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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年9月21日 23:12

オマージュがオリジナルの良さを確認させる: 映画『みんな元気』の日米比較

日本と米国の「理想の家族像」の違いを感じる映画です。

映画『みんな元気』(原題: Everybody's Fine)
制作国 米国
制作年 2009年
監督 カーク・ジョーンズ
出演 ロバート・デ・ニーロ

あらすじ
【電線を作る仕事を続けながら4人の子供を育てた老人フランクは、妻に先立たれ、病気を患いながら1人で暮らしている。毎年、子供たちはフランクの元に集まるが、今年は誰も来なかった。それで、フランクは全米各地に住んでいる4人の子供たちに会う旅に出る。まず、ニューヨークに住む画家のデイヴィッドを訪れるが、不在であり(実はメキシコに行っていた)会うことができなかった。次に、広告代理店に勤務するエイミーに会いに行く。エイミーは夫と不仲になっており、更にデイヴィットがメキシコで事件に巻き込まれたことで、メキシコに行かなくてならず、フランクをもてなすことができない。更にデンバーで「指揮者」をしているロバートに会いに出かけるが、ロバートは実際は、指揮者ではなく、一演奏者でしかなかった。更に、ラスベガスでダンサーのロージーに会うが、ロージーも未婚の母になっており、フランクは失意の中、帰路に着くが飛行機で倒れてしまう。結局、メキシコで失くなっていたデイヴィッド以外の家族が集まり、クリスマスを迎える。】

小津安二郎監督の『東京物語』(1953年)へのオマージュです。

細部は異なりますが、期待していた子供たちに親が会いにいきながら、子供たちは親の期待に応えられないため、また多忙のため、(会いたくても)会えないのです。

ただ、最も大きく違うのは、『東京物語』で(原節子さんが演じた)戦死した次男の嫁「紀子」の役がいないのです。

『東京物語』では、子供たちの表面的な冷たさが、紀子の優しさによって救われていきます。実の子供たちよりも義理の娘のほうが「親思い」であるところに、『東京物語』が時代と空間を越えて、半世紀以上も日本、そして世界で評価され続けている大きな理由なのではないでしょうか。

一方、映画『みんな元気』では、「紀子役」を出さないことによって、実の子供たちが親孝行になっていくストーリーとなっています。

日米では家族の理想形が違います。「義理」の親子問題をテーマにした映画は日本以上に多いでしょう。だからこそ、なのでしょうか。本作品において、実の子供たちは、父親の元に(一時的ではあっても)戻っていくのです。

ロバート・デ・ニーロが主人公フランクを演じており、「見せる」映画です。でもやはり、『東京物語』の良さを再確認してしまいました。
プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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