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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年5月18日 23:59

「終らない終わり」を求めて: イチロー選手の「引退」から学ぶ

周知の通り、米国大リーグ、シアトル・マリナーズのイチロー選手が2017年5月4日の試合後、同球団の会長付特別補佐に就任しました。

今シーズンの残りの試合には出場しないとしながら、引退ではなく、練習も続けるし、来シーズン以降の「現役復帰」の可能性もあるそうです(日刊スポーツ, 5月5日)。

イチロー選手も記者会見で「引退ではないのか」と問われ

 「えっ、今、言いませんでした? あらためて決意表明するのもねぇ、おかしな感じだけど。ゲームに出られないので、これが来年の春に僕が240ポンド(体重=約108キロ)になってたら、もう終わりですよ、それは。ただ、その可能性は低いと思うので。そうでなければ、終わりでないと思います」

と明言し、今後も「野球の研究者でいたい」と語っています(同上)。

会長付特別補佐としてイチロー選手は、今回、生涯契約を交わしており、今後も半永久的にマリナーズの一員として過ごすことになるようです。

日米の垣根を越えて誰もが認めるスーパースターであるイチロー選手ですが、「終わり方」も規格外の未来志向でした(山口博「イチローの幕引きに学ぶ、マリナーズの見事な人事手腕」Diamond online, 5月15日)。

ならば、サッカー選手のように、ちょっと日本のプロ野球球団(特に阪神タイガース)にレンタルさせて欲しいと思わずにはいられません。今シーズンだけでもいいのです。イチロー選手にとっても打席に立てないメジャーのベンチよりも、生きた球に接することができる日本球界のほうが、来シーズン以降の「現役復帰」のためにもプラスになるのではないでしょうか。

夢物語はさておき、イチロー選手の「引退」は素晴らしい形です。「終わらない終わり」というのは本当に理想です。実質上の引退なのに未来があるのです。

これは、果たしてイチロー選手だけしかできないことでしょうか。

もちろん、誰もが大リーグのチームと生涯契約を結べる訳ではないでしょう。しかしながら、私たちは皆いつか仕事を辞めます。引退するのです。その時、長年続けてきた何かを自分の道として続け、自らの「研究者」でいることはできないでしょうか。

仕事での経験を未来に活かせることができれば、「終わりなき終わり」に繋がるように思えます。

具体的には、リアルに仕事上の経験を学問の対象にしたり、ボランティアとして活用したり、個人事業主になったり、それは個々の経験次第です。大リーグの会長付特別補佐ではなくても、それぞれが何らかの形で「現役」を継続する道を模索することは不可能ではないように感じます。

リトル・イチロー(選手)を目指したいものです。

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プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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