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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2017年12月11日

2017年12月11日 20:04

パートナーは匂いで見つけるべきなのか? (4): 国際結婚はなぜ難しい

過去3回に渡って「匂い婚活」について考えてきました。

異性間において、体臭の匂いが「心地よい」と(女性側が)感じる人ほど、自分とは遺伝子(HLA遺伝子)が違う人である可能性が高いことが、スイスのクラウス・ウェーデキント博士による1995年の実験で証明されています。

そう考えれば、異国に学んだり長期滞在した人が、現地の人、もしくは異なる国出身の留学生同士で「国際結婚」することが一番いいという話になるでしょう。大学や大学院に留学した同士ならば、後天的な価値観も共有している可能性が高い、遺伝子的にも、後天的な価値観においてもぴったりであるはずです。

ところがです。「国際結婚」の離婚率は、同国出身者同士の結婚よりも遥かに高いのです。

厚生労働省の調査によれば、2013年における日本人同士の結婚は639 125組であり、離婚は216 187組でした。同じカップルの離婚ではありませんが、単純に計算すれば、34%です。同年、夫婦のうちどちらか外国人のケースは、21 488組であり、離婚は15 196組なので、率としては70%を越えてしまいます(厚生労働省「平成26年度人口動態統計特殊報告「日本における人口動態-外国人を含む人口動態統計」-の概況」)。

「国際結婚」と言っても様々なケースがあるでしょうから、必ずしも後天的な趣味趣向で結ばれているとは言えないかもしれません。しかしながら、異なる国で生まれていれば、同国人同士よりも概して、遺伝子的には同質性が低い傾向があるのではないでしょうか。燃えるような恋愛の末に結ばれたかもしれません。

それではなぜ、「国際結婚」は破綻を迎える可能性がこれほど高いのでしょうか。理由としては、文化・言葉の問題、経済的な価値観の違い、子供や親等の家族観の違い等が挙げられています(伊藤智央「国際結婚の離婚率が高い本当の理由とは?」)。

殆どの項目は、日本人同士でも挙げられる離婚理由です。ただ、国際結婚の離婚率が高いのは「共通点」が日本人同士のカップルより少ないというのは確かでしょう(「日本人の国際結婚は7割が離婚する理由」ブログ『だれも書かない★ニューヨーク1%未満★』)。

とても、皮肉なのですが、「匂い婚活」では、「違い」こそが最大の魅力であり、「違う」からこそ、惹かれるのです(そして、子孫を残すという点でも、ベストらしいのですが)。

つまり、「匂い婚活」を調べていきますと、もっとも惹かれる異性との関係(結婚生活)は、破綻する可能性が高いという何とも残酷な結論になってしまいます(子孫を作るのは最高なのですが、子孫を育てるという観点ではリスクがあるのです)。

【もっとも、離婚をマイナスと認識しないとすれば、別の見方も生まれてきますが、とりあえず、ここでは「関係」の維持という(ちょっとステレオタイプ的な価値観を基本とした)観点から論じます。】

結局のところ、理想のパートナーは、「異質性と同質性のバランス」が重要であるのでしょう。「違い」の魅力も、「違い」の不和に変わってしまいますが、「違い」を「共通点」に変えていくこともできるのかもしれません。それは、「後天的に身に付けた趣味や価値観が一致するような人」にも結び付いていくような気がします。

何か、ありきたりな結論になってしまいました。

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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