QuonNet(クオンネット) まなぶ・つながる・はじまる・くおん




グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年9月25日 00:00

2018年モンゴル訪問記(4): ラクダは食べものなのか?

神戸ユネスコ協会理事/日本経済大学ユネスコクラブ顧問として、9月2日~9月12日までモンゴルで国際交流とボランティア活動に従事してきました。学生8名、私を含めて神戸ユネスコ協会理事7名の合計15名の団体です。国籍別としては日本(6名)、ネパール(1名)、ベトナム(5名)、中国(2名)、モンゴル(1名)の5カ国に跨る多国籍チームでした。

【3日目前半】
9月4日、モンゴル・ドントゴビ県フルド村の大自然(遊牧地)のゲルで迎えてた朝は、肌感覚では氷点下近くでした。ゲルは簡素な作りにもかかわらず、内部は温かいのですが、ゲルの外に出た時に寒さを感じました。

朝日.jpg
地平線からの朝日(馬たちも食事中)

昨日から肉が続いていたため、ベトナム人の学生たちが日本から持ってきたラーメンで、ベトナム風ラーメンを作ってくれることになりました。モンゴルの大草原でベトナムラーメンを食するのは、なかなかシュールな経験でした。遊牧民の子供たちが興味津々で覗いていましたが、そんな時に、隣のラクダを飼っている遊牧民の家からバイクで青年が訪ねてきました。

ベトナムラーメン.jpg
ベトナム風ラーメン?
地面からゴビ砂漠が近いことが分かる

実のところ、遊牧民の生活はかなり変化しています。昨日の「馬の刻印祭り」では、かなり広範囲から遊牧民たちが参加してきたのですが、皆、日本車を含めて外国車で集まってきていたのです。近距離からはバイクも使い、今日の遊牧民生活はかなり近代化しています。

確かに馬や牛だけで移動するよりは、機械は早くて便利なのでしょう。しかし、WiFiもないところで、トヨタ・プリウスを何台も見ますと場面を頭で整理するのに時間を要します。

食後に、私たちは、その(私たちのゲルの)お隣さんのラクダを飼っている一家のゲルに遊びに行くことになりました。

車で10分ぐらい行くと、別のゲルが見えてきました。そのゲルの周りにはふたこぶラクダが数十頭いたのですが、全て子供ということでした。親たちが別のところにいるそうです。

Image_77efa2b.jpg

私は、この時、ラクダ農家(遊牧しているので農家というべきではないでしょうが)という職業を初めてみたのですが、ゲルの屋根にソーラーパネルを設置しており、太陽光で発電していたことに驚きました。バイクも自動車も、太陽光も用いながらラクダを飼う遊牧民というのは、こちらに来る前のイメージにはありませんでした。

Image_196127c.jpg
ゲルの隣に電気を通している移動式コンテナがある

しかしながら、伝統も生き続けているようでした。

私たちは、ラクダ一家の家長に大歓迎を受けたのですが、大きなゲルに通されると、主客を問わずに男性が先に奥に座り、女性が末席に並びます。また、昨日同様、馬乳酒を振舞われ、男性から順番に飲んでいきます。

男性中心主義とも言えなくはいないのですが、不思議に男尊女卑の感覚はないのです。女性が縮こまっている訳ではなく、逆に食事の時などは場を仕切っているようにも見えます。男性たちも、女性たちに対して決して高圧的ではなく、よく見ますと指示に従って動いているのです。

私は専門家ではないため、このような男女関係が、この地域の特有で「例外」なのか、それともモンゴルの遊牧民の「伝統」なのか、もしくは、近代化の影響をうけているのか判断ができませんが、興味深く拝見していました。

歓迎の馬乳酒の後、ゲルの御主人からラクダ肉を食べるかと聞かれたのですが、私たちは「とても残念なのですが、既に朝食は済ましております」と丁寧に(即答して)お断りしました。

その後、外で何十頭のラクダに囲まれながら時を過ごしました。ラクダと言えば砂漠の「馬車」のような印象を抱いていましたが、ここでは「食」の対象でもあることを思い知りました。




この記事へコメントする

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
月別アーカイブ
2018年12月
2018年11月
2018年10月
2018年9月
2018年8月
2018年7月
2018年6月
2018年5月
2018年4月
2018年3月
2018年2月
2018年1月
2017年12月
2017年11月
2017年10月
2017年9月
2017年8月
2017年7月
2017年6月
2017年5月
2017年4月
2017年3月
2017年2月
2017年1月
2016年12月
2016年11月
2016年10月
2016年9月
2016年8月
2016年7月
2016年6月
2016年5月
2016年4月
2016年3月
2016年2月
2016年1月
2015年12月
2015年11月
2015年10月
2015年9月
2015年8月
2015年7月
2015年6月
2015年5月
2015年4月
2015年3月
2015年2月
2015年1月
2014年12月
2014年11月
2014年10月
2014年9月
2014年8月
2014年7月
2014年6月
2014年5月
2014年4月
2014年3月
2014年2月
2014年1月
2013年12月
2013年11月
2013年10月
2013年9月
2013年8月
2013年7月
2013年6月
2013年5月
2013年4月
2013年3月
2013年2月
2013年1月
2012年12月
2012年11月
2012年10月
2012年9月
2012年8月
2012年7月
2012年6月
2012年5月
2012年4月
2012年3月
2012年2月
2012年1月
2011年12月
2011年11月
2011年10月
2011年9月
2011年8月
2011年7月
2011年6月
2011年5月
2011年4月
2011年3月
カテゴリーアーカイブ
アジア事情 (34)
カンボジア (27)
スイス (27)
スポーツと社会 (142)
ネパール (26)
国際事情(欧州を除く) (237)
大震災/原発事故と日本 (30)
御挨拶 (15)
日本政治 (129)
日本社会 (310)
映画で観る世界と社会 (353)
欧州事情 (100)
留学生日記 (95)
英国 (100)

ページトップへ

カレンダー
<< 2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
最新記事
交わらない2つの社会(世界):映画『海は燃えている』が描き出す人々のエゴと欲
私たちは、なぜ、グローバル企業の経営者の報酬を「巨額」と感じるようになったのか?
もう一度、落合博満監督の現場主義に基づく野球を観てみたい
誰がハーヴィー・ミルクを殺したのか?: 映画『ミルク』が描く1970年代の米国社会
北方領土2島返還は「国のかたち」を大きく変化させるのでは?
最新コメント
武蔵は春田に言います...
Posted by S
はじめまして、書き込...
Posted by たか
あなたもまだお若い。...
Posted by 葵東
青春時代に見て感動し...
Posted by 小林 千三
私は韓国に住んでいま...
Posted by 七色無職
最新トラックバック
この社会での性的魅力
from 哲学はなぜ間違うのか
ひとつ/長渕剛(Cover)
from 今日の天草