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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年9月28日 23:19

2018年モンゴル訪問記(6): 民間ユネスコ活動と資本主義化、遊牧民の豊さと都市化

神戸ユネスコ協会理事/日本経済大学ユネスコクラブ顧問として、9月2日~9月12日までモンゴルで国際交流とボランティア活動に従事してきました。学生8名、私を含めて神戸ユネスコ協会理事7名の合計15名の団体です。国籍別としては日本(6名)、ネパール(1名)、ベトナム(5名)、中国(2名)、モンゴル(1名)の5カ国に跨る多国籍チームでした。

【4日目】
9月5日の午前中、ウランバートル市内の国連ビル(UN House)に入っているモンゴル・ユネスコ国内委員会(Mongolian National Commission for UNESCO)を表敬訪問しました。モンゴルにおけるユネスコ政策や民間ユネスコ協会の活動について、そして前日に訪問したモンゴルの遊牧地の遊牧民における教育政策などを伺いました。

WeChat Image_20180927000337.png
Mongolian National Commission for UNESCO Facebookから

同委員会の事務局長スフバートル・ウヤンガ氏は、私たちの質問に対して丁寧にご説明下さりました。

個人的に一番興味がありましたのは、モンゴルにおける民間ユネスコ活動が、1989年以前の社会主義体制の頃、盛んであったが、89年革命以降の資本主義化の中で下火になっていったという話でした(社会主義時代の「民間」とは何なのでしょうか)。しかしながら、ウヤンガ氏は89年革命以降、多くの社会問題が噴出しており、政府ではカバーできず、民間の力が必要であるそうで、民間におけるユネスコ活動が再興すればと願われておりました。

そもそも、日本ユネスコ協会連盟及び(その構成団体の)神戸ユネスコ協会は、政府機関でも地方自治体の外郭団体でもなく民間組織であり、NGOです。ですから、モンゴルでも、民間のユネスコ協会があればそれがカウンターパートになるのですが、幾つか名前を見つけても連絡がつきませんでした。そこで、モンゴルユネスコ国内委員会に連絡を取り、ウヤンガ氏にお話を伺うことになったのです。

WeChat Image_20180927000736.jpg

それからモンゴル政府がいかに遊牧地域における教育を強化しているのかについても、ウヤンガ氏が解説して下さいました。私たち神戸ユネスコ協会は、カンボジアやネパールの貧困地域に対しまして援助活動を行ってきましたが、モンゴル政府は地方の教育にかなり力を入れており、この点において国際援助が必要であるとは思えませんでした。

遊牧地の開発支援に関しましては、私の学生のモンゴル人のエナさんでさえ「政府が地方で頑張っていることは事実ですね」と驚いていました。

ただ、話を纏めながら、考察すると、地方の発展に力を入れている理由は、都市化の失敗を顕しています。多くの遊牧民が、遊牧を辞めてウランバートルに来てしまい、ウランバートル郊外にゲルを作り住んでいるのです。そして、マイナス30度、40度となる冬になると一斉に薪を燃やすため、ウランバートルでは公害問題が深刻化しています。

このような公害問題、環境問題に対応するためにも、政府は地方の遊牧民の生活を豊かにし、ウランバートルに来させないようにしなければならないのです。

私は、前日、外国車を乗り、バイクを何台も持ち、ゲルの屋根に太陽光パネルを置いて電気をゲルに通している遊牧民を観ながら、その近代化された「豊かさ」に驚いていたのですが、モンゴル・ユネスコ国内委員会のお話を伺いながら、「豊かさ」の謎が解けてきたように感じました。

午後は、ボランティア活動としては今回のメインイベントであるDVを受けた子供たちのシェルタ―に行く予定でしたが、天候が悪くなり、そのシェルタ―が坂の上にあり、雨の中では車で登るのは危険を伴うということで、急遽、1日延期することになりました。

雨の中、代りに行った大手デパートでショッピングをしながら、モンゴルでは本当に天候にスケジュールが左右されることを実感しました。



プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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