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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年4月23日 01:45

手紙だからこそ良いのか、手紙だからこそダメなのか: 映画『親愛なるきみへ』の遠距離恋愛観

手紙の可能性と限界を描いた映画です。

『親愛なるきみへ』(原題Dear John)
制作国 米国
制作年 2010年
監督 ラッセ・ハルストレム
出演 チャニング・テイタム、アマンダ・サイフリッド

あらすじ
【サウスカロライナ州出身の米国陸軍特殊部隊の兵士であるジョンは、ドイツの基地に勤務している。2週間の一時休暇で帰省中に、女子大生のサヴァナと海辺で出会う。二人は直ぐに恋に落ちるが、自閉症のジョンの父親のことで喧嘩してしまう。そして、ジョンは特殊部隊として戦地に向かうが、別れ際に仲直りし、手紙でやり取りすることを約束する。ジョンは1年後に除隊するはずが、9・11同時多発テロ事件が発生し、軍との任務の延長が避けられなくなる。再び一時休暇に地元に戻り、ジョンはサヴァナに事情を説明するが、納得できないサヴァナと喧嘩してしまう。最終的に更なる文通の日々を誓う2人であるが、数か月後、ジョンはサヴァナからの別れの手紙を受け取る。】

彼らは2週間しか付き合っておらず、その後は、文通になります。ジョンは特殊部隊に勤務しており、勤務地は書けません。サヴァナは恋人がどこにいるかも分からないのですが、ジョンは「月の大きさは片目をつぶればどこにいても親指の大きさで同じだ」とサヴァナに語ります。

二人は、私たちは大丈夫と文通による遠距離恋愛を続けようとするのですが、ネタバレですが、最終的にはサヴァナが持たなくなります。サヴァナは別の男性と婚約してしまうのです。

ジョンの父親の葬式の後、ジョンはサヴァナに会います。そして、サヴァナはジョンが嫌いになったのではなく、ジョンを毎日、待つことが辛過ぎたと語ります。

ジョンは、「電話してくれれば君を失わなくても済んだのに、なぜ電話してくれなかったのか」と問います。それに対し、サヴァナは、「電話すれば、(別れる)決断ができなくなってしまう」と答えるのです。

そうすると、手紙は、このケースではどのように機能していることになるのでしょうか。米国と戦地に分かれる彼らを繋いでいたのも手紙であり、別れさせたのも手紙であることになります。

ネットが使えば直ぐに自分の気持ちを世界中に伝えられるSNS時代ですが、手紙は相手のみならず、自分との距離もあります。

ビートルズには「All My Loving」(1963年)という名曲があります。離れている恋人に「僕は、君に手紙を毎日、毎日書くよ」約束する曲です。正確には、一方的に宣言しているだけで、コミュニケーションではないのです。

手紙は、距離がある。だからこそ、良いのか。だからこそ、ダメなのか。

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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