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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年2月17日

2018年2月17日 01:47

美女と自由:「美女軍団」を考える

今回の平昌五輪において、北朝鮮の最高指導者・金正恩氏の実妹の金与正氏の韓国訪問と(与正氏と共に韓国を訪れている)「美女軍団」の存在が、最も大きな話題の一つであることは否定できないでしょう。

ピョンチャン(平昌)五輪は、ピョンヤン(平壌)五輪と揶揄される程、上記の北朝鮮の「使者たち」の動向が注目されているのです。

この「美女軍団」とは通称であり、北朝鮮では最高の音楽家養成機関とされている金星学院の学生と北朝鮮のトップの楽団の芸術家たちで編成される万寿台芸術団員らによって構成されていると言われています(東洋経済Online, 2018年2月14日)。

「美女軍団」の話題で思い出したのは、私が大学学部生の頃、社会学の講義で担当教授から「ある国から美人がいなくなると国家は滅びに向かうとされる命題がある」と聞かれたことです。その時、教授は「答え」を教えてくれなかったのですが、その後も、ずっと頭に残り続けました。

そもそも、この命題には、普遍的な「美しさ」があることを前提としていますが、「美しさ」は文化的に規定されるものであり、誰が美人なのかを判明することが難しく、簡単に美人がいなくなった、いなくならなかったとは言えないようにも思えます。

しかしながら、それでも、何となく言いたいことは分かります。仮に「普遍的」な美しさがあるとして(各国で重なる部分があるとして)、経済的に長期停滞している、あるいは破綻した国から美しい女性が外国に出ていき、その「普遍的価値」を持って、異国で成功していくケースが多発するとすれば。

もちろん、ここにおける「美しさ」とはメタファーであり、「頭が良い」でも、「運動神経が優れている」でも同じことが言えるのです。

さて、北朝鮮の「美女軍団」です。

その「美しさ」でも「歌声」でも「芸術性」でもいいのですが、彼女たちに国際競争力があるとします。彼女たちは、現状で満足しているのでしょうか。

ジャーナリストの池上彰氏は、現地を取材し、「美女軍団」は、韓国の一般市民と接触することはないが、北朝韓国製の自動車、韓国の豊かな家並み等、北朝鮮では見ることができないものを日々、目撃していると書いています(朝日Digital,2018年2月17日)。故に、北朝鮮は、彼女たちが亡命を図らないように、常に(北朝鮮の)警備要員が目を光らせているというのです(同上)。

そう考えますと、北朝鮮は、今回、一方で「美しさ」を武器にしながら、他方で「社会法則」(上記の命題があるとすれば)を力で抑えていることになります。そして、平昌五輪では、それがある程度、機能しているようにも見えます。

でも、本当でしょうか。西側の「文化」に触れてしまった美女たち(の美しさ)は北朝鮮の言う通りにこれからも動くのでしょうか。それとも、美女故に、国を離れて行ってしまうのでしょうか。

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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