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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2017年12月10日

2017年12月10日 18:31

パートナーは匂いで見つけるべきなのか? (3): 若者はなぜ恋愛しない

前回(12月4日)、前々回(12月9日)と「パートナーは匂いで見つけるべきなのか? 」というタイトルで、人が他者(異性)と関係を構築する時に、「匂い」がどれ程、重要な役割を担っているかについて考えてきました。

異性間において、遺伝子(HLA遺伝子)が違う人程、体臭の匂いが「心地よい」と(女性側が)感じることが、スイスのクラウス・ウェーデキント博士による実験で証明されています。

しかしながら、カリフォルニア大学のジェームズ·ファウラー教授とエール大学のニコラス・クリスタキス教授の調査によれば、友人と呼ばれる関係で結ばれた人々は、他人よりDNA上の共通性があることが明らかになっています。こちらでは、人は、同じ「匂い」によってコミュニティ(仲間)を構築しているのです。

2つの研究が正しいとすれば、前者と後者は矛盾します。

遺伝子上、同質性の高い仲間を作ってしまうと、そこには体臭が「心地よい」異性がいない可能性が高まってしまうでしょう。

私は幾つかの大学で教えていますが、この数年、日本の若者は恋愛に興味を失っていることを実感します。

実際、「交際相手のいない未婚者(18~34歳)」では、男性の69.8%、女性の59.1%に恋人がいないのです(2015年『第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)』)。

ただ、交際相手がいないだけではありません。未婚で恋人がいない20代の男女4割(男性、39.7%)(女性、41.1%)が「恋人が欲しくない」とされているのです(2015年版『少子化社会対策白書』)。

若者を恋愛離れの理由を全て、遺伝子的に説明できるとは考えていませんが、現象として日本が同質性(同じであること)を求める社会であることは否定できないのではないでしょうか。そして、同質性に基づく「仲間」は恋愛関係には向かなくても、非常に居心地がいいのです。

前回は、(遺伝子上の)類似性を基礎としたコミュニティの中から、友人が恋人に変化しても良いのではないか、同じ「匂い」がして「空気」のように安心して過ごせる彼、彼女はある意味で理想ではないかと問いました。

しかし、もし、この説は科学的に正しければ、そもそも、遺伝子が似ている「仲間」集団から恋人関係へ発展することはない(少ない)のかもしれません。

仮に恋人関係に発展し、「夫婦」となっても、いずれは「友達」のように(空気のような)関係になってしまうかもしれません。「友達」のような「夫婦」とは。。。

何となく、日本のある問題点が見えてくるような気がします。

繰り返します。社会現象の全てを、遺伝子から考えることが正しいとは思えません。ただ、何かを示唆していることは確かかもしれません。
プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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