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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年10月 4日

2018年10月 4日 21:03

2018年モンゴル訪問記(11): モンゴルのチベット仏教はイデオロギーを超える?

神戸ユネスコ協会理事/日本経済大学ユネスコクラブ顧問として、9月2日~9月12日までモンゴルで国際交流とボランティア活動に従事してきました。学生8名、私を含めて神戸ユネスコ協会理事7名の合計15名の団体です。国籍別としては日本(6名)、ネパール(1名)、ベトナム(5名)、中国(2名)、モンゴル(1名)の5カ国に跨る多国籍チームでした。

【6日目後半①】
9月7日の午後、私たちはガンダン・テクチェンリン寺(ガンダン寺)を訪れました。同寺は、1727年に、清の第5代皇帝雍正帝によって建設され、現在ではモンゴルにおける仏教の最高学府となっています。

Day5観光_181013_0010.jpg

モンゴルは仏教国なのですが、チベット仏教が主流なのです。チベット仏教が、モンゴルに伝わった時期は諸説あるようですが、13世紀のモンゴル帝国の(チベットも領域となる)成立と共に、モンゴルの全体にチベット仏教が浸透していったとされているようです。

入場料を支払い、お寺の敷地に入りますとかわいい童子ブッダが出迎えてくれました。

Day5観光_181013_0001.jpg

そして、本堂(観音堂)に入りますと、金色に輝く25メートルの観音菩薩像が聳え立っていました。私の学生が、写真と撮ろうとした瞬間、ガードマンを兼任しているお坊さんから「No!」と言われ、皆、驚いていると、「でも、お金を払えば撮ってもいい」と続けるのです(そういえば、英国ではカール・マルクスが眠るロンドン郊外の墓地に入って、墓石の写真を撮るのにお金を撮られることを思い出しました)。

学生も私たち理事(教員)も自費で、ボランティアと国際交流に来ているのに、お金を払って仏様の写真を撮るのは、(ボランティアではなくても同じように感じたでしょうが)なんとなく相応しくないように思え、スマホと財布を懐にしまいました。

ちょっと雰囲気が悪くなったところ、ネパール出身のD君が、「ネパールと同じです!」と観音堂内にあるマニ車を回すのに夢中になっていました(実際、ネパールの仏教もチベット系があります)。

マニ車は、文字通り、くるくる回る車なのですが、回転させた数だけ経を唱えるのと同じ徳があるそうです。学生たちは、「読むより楽です!」と体力で徳を得ようと頑張り始めました。

マニ車は観音堂の外にもあり、私たちは、随分、徳を積んだと思われます。

Day5観光_181013_0046.jpg

上記のような「世俗性?」はともかく、ガンダン寺はとても複雑な歴史があります。

1924年にソ連に続き、世界で2番目の社会主義国家としてモンゴル人民共和国が成立した後、同国の社会主義政権は仏教を弾圧します。ガンダン寺も壊されますが、1944年から社会主義政権の方針が変わり、徐々に復興され1990年にほぼ復元されます。しかし、その時に革命が起こり、同国は社会主義から民主主義=資本主義体制に転換していくことになります。

イデオロギーとイデオロギー内の変節に翻弄され、そして、イデオロギーを「超えて」存在するモンゴルのチベット仏教は、いずれにしましても、とても興味深い存在であります。



プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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