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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年4月 3日

2018年4月 3日 21:29

日本も大学・大学院のパートタイム化を促進すべきなのでは

先日、日本私立学校振興・共済事業団が、私立大・短大など計914校を運営する全国662法人の2017年度における経営状況を調査し、103法人(15.6%)が「経営困難な状態」であるという結論を出しました(読売Online, 3月30日)。

なぜ経営が悪化しているかといえば、その原因として定員割れが挙げられています。私学は、運営費の9割を授業料で賄っているケースが多く、入学者が定員を下回れば、簡単に赤字に陥ってしまいます。そして、近年、入学定員充足率 100%未満の大学の割合が増加しています (文部科学省『私立大学の経営状況について(概要)』2015年10月1日)。

このような状況の中で大学が生き残りを図るとすれば、少子化によって減少する【日本の】18歳人口に依存しない経営を考えなくてはいけないことになります(【日本の】と入れましたのは、世界的な海外留学のブームの中で、日本に来る留学生も増加していく傾向があるからですが、留学生論はまた別の機会に論じたいと思います)。

前回、早稲田大学エクステンションセンターの例をご紹介しましたが、日本人に限定すれば、各大学は「学び続ける」機会を提供すべきであると考えます。それは、教養を中心とする生涯教育のみならず、欧米の大学のように大学、大学院のパートタイム化を早急に整備すべきです。

例えば、2009年において米国の大学・大学院生の総数はフルタイムが12,723,000人なのですが、パートタイムを含むと20,428,000人に膨れ上がります。英国は2009年において、フルタイムの大学・大学院生数は1,739,000人に対し、パートタイムを含めると2,659,300人となります(文部科学省『教育指標の国際比較』平成25年版、20-21頁)。

ロシアでも学部・大学院のパートタイム化が進んでいます。2010年においてフルタイムの学部生数は3,074,000人に対して、パートタイムの学生も合わると7,207,000人にも至ります(同上、23頁)。

当ブログでは、何回か言及してきましたが、日本も、就職か進学かではなく、早く、他の先進国並みに、就職しても、退職しても、大学で学び続けることができる体制を整えないといけないと痛感します。

それは、少子化問題に直面している日本の経営上の一つの「答え」にもなるでしょうし、日本全体の教育力のアップにもなると考えます。また、何よりも学び続ける、知り続けることは何らかの「幸せ」に通じる道であるのではないでしょうか。

おそらくそのためには、文科省と大学と(パートタイム学生を認める)企業を主体とした受け入れ側の意識改革と、パートタイムで学ぼうとする学生/社会人側の意欲が、同等に必要であると思われます。
プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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