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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年5月21日 23:28

マージナル化を恐れるな: 映画『ヒックとドラゴン』におけるバイキングとドラゴンとの友情

アニメ界も、「他者」との友情が大きなテーマのひとつです。

『ヒックとドラゴン』(原題 How to Train Your Dragon)
制作国 米国
制作年 2010年
監督 ディーン・デュボア, クリス・サンダース

あらすじ
【北の海に浮かぶバーク島に住むバイキング族は、長きに渡りドラゴンと闘ってきた。島のリーダーである「ストイック」の息子少年「ヒック」は、軟弱で子供たちにも馬鹿にされる存在であった。バイキング社会では、ドラゴンを倒さない限り、立派なバイキングとして認められないが失敗ばかり。しかし、手先が器用な「ヒック」は、鍛冶屋で武器(長距離投網)を作る。そして、ドラゴンが襲来して来たある日、その長距離投網で仕留めることに成功する。次の日、ドラゴンが墜落した辺りを調べると尾びれを失い傷付いたドラゴンがいた。「ヒック」は、ドラゴンを殺そうとするが殺せない、逆に、ドラゴンに食料をあげるようになり、そのドラゴンも「ヒック」に心を開くようになっていく。しかしながら、家に帰れば、ドラゴンを敵視する友人・家族に囲まれ、ヒックは苦しみながら、ドラゴンとの友情を育んでいく。】

バイキングの少年と空飛ぶドラゴン(ナイト・フューリー)との友情物語です。

2010年の作品ですから、前回紹介しました「半魚人」との恋愛映画『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017年)の7年前であり、宇宙人との友情を描いた『第9地区』(2009年)と、異星人との恋愛に焦点を当てた『アバター』の1年後になります。

ドリームワークスが製作した子供向けの3Dアニメ映画ですので、上記の作品とはターゲット層がバッティングしませんが、「他者」との交流というテーマは共通しています。

そして、「トゥース」と名付けられたドラゴンと友達になった「ヒック」は、バイキング社会とドラゴンの間に入り、マージナル化してしまうのです。孤独の中で、友達を守ろうとすればするほど、「ヒック」は苦しんでいきます。

【「マージナルマン」とは、二つ(以上)の社会集団に属し、一つのアイデンティティに固定されていない人間のことを指した米国の社会学者ロバート・パークが提唱した概念です。】

ネタバレですが、最終的に「ヒック」は、友達になったドラゴンの「トゥース」を裏切ることなく、「トゥース」と協力してバイキングの仲間たちも救うことに成功します。

出来過ぎたストーリーではありますが、子供にはマージナル化することを恐れるな、勇気をもって1人でも自分の信念を貫けというメッセージになります。

現実には、それは非常に難しいのですが、映画の世界ぐらいこうなって欲しいと思います。
プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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