QuonNet(クオンネット) まなぶ・つながる・はじまる・くおん




グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年10月 9日 00:43

2018年モンゴル訪問記(15): モンゴル版「国家改造計画」?

神戸ユネスコ協会理事/日本経済大学ユネスコクラブ顧問として、9月2日~9月12日までモンゴルで国際交流とボランティア活動に従事してきました。学生8名、私を含めて神戸ユネスコ協会理事7名の合計15名の団体です。国籍別としては日本(6名)、ネパール(1名)、ベトナム(5名)、中国(2名)、モンゴル(1名)の5カ国に跨る多国籍チームでした。

【8日目】
9月9日、予定の最終日、神戸ユネスコ協会の理事5名と学生3名が先に帰国し、関西空港便がキャンセルされ同日に再予約できなかった7名がウランバートルに残りました。一応、この朝、現地解散となりましたので、ここで纏めさせていただきます。

モンゴルについて、出発前に一度、学生たちと勉強会をしましたが、それ以外は何もせず(基本知識のみで)やってきました。

世界銀行によれば、2017年においてモンゴルの1人当たりのGDPは、3,735米ドルであり、ベトナムの2,343ドル、パキスタンの1,548ドル、カンボジアの1,384ドルよりはるかに多く、インドネシアの3,847ドルと遜色がありません。

モンゴルのGDPを産業別にみると、モンゴルでは2000年を過ぎて鉱山開発(石炭、銅、金、ウラニウム、モリブデン、鉄鉱石)が進み、2010年代はGDPの15~25%が鉱物資源となっています(大和総研「がんばれ内陸国」2013年09月12日; National Statics Office)。言い換えれば、地方にある地下資源によって経済成長を遂げていることになります。

MONGOLIAN+MINING+SECTOR (1).jpg
モンゴル鉱業省の投資を呼びかける宣伝

しかしながら、ブログにも記しました通り、ウランバートルにおける貧富の格差は大きく見えます。世界銀行のジニ係数ランキングでは、世界125位、日本が122位ですから日本よりも良いという数字が出ているのですが、ウランバートルに関しては日本よりもはるかに格差があるように感じます。その理由は、おそらく、スラムのように見えるウランバートルの「ゲル」の集落群を観ればわかります。ブログにも書いたように、都市化の失敗なのです。

それ故に、モンゴル政府は、地方開発、地方での教育に力を入れています。地方の大自然の下に眠る大資源こそがモンゴルを支えているのですが、資源のお金が都市を富ませてしまい、地方から人を奪ってしまうのです(政府の努力も実を結んだのか、貧困率は下がっているというデータもあります)。

S__2220037.jpg
2日目に宿泊した大草原のゲルの先に送電線が建っていた

地方を豊かにするという発想は、日本では田中角栄氏の日本列島改造論がありましたが、(資源があるないはともかく)どこの国も発展段階において富の再分配と、「中心(都市)-周辺(地方)」と社会の「上層ー下層」において行わなくてはいけないのでしょう。

私たちの今回の旅は、ドントゴビ県の大草原の「ゲル」で泊まることから始まりました。そして病める都市ウランバートルのDVを受けた子供シェルターやユネスコスクールを訪れることで、私たちはモンゴルの現在を直視することができたように思えます。

都市化の問題は、モンゴルばかりではありません。世界中の大都市は、その国の格差化の象徴となっていることが多く、東京をはじめ日本の大都市も同じような構造はあると考えます。

グローバル化の中で大都市に富が集中し、同時に格差化していく現象に対して「民」の立場でどうすればいいのか、ボランティアとして何ができるのか、大きな宿題を出されたような気がします。

この記事へコメントする

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
月別アーカイブ
2018年11月
2018年10月
2018年9月
2018年8月
2018年7月
2018年6月
2018年5月
2018年4月
2018年3月
2018年2月
2018年1月
2017年12月
2017年11月
2017年10月
2017年9月
2017年8月
2017年7月
2017年6月
2017年5月
2017年4月
2017年3月
2017年2月
2017年1月
2016年12月
2016年11月
2016年10月
2016年9月
2016年8月
2016年7月
2016年6月
2016年5月
2016年4月
2016年3月
2016年2月
2016年1月
2015年12月
2015年11月
2015年10月
2015年9月
2015年8月
2015年7月
2015年6月
2015年5月
2015年4月
2015年3月
2015年2月
2015年1月
2014年12月
2014年11月
2014年10月
2014年9月
2014年8月
2014年7月
2014年6月
2014年5月
2014年4月
2014年3月
2014年2月
2014年1月
2013年12月
2013年11月
2013年10月
2013年9月
2013年8月
2013年7月
2013年6月
2013年5月
2013年4月
2013年3月
2013年2月
2013年1月
2012年12月
2012年11月
2012年10月
2012年9月
2012年8月
2012年7月
2012年6月
2012年5月
2012年4月
2012年3月
2012年2月
2012年1月
2011年12月
2011年11月
2011年10月
2011年9月
2011年8月
2011年7月
2011年6月
2011年5月
2011年4月
2011年3月
カテゴリーアーカイブ
アジア事情 (34)
カンボジア (27)
スイス (27)
スポーツと社会 (141)
ネパール (26)
国際事情(欧州を除く) (236)
大震災/原発事故と日本 (30)
御挨拶 (14)
日本政治 (128)
日本社会 (308)
映画で観る世界と社会 (349)
欧州事情 (100)
留学生日記 (95)
英国 (100)

ページトップへ

カレンダー
<< 2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
最新記事
誰もが大学に行くようになった時、社会は大学の学費をどうするればいいのか?
なぜ、人は嘘をつくのか?: 映画『ソフィーの選択』の選択と嘘と友人の関係
FA宣言に対するアレルギー反応は、日本学的文脈から考えるべきか?
英語を越えるグローバリゼーションが起こっている
多様であることを理解する重要性: 映画『パラダイス・ナウ』にみるパレスチナ側の論理の非単一化
最新コメント
武蔵は春田に言います...
Posted by S
はじめまして、書き込...
Posted by たか
あなたもまだお若い。...
Posted by 葵東
青春時代に見て感動し...
Posted by 小林 千三
私は韓国に住んでいま...
Posted by 七色無職
最新トラックバック
この社会での性的魅力
from 哲学はなぜ間違うのか
ひとつ/長渕剛(Cover)
from 今日の天草