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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年2月16日

2018年2月16日 12:36

平昌五輪の「南北合同チーム」がもたらす平和の持続性

2月9日に第23回オリンピック冬季競技大会・平昌五輪の開会式が行われました。

今回の開会式の話題は、やはり、北朝鮮と韓国の合同入場行進(+北朝鮮の美女軍団による応援)となるのでしょう(「合同チーム」としては女子アイスホッケーに限定されていますが)。

南北合同KOREAは、トリの91番目に「統一旗」を掲げ登場しました。韓国の選手は145人、北朝鮮は22人とバランスには欠けますが、それでも「一緒」に行進している姿は、韓国、北朝鮮以外の人々にも喜ばしく映ったのではないでしょうか。

2年前のリオ五輪では、開催中、国連が停戦を呼び掛けたにもかかわらず、シリアでは戦争状態が続いていたことを思い起こせば、今回の南北合同チームの結成は(五輪の仕掛けであってとしても)それだけでも十分評価すべきでしょう(シリアにおいては、今回も完全に停戦が成立しているとは言えないようですが)。

その上で、統一チームの平和の「感動」の持続性を考えるべきですが、残念ながら楽観視はできないように思えます。

五輪での「合同チーム」の結成は今回が初めてですが、五輪以外のスポーツイベントにおいて「合同チーム」の出現は初めてではありません。1991年に日本・千葉県で開催された第41回世界卓球選手権には、「統一コリア」で参加しており、合同入場のみの「チーム」結成に関しては、2000年のシドニー五輪開会式、2004年のアテネ五輪開会式等、今回が10回目の国際大会になります(聯合ニュース, 2018年2月9日)。

過去の例を見ますと、スポ―ツの「雪解け」の後は決まって緊張関係に逆戻りしています。一時的な雪解けムードさえ、計算済である可能性があるのです。

それでは、五輪の政治的な効用とは何なのでしょうか。

韓国、北朝鮮だけではないのですが、各国はグローバル化や国内事情によって社会が分断されています。そのような分断社会を、一時的であっても、スポーツによって愛国心を導き、団結させることが国単位では求められているのかもしれません。自国の選手が金メダルを獲得すれば、国民の大半は(貧富の格差、保守革新、都市―田舎、信仰にかかわらず)多かれ少なかれ喜ぶものでしょう。

ただ、過去の五輪を見れば、それでも平和の持続性を過大評価することはできないことになります。

北朝鮮に話を戻せば、国際関係であろうと、国内事情であろうと、五輪が終わってからが正念場かもしれません。

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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