QuonNet(クオンネット) まなぶ・つながる・はじまる・くおん




グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2017年12月 4日 00:18

パートナーは匂いで見つけるべきなのか? (1): 「匂い婚活」とは何か

社会学の講義でジェンダーの話をしていましたところ、授業を履修している女子学生が、「先生、婚活は匂いで相手を選ぶ『匂い婚活』がいいと思います」と言ってきました。

恥ずかしながら、私は「匂い婚活」に詳しくなく、早速、調べてみました。

「匂い婚活」とは、簡単に言ってしまえば、体臭の相性によって相手を決める婚活です。日本では実験的な例しかなく、海外が主流のようです。

結婚を前提ではなく、パートナーを探すだけの場合は、海外では「フェロモン・パーティー(Pheromone Party)」と称されるそうです。

「フェロモンパーティーの流れ」(匂いとフェロモンの影響力HPから)

3日間同じTシャツで就寝
当日、Tシャツを保存袋に入れる
ニオイのついたTシャツをパーティー会場で渡す
男女別に分けて、番号札を配る。
皆で嗅ぐ
気に入ったニオイの番号を入れる
ご対面
最後に誰が誰の番号を入れたか発表する。
お互いニオイも顔のタイプも合致
カップル誕生

科学的な根拠もあるようです。

この「匂い婚活」(匂いカップリング)は、動物の性的行動の基になっているのはフェロモンであり、それは人間にも嗅ぎ分けられるはずだと仮定したスイスの科学者クラウス・ウェーデキント博士(ローザンヌ大学准教授)の1995年の実験がヒントになっています(「ロンドンの新流行、におい嗅ぐ合コンフェロモン・パーティー」, AFP News, 2014年8月3日)。

ウェーデキント博士の実験とは、44人の男子学生を集めて2日間、昼も夜も同じTシャツを着るように頼み、その後50人の女子学生を集めてそのTシャツの匂いを嗅いでアンケートをとるというものでした(「彼の体臭が「イイ匂い」なら相性抜群!? 恋愛を左右する遺伝子って?」Glitty, 2011年1月26日)。

結果は、女子学生が最も心地よいと感じた匂いは「その女子学生と最も配列の異なるタイプの遠い遺伝子をもつ男子学生のもの」であり、最も嫌悪感を持った匂いは「その女子学生とタイプの近い遺伝子をもつ男子学生のもの」でした(同上)。

この遺伝子は、HLA遺伝子と呼ばれるもので、白血球に含まれる免疫に関する遺伝子の複合体であり、免疫や抗体の組み合わせを免疫や抗体の組み合わせを父親から1組、母親から1組ずつ受け継いで、その「型」が決まるそうです(同上)

2人の男女のケースでは、この型が違うほど多様性が高くなり、より強くて丈夫な子孫が残せることから、HLA遺伝子の型が違えば違うほど、男女はとても強く惹かれ合うとのこと(同上)。

言い換えれば、ある人がある異性をセクシーに感じるのに、別の人には感じないことがあるとすれば、この型の組み合わせが違うということになるとのかもしれません(「恋愛」は操作されている?!~HLA遺伝子のおハナシ②~|湘南藤沢辻堂のパフュームセラピストのブログ)。

上記の言説は、とても興味深く、説得力もあります。私自身、「匂い」は現代社会を理解する重要なファクターであると理解しています。ただ、教育など、人の後天性を重視する社会学を教えている者としては、何とも割り切れないものがあるのも確かです。

全て遺伝なのか?

この記事へコメントする

プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
月別アーカイブ
2018年7月
2018年6月
2018年5月
2018年4月
2018年3月
2018年2月
2018年1月
2017年12月
2017年11月
2017年10月
2017年9月
2017年8月
2017年7月
2017年6月
2017年5月
2017年4月
2017年3月
2017年2月
2017年1月
2016年12月
2016年11月
2016年10月
2016年9月
2016年8月
2016年7月
2016年6月
2016年5月
2016年4月
2016年3月
2016年2月
2016年1月
2015年12月
2015年11月
2015年10月
2015年9月
2015年8月
2015年7月
2015年6月
2015年5月
2015年4月
2015年3月
2015年2月
2015年1月
2014年12月
2014年11月
2014年10月
2014年9月
2014年8月
2014年7月
2014年6月
2014年5月
2014年4月
2014年3月
2014年2月
2014年1月
2013年12月
2013年11月
2013年10月
2013年9月
2013年8月
2013年7月
2013年6月
2013年5月
2013年4月
2013年3月
2013年2月
2013年1月
2012年12月
2012年11月
2012年10月
2012年9月
2012年8月
2012年7月
2012年6月
2012年5月
2012年4月
2012年3月
2012年2月
2012年1月
2011年12月
2011年11月
2011年10月
2011年9月
2011年8月
2011年7月
2011年6月
2011年5月
2011年4月
2011年3月
カテゴリーアーカイブ
アジア事情 (15)
カンボジア (27)
スイス (27)
スポーツと社会 (136)
ネパール (26)
国際事情(欧州を除く) (233)
大震災/原発事故と日本 (30)
御挨拶 (14)
日本政治 (125)
日本社会 (298)
映画で観る世界と社会 (331)
欧州事情 (98)
留学生日記 (74)
英国 (100)

ページトップへ

カレンダー
<< 2018年02月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28      
最新記事
「みんなの物語」が運ぶ思い出: 映画『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』の広がり
巷におけるW杯GK論は、高次元のサッカーの国民化に繋がるか?
誇るべき「クリーン・ナショナリズム」とその国際的背景
家族の崩壊によって描く「家族愛」: 映画『万引き家族』の疑似家族性
悪質タックルをしてまで/裏口入学をしてまで、得ようとしたものは何だったのか?
最新コメント
武蔵は春田に言います...
Posted by S
はじめまして、書き込...
Posted by たか
あなたもまだお若い。...
Posted by 葵東
青春時代に見て感動し...
Posted by 小林 千三
私は韓国に住んでいま...
Posted by 七色無職
最新トラックバック
この社会での性的魅力
from 哲学はなぜ間違うのか
ひとつ/長渕剛(Cover)
from 今日の天草