QuonNet(クオンネット) まなぶ・つながる・はじまる・くおん




グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年7月 2日

2018年7月 2日 02:24

宇都宮の人々はなぜ水餃子を食べるのか?

久しぶりに故郷の栃木県宇都宮市に戻り、いつもの通り餃子を食べました。宇都宮は餃子で有名なところです。

総務省の調査によれば、2017年の餃子に対する年間支出額(2人以上の世帯)において宇都宮市は4258円で全国1位に輝いています(Jタウンネット, 2018年2月3日)。

実のところ、2014年から3年間は浜松市が1位で宇都宮は2位でしたので、宇都宮としては面目躍如といったところです(総務省「家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング」)。

それでは、なぜ、宇都宮が餃子の街になったのでしょうか。宇都宮市の説明では、戦時中、市内に駐屯していた大日本帝国陸軍第14師団が中国(満州)に出兵したことがきっかけになっています。満州で餃子を覚えた帰還兵が終戦後、宇都宮に餃子を「持ち帰った」とされているのです(「餃子のまち」宇都宮市公式Webサイト)。

私の祖父母も満州からの「引き揚げ者」であり、上記の説は正しいと考えます。ただし、味と作り方を持ち帰ったのは帰還兵ではなく、その家族と言った方が的確かもしれません。

これは私見ですが、宇都宮人が中国東北地方の餃子を「伝承」している証拠として水餃子が挙げられるように思います。

日本全国では餃子と言えば焼餃子であり、宇都宮餃子でも焼餃子が有名ではありますが、宇都宮人は水餃子も普通に食べます。

私自身、子供の頃から水餃子に親しんできたのですが、不思議なことに宇都宮以外では水餃子は流行っていません。

なぜだろうと思っていたのですが、中国・東北地方黒竜江省出身の留学生と餃子談義になった際、「先生、なぜ日本人は水餃子を食べないでしょか。私の故郷では水餃子こそが餃子なのです」と言われて、私の長年の疑問と同じであったことで「はっ」としたのです。

戦時中、満州に滞在していた宇都宮人は、水餃子と焼餃子を戦後、宇都宮に持ち帰ったのですが、何らかの理由で焼餃子だけが日本各地に伝わって行ったのではないでしょうか。

日本と中国は不幸な歴史があり、今も両国民が全体として親しいとは言えないかもしれません。しかしながら、美味しいものは美味しいのです。そして、美味しいものは国境を越えて広がっていきます。どこの食べ物とかレッテルも貼られずに。美味しいだけで、拡散するには十分なのです。

もしかしましたら、現在の中国東北地方の餃子と宇都宮の餃子(水餃子、焼餃子)は同じではないかもしれません。いつか、中国の東北地方を訪れることがあれば、宇都宮出身者として思いっきり調査してみたいと思います。
プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
月別アーカイブ
2018年11月
2018年10月
2018年9月
2018年8月
2018年7月
2018年6月
2018年5月
2018年4月
2018年3月
2018年2月
2018年1月
2017年12月
2017年11月
2017年10月
2017年9月
2017年8月
2017年7月
2017年6月
2017年5月
2017年4月
2017年3月
2017年2月
2017年1月
2016年12月
2016年11月
2016年10月
2016年9月
2016年8月
2016年7月
2016年6月
2016年5月
2016年4月
2016年3月
2016年2月
2016年1月
2015年12月
2015年11月
2015年10月
2015年9月
2015年8月
2015年7月
2015年6月
2015年5月
2015年4月
2015年3月
2015年2月
2015年1月
2014年12月
2014年11月
2014年10月
2014年9月
2014年8月
2014年7月
2014年6月
2014年5月
2014年4月
2014年3月
2014年2月
2014年1月
2013年12月
2013年11月
2013年10月
2013年9月
2013年8月
2013年7月
2013年6月
2013年5月
2013年4月
2013年3月
2013年2月
2013年1月
2012年12月
2012年11月
2012年10月
2012年9月
2012年8月
2012年7月
2012年6月
2012年5月
2012年4月
2012年3月
2012年2月
2012年1月
2011年12月
2011年11月
2011年10月
2011年9月
2011年8月
2011年7月
2011年6月
2011年5月
2011年4月
2011年3月
カテゴリーアーカイブ
アジア事情 (34)
カンボジア (27)
スイス (27)
スポーツと社会 (141)
ネパール (26)
国際事情(欧州を除く) (236)
大震災/原発事故と日本 (30)
御挨拶 (14)
日本政治 (128)
日本社会 (308)
映画で観る世界と社会 (349)
欧州事情 (100)
留学生日記 (95)
英国 (100)

ページトップへ

カレンダー
<< 2018年08月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
最新記事
誰もが大学に行くようになった時、社会は大学の学費をどうするればいいのか?
なぜ、人は嘘をつくのか?: 映画『ソフィーの選択』の選択と嘘と友人の関係
FA宣言に対するアレルギー反応は、日本学的文脈から考えるべきか?
英語を越えるグローバリゼーションが起こっている
多様であることを理解する重要性: 映画『パラダイス・ナウ』にみるパレスチナ側の論理の非単一化
最新コメント
A fascinating discus...
Posted by America’S Leading Corporate Advisory Firm
A fascinating discus...
Posted by America’S Leading Corporate Advisory Firm
A fascinating discus...
Posted by America’S Leading Corporate Advisory Firm
A fascinating discus...
Posted by America’S Leading Corporate Advisory Firm
I've been surfing on...
Posted by The Twilight Zone The Complete Series Boxset dvd release date
最新トラックバック
この社会での性的魅力
from 哲学はなぜ間違うのか
ひとつ/長渕剛(Cover)
from 今日の天草