QuonNet(クオンネット) まなぶ・つながる・はじまる・くおん




グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年3月 6日 03:11

スポーツ特番がなければ、国民が共有する五輪にならないのでは?

3月5日(月)、19:00~21:48、テレビ朝日系列で放送された「中居正広のスポーツ!号外スクープ狙います!」を見ました。

サブタイトルとして「平昌冬季オリンピックの日本代表選手24人が緊急参戦!」と謳われており、2月25日に閉幕した平昌五輪のスポーツ特番でした。

同番組では、カーリング女子の吉田知那美選手が、前回のソチ五輪に北海道銀行の選手として出場しながら、五輪後、戦力外通告を受けてしまい、1人旅に出たことや、日本のメダル第一号となったモーグル競技の原大智選手にとって平昌のモーグル会場の斜面のコブ(土手)が偶然、得意な形だったこと、そして、金メダルに輝いたスピードスケート女子チーム「パシュート」メンバーの好きな食べ物まで紹介していました。

今回の五輪で日本は金メダル4個、銀メダル5個、銅メダル4の合計13個を獲得し、日本としては冬季五輪において歴代最高の成績となり、このような番組も盛り上がります。

各選手の「秘蔵映像」を紹介しながら、プライベートを紹介するような特番は、上記のプログラムだけではなく、各放送局がそれぞれ何等かの形で行っていることでしょう。

このような五輪選手の「五輪特需」に対して批判の声もあります。

選手は、過去に、マスコミにおいて必要以上の盛り上がりによって、競技生活に支障をきたし、更に「調子に乗っている」、「練習しろ」などのバッシング対象に「反転」しまうケースもあるというのです(「"五輪特需"によるメディア出演の是非 "消費"されてしまう選手たち」Oricon News, 3月7日)。

なぜそうなってしまうのかについては、「使えるときに使う」メディアが「視聴者にどう見られるか」まで考えておらず、結果として選手が「消費」されてしまう結果に至っているとされます(同上)。

確かに、本業に差し障りがある程、「消費」されてしまったら、元も子もありません。ですから、行き過ぎた取材や報道は差し控えるべきでしょう。

しかしながら、その上で書かせて頂ければ、当ブログ2018年2月21日付で記しました通り、五輪は、超一流アスリートの祭典です。世界中のオリンピアンの練習中心の日常生活は、本来、「普通の国民」とはかけ離れたものであるでしょう。

勝負も見えている以上に複雑でしょうし、テクニックも高度なものでしょう。また、冬季五輪の種目は馴染みがあるものばかりではなく、素人には伝わり難いのも確かです。

そこで、このような五輪の選手のマル秘エピソードやマル秘映像を用いて、日常の物語に焦点を当て、選手と一般視聴者(国民)の距離を縮めることが必要なのではないでしょうか。

世界レベルの五輪選手も実は、「普通」であるという(本当は全然「普通」じゃないけど)ストーリーを流さなければ、国民が親近感を覚えることができないと思うのです。

もう一度書きます。もちろん、必要以上に五輪選手の物語を「消費」してはいけません。しかし、この消費行動を「込み」で国民参加の五輪だと思えるのです。

この記事へコメントする

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
月別アーカイブ
2018年10月
2018年9月
2018年8月
2018年7月
2018年6月
2018年5月
2018年4月
2018年3月
2018年2月
2018年1月
2017年12月
2017年11月
2017年10月
2017年9月
2017年8月
2017年7月
2017年6月
2017年5月
2017年4月
2017年3月
2017年2月
2017年1月
2016年12月
2016年11月
2016年10月
2016年9月
2016年8月
2016年7月
2016年6月
2016年5月
2016年4月
2016年3月
2016年2月
2016年1月
2015年12月
2015年11月
2015年10月
2015年9月
2015年8月
2015年7月
2015年6月
2015年5月
2015年4月
2015年3月
2015年2月
2015年1月
2014年12月
2014年11月
2014年10月
2014年9月
2014年8月
2014年7月
2014年6月
2014年5月
2014年4月
2014年3月
2014年2月
2014年1月
2013年12月
2013年11月
2013年10月
2013年9月
2013年8月
2013年7月
2013年6月
2013年5月
2013年4月
2013年3月
2013年2月
2013年1月
2012年12月
2012年11月
2012年10月
2012年9月
2012年8月
2012年7月
2012年6月
2012年5月
2012年4月
2012年3月
2012年2月
2012年1月
2011年12月
2011年11月
2011年10月
2011年9月
2011年8月
2011年7月
2011年6月
2011年5月
2011年4月
2011年3月
カテゴリーアーカイブ
アジア事情 (34)
カンボジア (27)
スイス (27)
スポーツと社会 (139)
ネパール (26)
国際事情(欧州を除く) (234)
大震災/原発事故と日本 (30)
御挨拶 (14)
日本政治 (127)
日本社会 (305)
映画で観る世界と社会 (344)
欧州事情 (99)
留学生日記 (94)
英国 (100)

ページトップへ

カレンダー
<< 2018年04月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
最新記事
「改革者」は、なぜ「独裁者」になってしまったのか?
政治的アイデンティティと服の色
私が甲子園の最終戦を観に行かなかった理由
映画が社会の固定観念を変える: 映画『おくりびと』の社会的インパクト
2018年モンゴル訪問記(番外編): 余り物には福がある
最新コメント
武蔵は春田に言います...
Posted by S
はじめまして、書き込...
Posted by たか
あなたもまだお若い。...
Posted by 葵東
青春時代に見て感動し...
Posted by 小林 千三
私は韓国に住んでいま...
Posted by 七色無職
最新トラックバック
この社会での性的魅力
from 哲学はなぜ間違うのか
ひとつ/長渕剛(Cover)
from 今日の天草