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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年7月 4日

2018年7月 4日 23:56

ベスト16だからこそ、客観的分析と批判を受け入れる「強さ」が求められる

周知の通り、日本代表のワールドカップ・ロシア大会はベルギーに2-3で敗れ、終焉しました。

私は、試合中、欧州から日本への長距離のフライトに乗っており、機内の弱いWiFiでこまめに速報を更新しながら試合を「観戦」していました。

同じようなことをしていた他の乗客が、「でも、頑張った、頑張った」と自分を慰めるように独り言を発していました。

確かに、通算成績1勝2敗1分けの今大会、強豪(FIFAランク上位)との闘いを楽しませて頂きました。

帰国すると、日本のマスコミも、日本凄い!良くやった!という労いの言葉に満ちていました。

しかしながら、(おそらく)唯一、評論家のセルジオ越後氏だけが「(1次リーグ第1戦のコロンビア戦で)10人の相手に1勝して、あと2敗1分けのチームが強いって根拠はどこにあるんですかね」(サンスポ, 2018年7月4日)、「負けは負け。負けたときに厳しくやらないと」(スポニチ、2018年7月3日)、「強い国は負けたら慰めはない、日本は負けても慰めるから、やっぱり強くないということです」(スポーツ報知, 2018年7月3日)と辛口批評を展開しています。

全くおっしゃる通りです。もちろん、下馬評では、全敗とも予想されていたFIFAランク61位の日本代表でしたので、決勝トーナメントに進出してベスト16に名乗りあげただけで評価されるべきではあります。

それでも、肯定的評価を前提に、次のW杯により上位を目指すためにも、ベルギー戦とポーランド戦の敗因を的確に分析する必要があるように感じます。評論家の方は、時には厳しいことも指摘しなければならないかもしれませんが、耳障りの良いことばかりを言って結果として弱体化するよりは正しい選択なのではないでしょうか。

特に「強い国は負けたら慰めはない」というのは本当でしょう。

かつて、戦後の高度成長期に日本人は日本を批判する言説を好みました。欧米に比較して日本社会が遅れているという論調は、確かに(後に自虐史観と言われるのですが)問題も孕んでいました。しかし、日本の近代史において「Japan as Number One」と称された高度成長期からバブル経済崩壊までの間が、日本が経済的にもっとも強かったのも事実です。

何でもかんでも否定する必要はありません。でも、ベスト16に勝ち上がったからこそ、負けた理由を分析し、厳しく指摘し、受け入れる「強さ」があるべきなのかもしれません。

それはサッカーだけではないようにも思えてきます。
プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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