QuonNet(クオンネット) まなぶ・つながる・はじまる・くおん




グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年2月 5日 01:39

まずは「家族」を再構築しなければいけない: 映画『君のためなら千回でも』の主人公アミールの成長

小さいところからでいいような気がします。

『君のためなら千回でも』(原題 The Kite Runner)
制作国 米国
制作年 2007年
監督 マーク・フォースター
出演 ハリド・アブダビ, ホマユーン・エルシャディ, ゼキリア・エブラヒミ

あらすじ
【1978年、アフガニスタンの首都カブール。パシュトゥーン人 の12歳の少年アミールは、ハザーラ人の少年ハッサンと親友だった。アミールの父ババはビジネスで成功し、豊かな生活を送っていた。広い一軒家で暮らすアミールとババ親子は、ハッサンと彼の父アリを召使いとして雇い、共に暮らしていた。伝統の凧合戦において、アミールとハッサンは優勝するが、凧を拾いにいったハッサンは日頃からハザーラ人を目の敵にするパシュトゥーン人の少年アセフに襲われてしまう。それを見ながら何もできなかったアミールは、以後、ハッサンとの友情を維持することができず、彼に辛く当たることになる。アミールは、ハッサンに時計泥棒の濡れ衣を着せ、家から追い出すが、その直後、ソ連軍がアフガニスタンに侵攻し、アミール親子は米国に亡命することになる。やがて作家となったアミールは、タリバンが独裁政権を敷くアフガニスタンを再び訪れることになる。】

アミールの成長物語です。

アミールは、凧合戦の日、親友ハッサンを助けることができず、更に自分の弱さを直視するさえもできないのです。逆にハッサンを失い、二度と会えなくなってしまいます。

しかしながら、アミールは成長します。ネタバレですが、ハッサンがタリバンによって殺されたことを知り、また自分とハッサンとの本当の関係を知り、アミールはハッサンの息子を助けるためにタリバンが制圧するアフガニスタンに赴きます。

父親を失い、最愛の女性と結婚し、勇気を持てるようなったアミールは成長しました。しかし、そんなアミールに、カブールの孤児院の院長は「この国から一人だけ救って何になるんだ」と投げかけます。

幼馴染であり、最悪の大人になっているタリバンの将校からもアミールは「お前は国を捨てた」と罵倒されます。

それでも、アミールはハッサンの息子を、命を懸けて助け出します。

そこには公共性はないかもしれないのですが、親友も助けられなかったアミールにとっては精一杯の勇気と行動なのです。

もしかしたら、誰もが天下国家を救おうと思わなくてもいいのかもしれません。人は、自分の見える範囲を守り切れば、大きな平和への小さな貢献に繋がるのかもしれません。

【自分の家族だけが救われれば良いという考え方の延長上に、公共性はないかもしれません。しかし、アフガニスタンのように家族が壊れてしまっている場合、家族から再構築するしかないのでしょう。】

アミールの成長物語はそんな可能性を示唆しています。

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
月別アーカイブ
2018年2月
2018年1月
2017年12月
2017年11月
2017年10月
2017年9月
2017年8月
2017年7月
2017年6月
2017年5月
2017年4月
2017年3月
2017年2月
2017年1月
2016年12月
2016年11月
2016年10月
2016年9月
2016年8月
2016年7月
2016年6月
2016年5月
2016年4月
2016年3月
2016年2月
2016年1月
2015年12月
2015年11月
2015年10月
2015年9月
2015年8月
2015年7月
2015年6月
2015年5月
2015年4月
2015年3月
2015年2月
2015年1月
2014年12月
2014年11月
2014年10月
2014年9月
2014年8月
2014年7月
2014年6月
2014年5月
2014年4月
2014年3月
2014年2月
2014年1月
2013年12月
2013年11月
2013年10月
2013年9月
2013年8月
2013年7月
2013年6月
2013年5月
2013年4月
2013年3月
2013年2月
2013年1月
2012年12月
2012年11月
2012年10月
2012年9月
2012年8月
2012年7月
2012年6月
2012年5月
2012年4月
2012年3月
2012年2月
2012年1月
2011年12月
2011年11月
2011年10月
2011年9月
2011年8月
2011年7月
2011年6月
2011年5月
2011年4月
2011年3月
カテゴリーアーカイブ
アジア事情 (4)
カンボジア (27)
スイス (26)
スポーツと社会 (117)
ネパール (26)
国際事情(欧州を除く) (231)
大震災/原発事故と日本 (29)
御挨拶 (14)
日本政治 (124)
日本社会 (283)
映画で観る世界と社会 (303)
欧州事情 (96)
留学生日記 (73)
英国 (98)

ページトップへ

カレンダー
<< 2018年02月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28      
最新記事
史的な人物の評価は「今」において書き替えられている: 映画『関ヶ原』における「今日的」石田三成像
「本命チョコ」の危機と日常に降りてきたアイドル
まずは「家族」を再構築しなければいけない: 映画『君のためなら千回でも』の主人公アミールの成長
なぜ、中国では医学部が人気がないのか?
「なりすまし」と「人種差別」の構造
最新コメント
はじめまして、書き込...
Posted by たか
あなたもまだお若い。...
Posted by 葵東
青春時代に見て感動し...
Posted by 小林 千三
私は韓国に住んでいま...
Posted by 七色無職
†講談社「週刊現代」...
Posted by 鈴木有介
最新トラックバック
この社会での性的魅力
from 哲学はなぜ間違うのか
ひとつ/長渕剛(Cover)
from 今日の天草