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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年7月 5日 09:45

母になること、母を認識すること: 映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』の時間と成長

主題は、母性と時間(成長)です。

『さよならの朝に約束の花をかざろう』(英題 MAQUIA: When the Promised Flower Blooms)
制作国 日本
制作年 2018年
監督 岡田麿里

あらすじ
【「ヒビオル」とよばれる布を織って暮らす一族「イオルフ」は、成長が十代で止まり、若い姿の状態で何百年生きる。彼らは人里離れた地域にひっそりと暮らしていたが、国王メザーテは長寿の血を王家に引き入れたいと考え、「イオルフ」を襲撃し、イオルフの少女レイリアはメザーテ軍に捕らえられてしまう。レイリアの親友である少女マキアは何とか逃れたが、故郷を遠く離れて彷徨うことになる。途中、マキアはある村で盗賊に襲われ、殺された母親に抱かれて泣く、男の子の赤ちゃんを見つける。マキアは運命を感じ、その子をエリアルと名付け、「母親」になることを決意する。近くの集落で、農場を経営する女主人ミドの世話になりながら、マキアの新しい生活が始まる。長寿のマキアは少女の姿ながら、エリアルはすくすくと育っていくが、ある時、マキアは、捕らえられていた親友レイリアがメザーテ王国の王子に嫁ぐことを知る。】

長寿の一族「イオルフ」の生涯が数百年単位であり、通常の人間の十代が長期に続きます。

主人公マキアは、メザーテ軍の襲撃という外的な要因によって、エリアルと出会い「母」になってしまいます。

子供が「母」になり、子供エリアルは見た目において母を越えていくのです。エリアルは、少女の「母」を「母」と認められなくなり、葛藤します。

そして、ネタバレですが、彼女と決別し、普通の時間を歩もうとします。普通の女性と普通の時間を過ごすのです。そのことによって、大人になったエリアルは(一緒にいる時は分からなかった)「母」としてのマキアを再確認していきます。

それではなぜエリアルはマキアと一緒にいる時には分からなくなってしまったのでしょうか。一つの原因は、社会(世間)が彼らを親子として認めなかったこともあるでしょう。2人はマキアが逃亡の身でもあり、住居を転々としていたのですが、エリアルが青年になると「カップル」のように見なされていくのです。

何も知らない他人は見た目で判断することがあります。2人は親子であっても、エリアルが社会的に成長していくと、その目に影響を受けるようになっていくのです。

自分の家庭を築き、完全に大人になったエリアルはまた「個」に帰っていきます。

自己中心的な「母」であったマキアもまた、時を経て、(見た目は変化なくても)社会を受け入れ成長していくのです。
プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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