渡すと書かれているが、どちらの主権になるのか触れていない」と記者会見で述べ、安倍首相との温度差も指摘されていますが、日本では、12月に入っても、4島返還を求め続けるべきか(結果として現状維持)か2島返還か(事実上、択捉島、国後島の交渉を諦める)の議論が続いています。

「国家は領土、国民、主権から成立する」という基本原則から考えれば、私は領土問題同様、むしろ、それ以上に、国民(人口)が減少していること、少子化対策が効果が上がらないことのほうが国家を蝕んでいるように感じます。

それはさておき、今回の領土問題を考察すれば、是非2島を返還してロシア住民が島に残るとすれば、彼らの国籍はどうなるのだろうかと思うのです。

島民がロシア人でいたいとすれば在日ロシア人になりますが、日本人に「も」なりたいと言われたら、ロシアと日本の二重国籍を認めるのでしょうか。

北方領土返還が、二重国籍問題にも広がっていく可能性があるような気がします。

更に、北方領土返還の条件として米軍基地を置かないということになりそうなのですが、日米安保条約に特例を設けることができるのでしょうか。もしできるばらば、沖縄の人たちも黙っていないと思われます。

北方領土が認められ、沖縄が認められないというのは沖縄の人々の感情を大きく揺さぶるのではないでしょうか。

単に2島が返還されるのだけではなく、二重国籍、日米安保条約、基地問題にも広がっていくように見えるのです。どちらかと申しますと、付随するの変化のほうが「国のかたち」を大きく変えるのではないでしょうか。

「国のかたち」が分かることが、良いか悪いかを簡単には判断できませんが、変わるという覚悟をもって、北方領土返還問題を認識したほうが良いように思われます。

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プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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