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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年6月13日 19:55

ドラマ『おっさんずラブ』が描く「誰もが」の可能性

ドラマ『おっさんずラブ』が6月2日の放送で最終回を迎えました。

このドラマの面白さについては、当ブログ2018年5月19日付で既に言及しましたが、放送終了後も、その人気はすさまじいものがあります。

第6話と最終話となった第7話の放送直後には、2週連続でTwitter世界トレンドランキング1位を獲得します(Real Sound, 6月4日)。

最終回放送後、『おっさんずラブ』のBlu-ray/DVDが10月5日に発売されることが発表されると、同商品の予約受付を開始した「テレアサショップonline」がアクセス集中により、一時的にサイトが繋がり難くなってしまい(ニコニコニュース, 6月5日)、無料動画配信サービス「テレ朝キャッチアップ」での見逃し配信の再生回数は、121万2000回を突破し、同局の史上最高記録となっています(毎日新聞, 2018年6月11日)。

ネタバレですが、最終回は、不動産会社の営業をする主人公の33歳の男性・春田は、上司の55歳の部長・黒澤は男性と25歳の後輩の牧・男性の間で揺れ動きながら、牧のところに戻っていきます。

予想通りであるところもありますが、最終回から考えると、春田と牧のカップルを「普通」に見せるために吉田鋼太郎さんが演じた黒澤部長はトリックスターとしてコミカルに存在する必要があったことが分かります。逆に言えば、このドラマの「リアリティ」は黒澤部長にかかっていたことになるのでしょう。

その成功は、登場人物の黒澤部長の名前で投稿されているInstagramアカウント「武蔵の部屋」のフォロワーは50万人を越えていることからも分かります(Real Sound, 6月4日)。

それでは、妻帯者で既婚歴何十年の55歳の男性が、ある日、部下の男性を好きになることはあるのでしょうか。そして、女性が恋愛対象のその部下が、男性を恋するようになるのでしょうか。

おそらく、それを面白おかしく、しかし、「あり」にできるかどうかがドラマのポイントだったかもしれません。

ところで、ある日突然、恋愛対象の性が変わることが、本当にあるのでしょうか。

2015年4月の「電通ダイバーシティ・ラボ」による調査では(全国69,989名を対象)同性愛者を含むLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の割合は、7.6%とされています(dentsu「電通ダイバーシティ・ラボが『LGBT調査2015』を実施」, 2015年4月23日)。

7.6%は生まれつきLGBTであった方々と捉えるべきなのでしょうか。そういう方もおられるかもしれませんが、ある環境や条件によって、異性愛者でも誰もがそうなる可能性を100%は否定ができないのかもしれません。

誰もがと考えると、ドラマ『おっさんずラブ』はコメディとは言えなくなっていきます。

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プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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