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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年11月 3日

2018年11月 3日 00:44

どうしたら、日本の大学生が勉強をするようになるのか?

1カ月ほど前に経団連の中西宏明会長が、定例記者会見(9月25日)にて「就活のあり方」に関連し、日本の大学生の勉強不足を指摘しました。

中西会長は以下のように述べています。

「現在の大学教育について、企業側も採用にあたり学業の成果を重視してこなかった点は大いに反省すべきである。学生がしっかり勉強し、企業がそうした学生をきちんと評価し、採用することが重要である」(「定例記者会見における中西会長発言要旨」日本経済団体連合会HP)。

「欧米のみならず、中国、シンガポール等のアジアのトップレベルの大学の学生の勉強量は日本の大学生の比ではない。日本の場合は、入学することに比べて、卒業することはさほど難しくない。企業の側もこの実態をそのまま受け止めてしまっている。こうしたことが私の問題意識の根本にある。学生がしっかり勉強するよう、大学には有意義な教育を実施してもらいたい」(同上)。

おっしゃっていることは、もっともなのですが、経団連会長から「もっと勉強しろ」という批判に対し、「企業の方だって大学生に対して早々から就職活動を強いている事だし、それほど大学での学業や学歴を重視していないご様子」などの反論もありました(Blogos, 9月28日; Mag2News, 10月2日)。実際、日本の企業は大学の成績をあまり考慮しないと、各大学の就職担当者が口癖のように言うものです。

確かに、欧米の大学生は日本の大学生よりも勉強します。それは何よりも企業が、大学の成績を重視するからです。

当ブログでも何度か指摘してきましたが、欧米の企業が、大学生を採用する際に4年間の成績(GPA)を求める傾向があります。

GPAとはGrade Point Averageの略であり、5段階評価で最上位のAを4.0とした成績の平均値です。

私が学んだ英国ではGPAを用いていませんが、以下のようにFirstやSecondという表現でGPA計算のようなことをします。

First(GPA3.68-4.00)
Upper Second(GPA3.33-3.67) 
Lower Second(GPA3.00-3.32)
Third(GPA2.50-2.99)
Ordinary Pass(GPA2.00-2.49)

First(GPA3.68-4.00)を獲得した場合、英国では多くの大学でFirst-class honours (首席卒、優等学位卒)と称されます。 

英国では、どこの大学を卒業したかと同じくらい(場合によってはそれ以上)、どの成績で卒業したかが問われます。それは就職の時にも、モノを言うのです。

具体的に説明しますと、A社はB大学のCさんに内定を出す際、卒業段階でLower Second(GPA3.0以上)の成績で卒業することを採用の条件とします。条件を満たさないと不採用になりますから、人生を賭けて猛勉強することになります(大学や人物によって条件は変化します)。

大学の教育の質が一様ではないと言われるかもしれません(それは日本だけではないでしょう)。しかしながら、とりあえず、(日本を代表する企業の連合会である)経団連の企業から内定にGPAの条件を付けてみたらどうでしょうか。

日本の大学生にとっては迷惑な話かもしれませんが、グローバル化の時代です。日本の大学生だけが勉強しない訳にはいかないのです。

内定に成績条件が付けば、本当に学生も変わるし、大学も変わると思います。

経団連さん、いかがでしょうか。
プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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