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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年3月 2日

2018年3月 2日 18:46

壊さないと生み出すことはできないのだろうか?: 映画『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』に映し出される社会的背景

既にできてしまっている社会では、壊さないと新しいものが生み出せないのかもしれません。

『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』(原題 Demolition)
制作国 米国
制作年 2015年
監督 ジャン=マルク・ヴァレ
出演 ジェイク・ギレンホール, ナオミ・ワッツ

あらすじ
【エリート金融マンであったディヴィスは、ある朝、妻の運転する車で通勤すると、交通事故に遭い、妻を失ってしまう。自らも負傷するが、なぜか悲しさが込み上げてこない。ボーっとしていると義父のフィルから「壊れたものは、一旦全て分解してみるしかない」と言われ、トイレのドアを解体し、勤務先の自分のパソコンを分解し、自宅で冷蔵庫をもバラバラにする。壊すことで何かを変えようともがく中、自販機でM&Mを買おうとすると商品が出てこなかったことに腹を立てて自販機メーカーに書いた苦情の手紙を書く。後に、同社の苦情対応係のカレン・モレノというシングルマザーの女性から電話がかかってくる。偶然が重なり、カレンの自宅を突き止めたディヴィスは、カレンと彼女の15歳息子と奇妙な関係を始めながら、破壊行為を続ける。】

最近、東南アジアに定期的にでかけるようになり、東南アジア各国が建設ラッシュであることに気付かされます。

反対に、今日の米国が舞台の本作品では、主人公は壊して、壊して、壊しまくります。彼は、自分の感情を探し求めるために壊すことしかできないのです。

彼が見つけた新しいパートナーとその息子の家庭も壊れています。しかし、その壊れた家族と共に、更に壊し続けます。そして、やっと死んだ妻との関係を見付け、新しいパートナーと子供との関係をも認識し、前進できるようになっていくのです。

ネットで、この作品は2度、3度、観直すと伝わってくるものがあるという感想がありました。私たちは(実際に行動に移すかどうかは別として)深層に破壊願望があるのかもしれません。この映画がすれすれのところで許容されるとすれば、非常に屈折しながらも、最終的には「前向き」であるということです。

先進国はいずれも高齢化社会であり、人生のどこかで「生まれ変わる」必要があるのかもしれません。それが還暦というターニングポイントなのか、その前なのかは人それぞれなのでしょう。

生まれかわるために、何かを壊さなければいけないということなのかもしれません。しかしながら、それは形而上学的な「破壊」でも良い訳で、物理的な破壊行為が不可避なのかどうかは別であるようにも思えます。

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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