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グローバル化は足元からやってくる ~国際学で切り取る世界と社会~

2017年12月 2日 13:48

ドラマ『カルテット』に思う(1):「こぼれる」瞬間を掴むこと

ヨーロッパ線の飛行機の機内エンターティメントにて、このドラマに「出会い」、遅ればせながら全話見ました。ラブストーリーであり、サスペンスであり、コメディーである本作は、本当に飽きさせない10話でした。

ドラマ『カルテット』
制作国 日本
制作年 2017年
脚本 坂元裕二
出演 松たか子, 満島ひかり, 高橋一生, 松田龍平

あらすじ
【ある日、カラオケボックスで、30代のアマチュア弦楽器演奏家・男女4人が「運命的」に出会う。専業主婦のヴァイオリニスト巻真紀、祖父が有名な音楽家ながらサラリーマンをしているヴァイオリニスト・別府司、街中で演奏して小銭を稼ぐチェリストの世吹すずめ、フリーターでバツイチのヴィオラ演奏者・家森諭高の4人は、弦楽四重奏のカルテット「ドーナツホール」を結成する。彼らは、別府の祖父が所有する軽井沢の別荘に住み込み、4人で共同生活をしながら、どこでも演奏に出かけることになる。縁があって、レストラン「ノクターン」と契約し、専属に近い形となりながら、より大きな夢を抱き、ミステリアスな問題に直面しながら面白可笑しく暮らしている。】

このドラマで議論の溯上に乗っているのは、「まさか」(の人生)=「運命」であり、「夢」であり、「(疑似)家族」であり、「恋愛」であり、そしてそれぞれの「秘密」が全てを覆い隠します。

各人の過去の「秘密」を問わずに4人はグレーのまま互いに信用しようとします(佐藤結衣「『カルテット』最終話で真紀が"こぼした"ものとは? どこまでもグレーな結末を読む」, Real Sound, 2017年3月23日)。

その根拠は、すずめが真紀に投げかける「こぼれた愛情は嘘のはずはない」(第9話)という言葉に象徴される実在への信頼になります。

そして、すずめは、「こぼれる愛」によって結びついている4人が演奏をする音楽が楽しいというのです。音楽は過去には戻らない、前に進むだけであり、それは、人を好きになった時、前に進むのと同じだと。

ここで、今の実在が、過去の嘘を乗り越え、嘘なんかどうでもよくなってしまうのです。

この4人は最初からそのような関係だったのではありません。策略的で、世俗的で、打算的な始まりから、共同生活をすることで、「こぼれる」関係に至るのです。

「こぼれる」ことは、別に特別なことではないです。日々、日常においていつも誰かの感情が「こぼれている」のです。重要なことは、「こぼれている」場にいるかいないかなのです。ただ、その場に居るだけでも不十分です。カルテットを組むように、見つめ合わなければ。

人と人のコミュニケーションツールとしてSNSが大きな役割を担いようになっています。でも。SNSじゃ、見つめられない。「こぼれる」瞬間を見逃してしまうかもしれません。

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プロフィール
安井裕司
安井裕司
エジンバラ大学、バーミンガム大学博士課程に学ぶ。その間、ルーマニア・アカデミー歴史学研究所研究生。国際政治学博士(PhD)。国連大学国際紛争研究所インターン、夏期講習クラスコーディネーター、法政大学国際日本学研究所客員研究員等を経て、現在、早稲田大学エクステンションセンター講師、日本経済大学神戸三宮キャンパス教授。
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