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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年11月13日 15:10

なぜ、人は嘘をつくのか?: 映画『ソフィーの選択』の選択と嘘と友人の関係

重い映画ですが、深い映画でもあります。

映画『ソフィーの選択』(原題 Sophie's Choice)
制作国 米国
制作年 1982年
監督 アラン・J・パクラ
出演 メリル・ストリープ, ケヴィン・クライン, ピーター・マクニコル

あらすじ
【1947年、米国南部出身のスティンゴは作家を目指してニューヨークに出てきた。ピンク色の奇妙な安いアパートを借りることになり、上階で同棲しているポーランド出身のソフィーとハーバード大学卒の化学者ネイサンと親しくなった。アウシュビッツ収容所にいたというソフィーは才色兼備で数か国語を話し、ポーランドでは反ナチスで有名な大学教授の娘だったという。製薬会社ファイザー研究所でノーベル賞級の研究をしているというネイサンは、情緒不安定ながら、スティンゴの原稿を賞賛する理解者であった。ある日、些細なことで喧嘩した2人は別々に家出し、スティンゴはソフィーの行方を捜す。すると、ポーランド出身のある大学教授からソフィーの父親が反ナチスではなく、ナチスの崇拝者であったことを聞かされる。ネイサンに関しても、彼の実兄からスティンゴに連絡があり、ハーバード大卒であることも、化学者であることも嘘であり、彼が精神を病んでおり、麻薬中毒者であることを伝えられる。】

人生は選択の連続です。しかし、常に選択が正しかどうかは分かりません。将来、あの時、あんな選択をしなければと思うことも少なからず、あるでしょう。

「間違った」選択が自分を苦しめる場合、時に人は自分を守るために人に対して、自分に対して、嘘をつきます。

ソフィ―の場合はそんな嘘です。

ネイサンも嘘をつきます。彼の場合は自分の理想を語り、結果的に嘘になってしまいます。噓を誤魔化すためにソフィーを罵倒します。

2人は喧嘩しながら別れることができません。なぜならば、2人が嘘をついていることが2人の関係を「現実」の場で結び付けているからです。2人ともその構造に薄々気付いているのです。

スティンゴはネイサンに憧れ、ソフィ―を愛しながら、傍観者でしかあり得ません。

スティンゴは、2人と生活の場を共有していますが、あまりにもストレートなため、彼らの世界には入っていけないのです。しかし、2人の友人であり、理解者であるスティンゴがいなければ私たち観衆も、ネイサンとソフィーの嘘を受け入れることができないでしょう。

人は(ソフィー程ではないにせよ)、多かれ少なかれ、自己弁護の嘘をついてしまうものかもしれません。社会に理解されるか、されないかは、スティンゴのような友人の存在次第なのかもしれません。だからこそ、2人はスティンゴを必要としたように思えます。
プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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