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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年2月 1日

2018年2月 1日 23:08

いつも世界のどこかでお正月!

昨日、教壇に立つ大学の定期試験が終わりました。

最終日、ある試験において、私が試験監督をしていたところ、1年生のベトナムからの(男子)留学生が答案を提出すると同時に「これで1年生終わり、これから2年生だ!」と言い放ちました。

まだ、採点していないので、彼が無事、単位を取得して2年生になれるかどうかは未定であり、「君、まだ、分からないよ!」と突っ込もうとしたところ、「来週、ベトナム帰ります」、「先生、良いお年を!」と先に言われてしまい完全に敗北しました。

ベトナムの今年のお正月(旧正月)の元日は、2月16日であり、彼らにとっては暮れも押し迫っているのです。
 
もちろん、日本で生活していますから、彼らが日本の時間を知らないわけではないです。日本のお正月が1月1日だったことも理解しているでしょう(留学生の多くは、時給が高い年末年始はアルバイトをしますが)。でも、彼らは同時にベトナム時間でも生きているのです。

私が教える社会学では、「マージナルマン」という概念があります。このブログでも、何度も言及していますが、「マージナルマン」とは、米国の社会学者ロバート・パークが提唱した二つ(以上)の社会集団に属し、一つのアイデンティティに固定されていない人間のことを指しています。

そして、「マージナルマン」としての留学生は日本と母国の「2つの時間」に生きることになります。

グローバル化というと価値の一元化(フラット化)のように見なされることもありますが、(マスレベルの国境を越えた移動によって)多くの人々のアイデンティティが、マージナル化していくのも事実であるでしょう。

それは多元的な現象でもあります。

私は好きなイラン映画『白い風船』は、イラン暦1373年の大晦日(西暦1995年5月)のテヘランが舞台です。映画は、「現在、5時7分です。新年まで後1時間28分30秒です」というラジオ放送から始まります。

昨年、9月に私が訪れたネパールは、日本と時差が3時間15分あるのですが(日本のほうが進んでいる)、そもそも、ネパールはビクラム暦を採用しており、2018年1月1日は、ビクラム歴2074年9月17日です。そして、ネパールにおいて新年は日本の「4月」に迎えることになります。

つまり、ネパール人の留学生からは、3月に「良いお年を!」と言われることになります。

そう考えると、いつも世界のどこかでお正月なのかもしれません。

それは世界がバラバラなのではなく、グローバル化していることによって、(留)学生が世界に学び、お正月の「違い」が見えてきたのです。

毎月、お正月、悪くはないです。

皆さん、今月も良いお年をお迎えください。

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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