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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2018年1月 4日 15:20

第68回 NHK紅白歌合戦: ワースト3位でも年間1位の「国民性」

当ブログでは、毎年、NHK紅白歌合戦をフォローしてきました。

第67回NHK紅白歌合戦:SMAP不在と顕在化された不条理(2017年1月 2日)
第66回NHK紅白歌合戦、歴代最低視聴率: 見られても、見られなくても紅白は何かを映し出す(2016年1月 9日)
2014年NHK紅白歌合戦を考える(2):聖子と明菜の「共演」が示すもの(2015年1月18日)
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第63回NHK紅白歌合戦」考(1):「『歌で会いたい。』ドリームステージ」における「権威」の並立(2013年1月13日)
第63回NHK紅白歌合戦」考(2):「ふるさと」はどこにあるのか?(2013年1月16日)
NHK紅白歌合戦を考える(1):視聴率の推移と社会(2012年1月 4日)
NHK紅白歌合戦を考える(2):現実とのギャップ(2012年1月 7日)

私がNHK紅白歌合戦への興味が尽きない理由は、かつて、殆どの国民が見ていた文字通りの「国民的」番組であり、現在はその「国民性」が問われていますが、視聴率や番組構成の変容自体が、時代を反映していると考えるからです(単に私が、歌謡曲が全盛だった昭和世代だからとも言えますが)。

そして、「今年」の第68回NHK紅白歌合戦は、概して好評だったようです(鈴木祐司  「『紅白』復活!?」2017年1月1日)。

にもかかわらず、視聴率は、関東地区は第1部(午後19時15分~8時55分)が35.8%、第2部(午後21時~23時45分)が39.4%であり、2部制となった1989年以降では、歴代3番目に低い数字に終わりました(ビデオリサーチ)。

好評なのに、低視聴率になったのはどうしてでしょうか。

長年指摘されていることですが、そもそも、日本人はテレビを見なくなっているのです。

ビデオリサーチ社による2017年の年間テレビ視聴率調査では、この歴代ワースト3位となった12月31日の第68回紅白歌合戦の第2部の39.4%が、年間1位なのです(時事, 2018年1月4日)。

2位も紅白歌合戦の第1部の35.8%が続き、やっと3位で2016年1月3日の箱根駅伝中継と2016年8月27日放送の24時間テレビが、28.4%で並んでいます。2017年、視聴率30%台の番組は大晦日の紅白までなかったのです(同上)。

言い換えれば、1位から3位まで全てイベント中継であり、普段テレビを見ていない人が見たとも言えます。つまり、テレビは日常的に見るものから、非日常的な存在に変化しているのです。

同時に紅白に限定すれば、(これもこの数年指摘されてきましたが)テレビを日常的に受け入れている高齢層の支持を固めているのも事実です。2016年までの過去5年間の視聴者の年齢分析では、20~34歳が6%減り、反対に50歳以上が6%増え、高齢化しています(鈴木祐司  「『紅白』復活!?」2017年1月1日)。

このようにして、2017年視聴率1位を飾った紅白歌合戦は、評価が高かった総合司会の内村光良さんが「実は手が震えていた」と報じられているように(産経ニュース, 1月1日)、いまだに「国民的」番組と言えるのです。

もし、将来、紅白歌合戦が制作されない時がくるとすれば、おそらく、それは、(良し悪しは別として)歌謡曲と共に発展してきた大衆娯楽としてのテレビ文化の終わりを意味することでしょう。

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プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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