QuonNet(クオンネット) まなぶ・つながる・はじまる・くおん




グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年1月 6日

2018年1月 6日 19:13

「家族までの距離」ではない続編: 映画『ビフォア・ミッドナイト』における循環

本作品は、『恋人までの距離』(1995年)、『ビフォア・サンセット』(2004年)に続いてジェシーとセリーヌの物語の3作目となります。2017年9月12日付、当ブログにて、1作目は単体で観るべきだと書きましたが、この第3作目は、過去の2作品を見ていないと成立しません。

『ビフォア・ミッドナイト』(原題 Before Midnight)
制作国 米国
制作年 2013年
監督 リチャード・リンクレイター
出演 イーサン・ホーク, ジュリー・デルピー

あらすじ
【ジェシーとセリーヌは、学生時代にウィーンで出会ってから9年後、作家になったジェシーは、セリーヌとパリで再会する。更に9年後の現在、2人は双子の親として、ジェシーは作家とセリーヌは環境運動家をしながらパリで暮らしている。家族4人とジェシーの前妻との間の(米国に住む)息子ハンクと共に休暇にギリシャ・ペロポネソス半島の海辺の街にやってきた。ギリシャからハンクを米国の前妻の元に送り返すと、ジェシーは親の責任を感じるようになる。そして、ジェシーは一家でセリーヌに米国に住むことを提案するが、仕事に不安のあるセリーヌは反対する。何を話しても喧嘩になってしまう2人は、友人のステファノスらが用意してくれたホテルの一室で2人だけの時間を持つが、余計に口論を続けてしまう。セリーヌは「もうあなたを愛していない」と部屋を出ていくが、ジェシーは追っていく。】

1作目が「恋人までの距離」であり、2作目が「夫婦(カップル)までの距離」だとすれば、この3作目は何なのでしょか。敢えて表現するならば、「家族までの距離」になるのでしょうか。

2人は、学生時代に「運命的」に出会い、別れ、「奇跡的」に再開した2人は、親になり口論ばかりをしています。3部作として考えれば、最後はこのような展開となったほうが、リアリティが出ます。しかし、それでも、カップルとなってお互いの全てを知り尽くした2人の口論は、(観ている側には)厳しいものがあります。

ネタバレですが、それでも、彼らは仲直りします。それは、「時間」が問題を解決してくれます。ちょっと、反則的な感じもしますが、ジェシーは「未来の時間」を用いて、直面する2人の危機に対応するのです。「未来の時間」は、彼らに過去の「運命」や「奇跡」を思い出させてくれるのです。

実のところ、2人は家族(子供)のために関係を修復するのではありません。また、「恋人までの距離」へ(原題 Before Sunrise)戻っていくのです。そして、それ故にタイトルは『ビフォア・ミッドナイト』(原題 Before Midnight)になるのです。

それが、欧米的な恋愛関係と言ってしまうとステレオタイプになってしまいますが、米国と欧州に渡るこの大恋愛物語が、「一つの形式」であることを知ることになります。

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
月別アーカイブ
2018年9月
2018年8月
2018年7月
2018年6月
2018年5月
2018年4月
2018年3月
2018年2月
2018年1月
2017年12月
2017年11月
2017年10月
2017年9月
2017年8月
2017年7月
2017年6月
2017年5月
2017年4月
2017年3月
2017年2月
2017年1月
2016年12月
2016年11月
2016年10月
2016年9月
2016年8月
2016年7月
2016年6月
2016年5月
2016年4月
2016年3月
2016年2月
2016年1月
2015年12月
2015年11月
2015年10月
2015年9月
2015年8月
2015年7月
2015年6月
2015年5月
2015年4月
2015年3月
2015年2月
2015年1月
2014年12月
2014年11月
2014年10月
2014年9月
2014年8月
2014年7月
2014年6月
2014年5月
2014年4月
2014年3月
2014年2月
2014年1月
2013年12月
2013年11月
2013年10月
2013年9月
2013年8月
2013年7月
2013年6月
2013年5月
2013年4月
2013年3月
2013年2月
2013年1月
2012年12月
2012年11月
2012年10月
2012年9月
2012年8月
2012年7月
2012年6月
2012年5月
2012年4月
2012年3月
2012年2月
2012年1月
2011年12月
2011年11月
2011年10月
2011年9月
2011年8月
2011年7月
2011年6月
2011年5月
2011年4月
2011年3月
カテゴリーアーカイブ
アジア事情 (21)
カンボジア (27)
スイス (27)
スポーツと社会 (138)
ネパール (26)
国際事情(欧州を除く) (233)
大震災/原発事故と日本 (30)
御挨拶 (14)
日本政治 (127)
日本社会 (305)
映画で観る世界と社会 (340)
欧州事情 (99)
留学生日記 (82)
英国 (100)

ページトップへ

カレンダー
<< 2018年01月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
最新記事
2018年モンゴル訪問記(4): ラクダは食べものなのか?
2018年モンゴル訪問記(3): 馬乳酒、羊の解体、180度の星空
2018年モンゴル訪問記(2): 青空トイレを堪能する
2018年モンゴル訪問記(1): ゴビ砂漠を「2回」渡り、暖房を付けて寝たモンゴルの夏の夜
オマージュがオリジナルの良さを確認させる: 映画『みんな元気』の日米比較
最新コメント
This is my first tim...
Posted by America’s leading Corporate Advisory Firm
If y†u would like t...
Posted by How To Encrypt Folders On A Cd
If y†u would like t...
Posted by How To Encrypt Folders On A Cd
If y†u would like t...
Posted by How To Encrypt Folders On A Cd
If y†u would like t...
Posted by How To Encrypt Folders On A Cd
最新トラックバック
この社会での性的魅力
from 哲学はなぜ間違うのか
ひとつ/長渕剛(Cover)
from 今日の天草