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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年5月19日 11:23

人を好きになることにストレート/非ストレートは無関係?: ドラマ『おっさんずラブ』が問う恋愛観

私が教えている大学の女子職員Sさんから「先生、『おっさんずラブ』ってドラマ面白いですよ。見てください」と言われ、フォローすることになりました。

ストーリーを簡単に申し上げれば、3人の男性(おつさん)が三角関係となった「オフィスラブ」なんですが、不動産の営業をする主人公の33歳の男性・春田は、「ストレート」であり、恋愛対象は女性なのです。しかしながら、春田に恋をする上司の55歳の部長・黒澤は男性、同じく春田に恋をする25歳の後輩・牧は男性なのです。

ドラマは、「ストレート」の春田が、上司と部下に言い寄られ戸惑いながらも「友情」とも「愛情」とも言えるような(言えないような)気持を抱いていく姿をコミカルに描いていきます。

4月21日から始まったドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系、毎週土曜日23時15分から0時5分)は、まだ4回しか放送されていませんが、既に注目されています。

4月期放送の各ドラマの初回満足度調査「ドラマバリュー」では、この『おっさんずラブ』が1位を飾り(Oricon News, 5月6日)、登場人物の黒澤部長の名前で投稿されているInstagramアカウント「武蔵の部屋」のフォロワーは35万人を越えています(NewsWalker, 5月17日)。

どうして、この「おっさん」の三角関係がこんなに受けているのでしょうか。同ドラマのプロデューサーを務める貴島彩理さんが(自らの体験から)問いたかったのは、現在の結婚観だったと言われます(日刊スポーツ, 5月18日)。

青島さんは、学生時代、料理、洗濯、掃除、何でもしてくれる親しい同性の友人がおり、なぜ彼女と結婚できないのかと考えたことがドラマの原案に繋がっているというのです(同上)。

何でもできる男性という役柄はドラマでは25歳の後輩・牧になるのですが、しかしながら、ドラマの現段階では報われていません。恋愛対象を同性にまで広げても、パートナーも自分も働いている限り「ワークライフバランス」が問われていくのかもしれません(もちろん、同性愛カップルでどちらかが主夫、主婦をされても問題はありませんが、少数派にはなるでしょう)。

働き方や日常性は別として、当ブログでは何回か言及してきましたが、日本の若者はそもそも恋愛をしない傾向にあります。

2015年の『第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)』によりますと、「交際相手のいない未婚者(18~34歳)」において、男性の69.8%、女性の59.1%に恋人がいないのです。ただ、交際相手がいないだけではありません。未婚で恋人がいない20代の男女4割(男性、39.7%)(女性、41.1%)が「恋人が欲しくない」とされているのです(2015年版『少子化社会対策白書』)。

どの世代がこのドラマを見ているかは気になりますが、若者が人を好きになるということを、このドラマから、おっさん同士の関係性の中で(おっさん同士であるからこそ)、笑いながら学ぶことができるのかもしれません。

しかしながら、この先の展開は非常に難しいような気もします。どう纏めていくのでしょうか。楽しみにします。

この記事へのコメント

1. Posted by S 2018年5月23日 22:26

武蔵は春田に言います、あの時お前が俺をシンデレラにした、と。武蔵の恋の始まりです。私は今まで生きてきて、こんなこと思った事ないですし、そもそも靴を履かせてくれるようなジェントルマンに会ったことないです。想う側、想われる側の心根の次元が違うような。。。私もこれからの展開、楽しみにしています。

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プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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