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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年11月 6日

2018年11月 6日 23:59

松坂投手と契約できたソフトバンクだからこそ、「甲斐キャノン」が誕生したのでは?

11月3日、プロ野球日本シリーズ第6戦が行われ、2-0で広島に勝利したソフトバンクが通算4勝1敗1分で2年連続日本一となりました。

阪神ファンの私は「当事者」ではないため、極めて冷静にテレビ観戦することができました。

そんな私も日本中の野球ファン同様、(このシリーズでMVPを獲得することになる)ソフトバンクの甲斐拓也捕手が6回連続、盗塁を阻止したプレーには熱くなりました。

広島は、今シーズン、セリーグで断トツの95盗塁を数え、走るチームなのです。その広島を、「甲斐キャノン」と称される強肩で刺す姿は、「凄い」の一言でした。ソフトバンクは、攻撃だけではなく、守りの時間も「キャノン」で攻めているのですから、そりゃ強いです。

そんな甲斐選手が、2010年のドラフト会議にて育成6位の指名で3軍から這い上がってきたことが着目されています。

今回、完全に機動力を封じ込められた広島の松田オーナーは甲斐選手を念頭に「いかに才能を漏らしているか痛切に感じた。ドラフト指名されていない選手が埋もれていると認識しなければ。掘り起こしてチャンスを与えてあげるのもいい」と発言されています(日刊スポーツ, 11月5日)。

しかしながら、産経新聞の特別記者・植村徹也氏は甲斐選手の育成、台頭はソフトバンクが「玉石混交」を甘受できる資金力にあると主張しています(産経新聞、11月6日)。

「玉石混交」という表現はともかくも、植村氏は、ソフトバンクが1,2、3軍制を敷き、育成枠だけでも23人を抱え、3軍の指導体制は他球団の1軍並みであり、支配下登録選手を合わせると100人近い選手と契約できているからこそ、層が厚いというのです(同上)。

人は成功したことばかりに目が行きますが、総合的に考える必要があるでしょう。

今シーズン、ソフトバンクから松坂大輔投手が中日ドラゴンズに移籍し、11試合に登板して6勝4敗、防御率3.74で復活を果たしました。しかし、松坂投手は3年(2015年~17年)12億円の大型契約とされたソフトバンク時代は、1勝もできずに退団しているのです。

甲斐選手を見つけ、育てたソフトバンクを絶賛し、1勝もできなかった松坂投手と12億円契約をしたソフトバンクを批判するのは、フェアなのでしょうか。

私には松坂投手に12億円を払えるソフトバンクだからこそ、「甲斐キャノン」の甲斐選手も生み出せたと考えるほうが、しっくりくるのです。

日本シリーズ第1戦、中日の松坂投手がテレビ中継のゲスト解説をしていました。9回裏、甲斐選手が、盗塁を刺したシーンで松坂投手は「もちろん、知っていますけど、凄いですね」とコメントしていました。

凄いのはソフトバンクなのかもしれません。

でも、広島にはお金ではない方法で、第二の甲斐選手を見つけてほしいような気もします。阪神には...。
プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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