QuonNet(クオンネット) まなぶ・つながる・はじまる・くおん




グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年4月27日 23:59

金委員長のパフォーマンスを「カリスマ性」として認識すべきなのか?

北朝鮮の金正恩・労働党委員長と韓国の文在寅・大統領が、南北軍事境界線がある板門店の韓国側で会談をしました。3回目の南北首脳会談ですが、過去2回は平壌で開催されており、北朝鮮の最高実力者が南側を訪問したのは初めてです。

世界中から注目された会談は、金委員長のパフォーマンスに南側(西側)が「釘付け」にされたと言っても過言ではないでしょう。韓国の文大統領の存在を、「脇役」にしてしまったように見えました(文大統領は「食われてしまった」感が歪めません)。

会談の政治経済的な分析、歴史的な位置付けは別として、今回は何よりも金委員長がどのような態度で会談に臨むのか、委員長の振る舞いはどうなのかが注目されていました。

そして、今まで独裁者としてメディアに映し出されてきた金委員長は、ジョークも冴えており、カメラ目線も自然だったのです。

韓国の人々も概して好意的に捉え「率直で面白く、話ができる」という印象であったと報じられています(産経ニュース、4月27日)。

考えてみれば、金委員長はスイスでの留学経験があり、ドイツ語、英語などに通じているとされており、西側のメディア操作が上手かったとしても納得できなくはありません。

独裁者には、力だけではなれません。歴史の中の独裁者たちは、初期において、ある種のカリスマがあり、人々を惹きつける魅力があり、国民的な人気があるナショナリストであることが普通です。

戦間期のドイツにおいて選挙で勝ち上がったヒトラーを持ち出すまでもなく、まず国民が魅了されるのです。

かつて私は当ブログ(2011年9月7日、2016年5月 7日)において「独裁者の法則」を記しました。人気者であった愛国者が、経済政策の失敗等によって自分への国民的支持が維持できなくなると、子飼いの秘密警察を用いて独裁者になっていくのです。

そうやって完成する独裁国家において、実は、最高権力の世襲は易しくないのです。二代目、三代目への継承が難しいのは、独裁者が権力固めに勤しみ、権力や資金を二代目に譲っても、先代のカリスマを世襲できないからです。

三代目となる北朝鮮の権力継承に関しても、当初、私はかなり難しいと考えていました(当ブログ、2011年12月21日付)。

しかしながら、今回の首脳会談で、非常にキャラ立ちしている金委員長を見ると、彼自身に良くも悪くもカリスマ性があるのかもしれません。

そう認識すれば、なぜ、北朝鮮だけにおいて、その独裁制が(3代に渡って)世襲されてきたのかが見えてくるような気がします。
プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
月別アーカイブ
2018年11月
2018年10月
2018年9月
2018年8月
2018年7月
2018年6月
2018年5月
2018年4月
2018年3月
2018年2月
2018年1月
2017年12月
2017年11月
2017年10月
2017年9月
2017年8月
2017年7月
2017年6月
2017年5月
2017年4月
2017年3月
2017年2月
2017年1月
2016年12月
2016年11月
2016年10月
2016年9月
2016年8月
2016年7月
2016年6月
2016年5月
2016年4月
2016年3月
2016年2月
2016年1月
2015年12月
2015年11月
2015年10月
2015年9月
2015年8月
2015年7月
2015年6月
2015年5月
2015年4月
2015年3月
2015年2月
2015年1月
2014年12月
2014年11月
2014年10月
2014年9月
2014年8月
2014年7月
2014年6月
2014年5月
2014年4月
2014年3月
2014年2月
2014年1月
2013年12月
2013年11月
2013年10月
2013年9月
2013年8月
2013年7月
2013年6月
2013年5月
2013年4月
2013年3月
2013年2月
2013年1月
2012年12月
2012年11月
2012年10月
2012年9月
2012年8月
2012年7月
2012年6月
2012年5月
2012年4月
2012年3月
2012年2月
2012年1月
2011年12月
2011年11月
2011年10月
2011年9月
2011年8月
2011年7月
2011年6月
2011年5月
2011年4月
2011年3月
カテゴリーアーカイブ
アジア事情 (34)
カンボジア (27)
スイス (27)
スポーツと社会 (141)
ネパール (26)
国際事情(欧州を除く) (236)
大震災/原発事故と日本 (30)
御挨拶 (14)
日本政治 (128)
日本社会 (308)
映画で観る世界と社会 (349)
欧州事情 (100)
留学生日記 (95)
英国 (100)

ページトップへ

カレンダー
<< 2018年05月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
最新記事
誰もが大学に行くようになった時、社会は大学の学費をどうするればいいのか?
なぜ、人は嘘をつくのか?: 映画『ソフィーの選択』の選択と嘘と友人の関係
FA宣言に対するアレルギー反応は、日本学的文脈から考えるべきか?
英語を越えるグローバリゼーションが起こっている
多様であることを理解する重要性: 映画『パラダイス・ナウ』にみるパレスチナ側の論理の非単一化
最新コメント
I like the valuable ...
Posted by corporate proxy solicitation regulations for Darts
A fascinating discus...
Posted by America’S Leading Corporate Advisory Firm
A fascinating discus...
Posted by America’S Leading Corporate Advisory Firm
A fascinating discus...
Posted by America’S Leading Corporate Advisory Firm
A fascinating discus...
Posted by America’S Leading Corporate Advisory Firm
最新トラックバック
この社会での性的魅力
from 哲学はなぜ間違うのか
ひとつ/長渕剛(Cover)
from 今日の天草