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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2017年12月 9日

2017年12月 9日 01:09

パートナーは匂いで見つけるべきなのか? (2): 人は「違い」を愛し、「同じ」に安心する

前回(12月4日)、「匂い婚活」について言及しました。

それは、簡単に言えば、体臭の相性によって相手を決める「婚活」です。「匂い」が合う異性と交際することが良いという考えには、科学的根拠があります。

人には「HLA遺伝子」(別名「恋愛遺伝子」)というものがあります。それは、白血球に含まれる免疫に関する遺伝子の複合体であり、免疫や抗体の組み合わせを免疫や抗体の組み合わせを父親から1組、母親から1組ずつ受け継いで、その「型」が決まります(「彼の体臭が「イイ匂い」なら相性抜群!? 恋愛を左右する遺伝子って?」Glitty, 2011年1月26日)

2人の男女のケースでは、この型が違うほど多様性が高くなり、より強くて丈夫な子孫が残せることから、「HLA遺伝子」の型が違えば違うほど、男女はとても強く惹かれ合うのではないかという仮説が導き出されます(同上)。

そして、この「HLA遺伝子」が違う人程、体臭の匂いが「心地よい」と(女性側が)感じることは、実験で証明されているのです。

そうしますと、遺伝子の型が大きく異なり、「匂い」が良いと感じる異性をパートナーとすべきという結論となります。

しかしながら、友達という観点からは別の考え方があります。

カリフォルニア大学のジェームズ·ファウラー教授とエール大学のニコラス・クリスタキス教授は、膨大なデータを解析し、友人と呼ばれる関係で結ばれた人々は、他人よりも約0.1%以上DNAを共有し、驚くほどDNAの構造が似ていることを明らかにしています(「出会いは偶然ではなく、DNAレベルで選んでいた!」Exciteニュース,2014年7月28日)。

調査では、友人は平均的にDNA上、自分と共通性があり、親戚でいえば、4番目の従兄弟とほぼ同じであると言えるそうです(同上)。特に嗅覚の部分で遺伝子構造が非常に似ており、同じ「匂い」を嗅ぎ分けることが、友人コミュニティを形成する上で重要になってきます。

人は、同じような「匂い」の人間を友人として好むと言えるのです。

ここで上記の両説をそのままストレートに捉えますと、人は、「同じ」遺伝子上の良い「匂い」がする人とは友人とし、「違う」遺伝子上の良い「匂い」がする人と恋人になるべきであるということになります。

しかし、そんなに簡単に「匂い」の選別ができるのでしょうか。

例えば、同質性の高い異性の友人から恋人になるケースはどうなってしまうのでしょうか。遺伝子上、同質性が高く、同じ「匂い」がして、「空気」のように安心して過ごせる彼、彼女は理想ではないでしょうか。仮に、(遺伝子上、あまり違わない故に)子孫を残す点において問題があるとしても、もしかしたら、同質故にときめき感が少なくても、十分、幸せなのではないでしょうか。

逆に、遺伝子上、「違う」ことで相性がぴったりであるカップルは、子孫を残す点においてはベストですが、「違う」ことが日常においてネックにならないでしょうか。「違い」からくるときめき感は最初だけではないでしょうか。「違う」ことが、2人の関係のマイナスにならないと言い切れるでしょうか。

もちろん、遺伝だけでは判断できません。私たちは、後天的に自分自身を構築していきます。同じ「匂い」でも、異なる「匂い」でも、価値観が大きく異なってしまい、気が合わない人は、当然、いるでしょう。

やはり、私は、人が人と交わる時、趣味や教育、そして、あらゆる人生経験が、遺伝上の制約を上回って欲しいと思うのです。

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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