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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年3月 3日

2018年3月 3日 16:50

五輪は国家代表ではなくても参加できる?: 香港、バミューダ、台湾

2月9日から熱戦が繰り広げられていた平昌五輪も、25日に閉会式が行われ、幕を閉じました。今回の平昌五輪には92カ国・地域から2925選手が参加(登録)したと報じられています(時事.com, 1月29日)。

「92」の数字には「国家」ではない「地域」が含まれています。具体的には、香港、バミューダ諸島、台湾の3「地域」です。五輪は、基本的には国家対抗ですが、国際オリンピック委員会(IOC)が承認した「オリンピック委員会」があれば「地域」でも参加できます。

香港をみてみると、英国領時代の1951年にIOCに香港オリンピック委員会が承認され、1997年に香港返還後も五輪に出ています。冬季五輪への参加は、意外にも返還後であり、2002年の ソルトレイクシティ五輪からです。今回の平昌五輪で5回目となります。

中華人民共和国との関係では、2008年には北京オリンピックの馬術競技が香港で実施されているのですが、北京五輪にも「地域」として香港はエントリーしており、中国と当局も「地域」として香港が五輪に参加することは公認していることになります。

もっとも、馬術競技には検疫が不可欠ですが、2008年当時、中国の検疫制度が未熟であり、欧米並みの検疫制度を持つ香港開催しかなかったとも報じられていますが(共同News, 2008年4月6日)。

いずれにしましても、今回の平昌五輪にも出場した香港ですが、実は選手として出場したのはアルペンスキーの呉一里選手1人でした(NNA Asiaアジア経済ニュース, 2月9日)。

結果は、女子大回転では56位、女子回転は途中棄権という残念な形でしたが、呉一里選手は16歳ということで将来が楽しみであると期待されています(同上)。

バミューダ諸国の「選手団」も1人でした。クロスカントリースキーのトゥッカー・マーフィー(男子15kmフリー)選手で、104位でした。
(http://medias1.fis-ski.com/pdf/2018/CC/2158/2018CC2158RL.pdf)

台湾はスピードスケートの3選手と、リュージュの1選手の4人。いずれもメダルに届かず、スピードスケートで、黄郁婷・選手が1000メートルで20位に入ったのが最高位となっています(Radio Taiwan International, 2月20日)。

「地域」の場合、今のところ、五輪精神の「参加することに意義がある」という感じですが、それでも五輪の多様性への貢献はあると考えます(ただし、香港の呉選手はカナダも、バミューダのマーフィー選手は英国と、それぞれ海外に長期滞在しており、帰化問題に加え、冬季五輪ならではの問題もあります)。

そもそも、五輪は都市が開催しており、国家だけが主役なわけではありません。政治的な課題もあり、更にIOCが承認する世界観に限定されますが、それでも、「地域」や「都市」という視点も忘れてはいけないのでしょう。

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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